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欧州連合(EU)で規定するアルコール濃度(ABV)制限以下の8.5%となったため、セントラル・オタゴにあるフェルトン・ロードは同ワイナリーのバノックバーン・リースリングのヨーロッパでの販売停止令を受けた。リースリングはフェルトン・ロードで売れ筋第2番の白ワインである。
「アルコール濃度を低く抑えたのは、ワインのスタイル的戦略上の決定だった。もちろん、アルコール濃度を8.5%以上にすることは可能だ。昨今の風潮ではアルコールの消費を控える傾向にあるにもかかわらず、このスタイルのリースリングは、現在ほんの少ししか存在しない低アルコールワインだ。ヨーロッパで販売可能にするためだけにアルコール濃度を高くするなんて、愚の骨頂」と、フェルトン・ロードのオーナーのナイジェル・グリーニング氏は言う。
通常のEU規制よりアルコール濃度の低い、特定地域のワインの販売を許可する特別な「規格逸脱」の確保も可能である。例えば、ドイツのモーゼル地域。この地はABV8.5%以下の低アルコールのリースリングで有名である。
グリーニング氏は、フェルトン・ロードは現在ではニュージーランドのEU大使とニュージーランドも同様の規格逸脱を獲得するための交渉に入っており、次回のヘイグで開催予定のEU・ニュージーランドとの通商交渉での議題に加えるように、要請をしている。欧州連合のワインに関する規制2.4.1によると、『ワインはワイン製造地域により、8.5%以上もしくは9%のアルコール濃度を有するもの』となっている。しかし、『規格逸脱により、最低アルコール濃度の適用により、特定保護地域あるいは地理的表示を確保することで、現実のアルコール濃度が4.5%でも許可される。』
「この規制のポイントは、特定保護地域あるいは地理的表示を持っていなければ、規格逸脱が適応できない、ということだ。現時点では、ニュージーランドは地理的が法律で正式に設定されていない。法的な設定がない、ということは、規格逸脱を適応できない、と言うことだ。」ニュージーランド政府はワイン保護振興のためにも地理的表示を設定する準備がある、としている。昨年11月には質と評判に基づいた地域設定の登録システムに関する法案が通過した。この動きはニュージーランド・ワイン・生産者協会が歓迎しており、フェルトン・ロードのリースリングのようなケースには大きな意義がある。
「ニュージーランド・ワイン・生産者協会は会員と地域組織と力を合わせて、登録申請の準備と申立てをしている。地域、品質、評判、土地それぞれの特質・帰属の特徴などをしっかり定義する申請が必要だ」と、法案が通過した際のニュージーランド・ワイン・生産者協会からの声明は論じていた。
フェルトン・ロードは年間1000ケース生産するバノックバーン・リースリングのうちEU諸国には約1000本販売予定としていが、今回のEU判定の結果、このヨーロッパで販売予定だったワインはアジア市場に転売されることになる。