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ニュージーランドの園芸農業界は、クサギカメムシ(BMSB)の侵害があった際、極めて小さなサムライワスプ(寄生蜂の一種)をニュージーランドで放出することを観光保護局(EPA)が許可する決定を下したことを歓迎した。
BMSBカウンシルの議長、アラン・ポラード氏は今回の成果を、ニュージーランドの園芸農業界と都市社会にとって最大の脅威の一つに対する画期的出来事であると賞賛した。
「業界は今回の肯定的な決定を非常に高く評価し、申請時の膨大な数の提出物に対しEPAが熟慮したことに感謝している。日に日に大きくなり、貿易と観光分野の境界を越え増え続けている深刻なバイオセキュリティリスクに対する備えへの重要な前進を成し遂げた」とポラード氏は語った。
サムライワスプはケシの実大で、人間とクサギカメムシ以外の動物には一切無害である。BMSBの天敵で、雌のサムライワスプがクサギカメムシの中に卵を産み、その過程で幼虫を殺す。海外の研究により、サムライワスプはクサギカメムシの卵塊の中で7割の卵を殺すことが明らかになっている。
「クサギカメムシは業界へ何億ドルもの損失を引き起こすと共に、全てのニュージーランド人の生活の質へ深刻なダメージを与え得る。ニュージーランド全域でバイオセキュリティリスクの認識が高まることで、業界が楽観することはできず無関心ではいられないということをこれまで以上に意識することとなる」
生体駆除用としてのサムライワスプの放出許可は素晴らしい一歩であるが、サムライワスプがツールとして使用される準備が整うまでには課題が山積している。特効薬ではなく、クサギカメムシの侵入に対しては多角的な取り組みが求められる。
「海外の農作物栽培者がBMSBに対する一次制御として高濃度の殺虫剤に頼っているのを見てきた。サムライワスプは化学薬品への依存を減らすチャンスを与えてくれるが、完全な答えを出すには武器庫の全兵器が必要となる」
ポラード氏は、今回の決定は、園芸農業界のグループと第一次産業省(MPI)が政府産業協定の下協力し合い可能となったと話した。同氏はまた、BMSBカウンシルが極めて重要な情報を使用し申請の助けとなった公正な研究に対し、科学界へ感謝の念を示した。
サムライワスプの放出許可はいつ、どこで、誰の手によって放出されるのかを明確にし、いくつもの厳重な管理を経て行われる。
サムライワスプ・ステアリング・グループより委託を受けたNZIERのレポートによると、もしBMSBが定着すると、2038年までにGDPが18億から36億ドル減少すると見込んでいる。また、園芸農業の輸出額は20億から42億ドル下落すると推定している。
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