ワインコラム
HOME > NZワインの魅力(コラム) > 第192回 ニュージーランドでワインテイスティング会に参加
日本でワインのインポーターで働いていた頃、勉強のためにワインショップなどで開催されるテイスティング会やワインメーカーズディナーなどに参加していました。

ニュージーランドではワインテイスティングはあるんでしょうか?私が住んでいるクライストチャーチはニュージーランド第2の都市と言えども人口40万人程度。ワインショップは2軒しかありません。リンカーン大学で醸造学を勉強している時にテイスティングについての課題があり、調べてみるとこの2軒のワインショップで定期的にワインテイスティングを開催していることが分かり、比較的参加費の良心的な「Vino Fino」と言うショップに通っていました。ここはスタッフも知識が豊富ででデイリーに使えるワインの品揃えが多いので行くとまとめて数本買ってしまいます。

大学を卒業してワインを買いに行くことはあってもテイスティング会に参加することはあまりなくなったのですが、最近久しぶりにワイン会に参加してみました。Vino Finoは主にニュージーランド産のワインを中心にワインを販売していて、テイスティング会もニュージーランドのワイナリーのワインメーカーを呼び、そのワイナリーのワインを6〜10種類テイスティングすることが出来ます。何とチーズとパンも用意してくれていてワインメーカーが色んな説明をしてくれるので、さながらワイナリーでVIPツアーをしてもらっているかのようです。費用は20ドルでその日に出たワインは特別価格で買えます。

今回ご紹介するのはセントラル・オタゴの「Valli(ヴァリ)」とマールボロの「Huia(フイア)」のテイスティング会。
どちらも日本に輸出されていて、特にValliは畑違いのピノ・ノワールを数種類生産していてニュージーランドでも評価の高いワイナリーです。

Valliのワインメーカーはニュージーランドを始めアメリカやフランスでも経験のあるアメリカ人女性。Valliのテイスティングは白が1種類、ピノ・ノワールが何と4種類、今ニュージーランドでも少しずつ流行っている「オレンジワイン」1種類、そして甘口が2種類の大判振る舞いのラインナップ。
ピノ・グリは残糖3gとドライなタイプ。オタゴに多いはっきりとした黄色い花やマンダリンの香りは控えめで、そう言っても余韻も長く骨格がしっかりしたタイプ。ニュージーランドのピノ・グリはソービニヨン・ブランのように香りが主張するタイプが多い気がするのですが、華やかな香りは残しつつ色んな料理に寄りそうタイプのピノ・グリで私好み。思わず購入してしまいました。オレンジワインはピノ・グリで造られているのですが、収穫時にはドライのピノ・グリと何の違いも無く、造り方だけが違うだけとの事。通常の白ワインが絞ったジュースだけで造られるのに対し、オレンジワインは白ブドウの皮も一緒に漬け込んで造るワイン。皮からの色素とタンニンが抽出され独特な風味のワインになります。

そして期待のピノ・ノワール。「Burn Cottage」「Gibbston」「Bannockburn」「Bendigo」「Waitaki」の5種類。全てヴィンテージは同じで畑の場所が違うだけです。

Gibbstonが一番冷涼でBendigoが一番温暖なのですが、写真でもワインの濃さの違いが分かります。Bendigoは丸い柔らかなアタックで果実味もたっぷり。万人受けするようなピノでしょうか。Bannockburnはミネラル感やジャーキーのような骨格のしっかりしたイメージ。Burn Cottageは一番土っぽい印象。そしてWaitakiはセントラル・オタゴではなく少し北に位置するノース・オタゴにあり、海洋性気候の影響を受けているとの事。ちなみに、セントラル・オタゴは大陸性気候で冬は寒く夏は暑いです。これだけ同じピノ・ノワールで同じヴィンテージで同じ造られ方をしても場所によって違う、これぞ「Terroirテロワール」ですね。

そして次の会は「Huia」。Huiaはマールボロにあり、オタゴとは違って白ワインが多め。白が7種類、ピノ・ノワールが3種類の計10種類でした。ValliもそうでしたがHuiaもワインメーカーは女性。ニュージーランドでは女性のワインメーカーも男性に負けじと奮闘しています。
Huiaは自社畑で収穫されたブドウから造られるシリーズで、Hunky Doryは契約農家からのブドウを使って造られるシリーズ。こちらの方はスーパー等で見かけます。
このワイナリーはオーガニックの認証を受けているのでワインも出来るだけ自然酵母を使って醗酵を行っているそうです。

Huiaは初めてマールボロに行ってテイスティングをした時にリースリングに感動した記憶があったのですが、今回ゲヴェルツトラミネールが白ワインの中で際立っていました。ローズウォーターやパパイヤ等フルーティーな香りでトロッとしてるのに料理にも合わせやすそうな残糖度。それでいて単体でも楽しめそうなワインでした。
そして看板であるソーヴィニヨン・ブランはいわゆるトロピカルフルーツの詰まったフルーツ爆弾になららいように野生酵母を使っているそうです。

そうなんです、使う酵母によって香りもコントロールが出来て、ソーヴィニヨン・ブランを醗酵する際にはあのパッションフルーツの香りが引き出されるような酵母があってそれを使う生産者が多いのです。そしてスパークリングワインはある意味Huiaにとって特別な存在で、ワインメーカーでありオーナーのクレアさんとご主人のマイクさんはシャンパーニュのヴーヴ・クリコとテタンジェで働いていたそうで、マールボロに戻ったらスパークリングワインを造ろうと思っていたそうです。ボトルでの熟成は56カ月と非常に長く、ブリオッシュのようなイースト香と柑橘系の果実味のバランスが抜群でした。
Huiaのピノ・ノワールヴィンテージ違いの2014年と2007年の2種類と2016年のHunky Doryピノ・ノワール。Hunky Doryはスーパー向けと言うこともあってジューシーで飲みやすいタイプ。Huia2007年はタンニンも柔らかくなっていてドライフルーツやマッシュルームの熟成がもたらす香りが出ていました。ニュージーランドでは古いヴィンテージのワインが出回ることはあまりないのですが、10年経ってもまだまだ熟成のポテンシャルがあるので寝かしても面白いと思います。

日本でワイン会に参加した際はもう少し生産者側とお客側の距離が遠かったように思いますが、Vino Finoでは少人数と言うこともあり質問もいつでも出来距離は近いです。そしてそのワインのバックグラウンドを知るとまた違った角度からそのワインを理解出来ると思います。どのワインもそのワイナリーの想いを背負って造られているのでVino Finoのようにワインメーカーを呼んでやってくれるテイスティング会はとても面白いですしそこのワイナリーとワインを知る意味でも良い機会だと思います。皆さんも日本であれニュージーランドであれ、もしワインメーカーが参加するワイン会があれば是非参加してみて下さい。
2018年8月掲載







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