NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
25.04.2012
ワインを飲むための複雑な哲学

「複雑」という言葉はそれだけで重い響きを放つ。洞察や緻密さという意味加え、理解しがたい面倒事という意味もあるが、ワインではポジティブな意味に使われている。リンカーン大学のウェンディ・パー博士は、パリ第VIII大学との共同研究で、ワインを飲む一般の消費者とワイン専門家に「複雑」という抽象的な言葉がどんなことを意味するのか、という研究を行った。

「ワインは飲む人に喜びをもたらし、それと同時に熟考を引き起こす。ワインが必ずしも頭脳の働きと感覚としての反応を呼ぶ起こすものではないし、どのワインも同様の現象を引き起こすとも限らない」とパー博士は言う。

「科学的な見解からすると、どのワインが思考力を刺激するかは定かではないが、『複雑』と思えるワインは『単純』なものより、刺激を与えるのでは、というのがおおよその仮定である。他の科学者たちの研究によると、複雑系のワインは質の高いワインだ、との研究結果もある。」

パー博士の研究では、参加者はワインの複雑さについて尋ねられた際にまず頭に浮かぶ言葉を述べるように指示される。その結果、一般消費者とワイン造りのプロでは複雑の認識度がかなり異なるという結果となった。

一般消費者は主観的な見解から、ワインの香り、味、フレイバーに喜びを感じ、 対照的にプロは複雑さを高めるために駆使した醸造技術のような外部要因を述べ、同時にプロは、赤と白ワインを別個のものとして考える傾向があることがわかった。

私(記者)の基本的なルールはワインを飲んでいるときに頭に浮かぶ言葉が、肯定的だったらそのワインは複雑だという可能性が高く、その反対は単純なワインということである。 しかし、「複雑」さがワイン造りの技巧に満ち溢れ、過度に手を加えられ、樽が使われ過ぎているものを意味するなら、当然単純なワインがいい。個人的には、ワインは複雑さにバランスがあるものが好みである。もちろん、単純が必ずしも悪いというわけでなく、仕事に追われた週や、リラックスしたい時には、そういう単純なワインが最良となることもある。ワイングラスを傾け、うんちくを語る趣味のない人だっているのだ。

とはいえ、人生でもそうであるが、挑戦を楽しむ人だっている。そういう人たちは、努力を伴うワインが必要なのかもしれない。中には中庸を強いるワインもあり、それがワイン愛飲者を知性と知覚への刺激で喜びをもたらしてくれる。

http://www.nzherald.co.nz/wine/news/article.cfm?c_id=365&objectid=10790435

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