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ニュージーランドワインニュース
NEW! 14.08.2025
フェルトンロードのブドウ畑管理でドローン試用

ドローン散布機を使用し、有機殺菌剤散布と作物の監視しながら、二酸化炭素排出量を削減しての管理方法をフェルトン・ロード・ワインズは追求している。

「従来のトラクターの代わりに新型農業用P100 Pro XAGドローンを使い、ディーゼル依存度を80%まで削減した。農業は過酷な作業だ。暑さ、寒さの上に肉体的にも辛い作業だ。しかし、こういった新技術は農業を魅力ある業界にし、しかも持続可能な作業が可能だ。ドローンは100%電気駆動だ。太陽光発電システムでの充電のため、エネルギーコストとディーゼル使用量を削減している」、とオーナーであるナイジェル・グリーニング氏は説明する。

フェルトンロードは、EECA(ニュージーランド政府のエネルギー効率局)の「⾰新的なエネルギー効率化」助成金から、$20,000をドローン導入の共同資金提供を受けた。EECAのアクセスとパートナーシップ担当部長、リチャード・ブリッグス氏は、「革新的な技術がワイナリーでの効率向上とエネルギー使用削減に役立つのはうれしいことだ。これはブドウ園管理が今後も経済的かつ実践的な一歩となり、業界がニーズの変化に対応できるツールを提供することになる」と語っている。

「昨今のドローン効率の向上が著しい。ドローンは伝統的な方法に比べて50~60%速く散布でき、降雨後でもトラクターのように地面が乾燥するのを待つ必要がないので、1ヘクタールをわずか20分で散布可能だ。タンクは50リットルの容量があり、バッテリー交換やタンクの補充のための停止時間を含めても、トラクター使用を上回る速度で作業が完了する。地形追従レーダー、調整可能なノズル、プログラム可能なマッピング機能などの先進機能は、化学薬品の使用を最小限に抑え、かつ散布範囲の最適化もできる。赤外線センサーは作物のストレスや栄養ニーズをマッピングすることも可能だ。植物の疾病管理については、これまでワイナリーが使用してきたトラクターでの作業と比較しても、同等の結果を得ている。特にカビの管理においてドローン作業は効果的だ」とグリーニング氏は指摘している。

「また、作業効率向上に加え、ドローンは操作者への健康と安全向上にも利点がある。例えば、急斜面でのトラクターの転倒リスクや疲労による事故を回避し、作業者の化学物質への接触を減少できる。またドローン使用は土壌の圧縮を軽減し、生態系と被覆作物を保護できる。もちろん新技術への移行には課題も多々あった。第一は、ドローンの効率的な操作を学ぶことだった。

しかし、チームは迅速に操作に適応し、効率の向上と生物多様性の成果を享受している。将来的にはドローンで堆肥ペレットの散布も計画している。ドローン導入はフェルトンロードには単なるツールを超えた存在だ。しかしドローンはツールの一つにしか過ぎず、今後まだ探求し、試行錯誤していくものだ。ツールの性能は、人間が教えることしか発揮さできない。技術の素晴らしい点は、人間を解放し、強みを活かす時間を与えてくれることだ」ともリーニング氏は付け加えた。

EECAとサステナブル・ワイングローイング・ニュージーランド(SWNZ=Sustainable Winegrowing New Zealand)は、ワイン企業が「クリーンで賢い」エネルギー利用を通じて排出量削減を支援する「ワイン脱炭素化プログラム」を開発した。このプログラムの一環として、EECAはワイン業界向けに無料のツール、リソース、ケース・スタディを揃えている。

プログラムの詳細や、フェルトンロードのドローン動作画像は下記リンクを参照(外部リンク):
eeca.govt.nz/co-funding-and-support/products/wine-decarbonisation-pathway

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