NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
20.07.2014
最近のTPP交渉:安倍首相・キー首相

安倍信三首相の最初のニュージーランド公式来訪中に、ニュージーランド首相ジョン・キー氏が外交上の地雷をどのように潜り抜けるかが視点となっていた。

最近の安倍首相のカリズマ性はクライストチャーチ来訪の際にも、2001年2月の当地での地震により29名の日本人市民が命を落とし、その地で死者の冥福を祈る際にも示されていた。経済改革で名をはせた第三の矢(成長戦略)がアベノミクスともいわれる安倍首相の今回のニュージーランドランド来訪には言わずとも、両国の関係構築が全面に打ち出されていた。

安倍首相は既に今年初めにオバマ大統領と環太平洋経済連携協定(通称TPP)に同意しているため、安倍首相のNZ訪問が決まった当初は、キー首相はTTPの早期締結に向けての善後策、としてとらえられていた。自衛隊を海外派遣し、戦闘に参加させるという最近の日本での閣議決定は、今回の来訪に戦略治政的な見方を持つことになってしまった。これは日本が軍事的「権利」を行使し、海外での日本の利権保護を主張するのに強く反対を唱える中国を逆なでする結果となっている。

ニュージーランドが包括的で高い基準を持ったTPPを希望することをキー首相は安倍首相に強く言及したとみられている。今回のTPP交渉では、日本がオーストラリアと締結したような意図的に低く見積もった特恵貿易協定から見返りを得るより、TPP交渉条項を出すべきだという議論に、賛成しないかもしれない、というのが最大の懸案事項であった。

一定期間後、日本の農業関税を段階的に削減するようなTPP合意を取り付けたいというのがキー首相の希望である。一方、最近とみに第一次産業と農業で刻々と日本に脅威を与えているアジア圏内の国との競合で、長期的な観点での必須項目となっている経済改革の加速を促す術として、TTPを締結したい、と言うのが安倍首相の明確な目論みである。

キー首相は、ニュージーランドの将来に高い基準を掲げないTPPに同意しない、と国民に約束しており、安倍首相との会合は今後の将来の通商関係の大きなビジョンを持って出来るかはキー首相の説得力にかかっていた。

安倍首相には王子ホールディングス会長であり日本ニュージーランド経済委員会の日本側会長の篠田和久氏を団長として来日、同社は最近、カーター・ホルト・ハーヴィーのパルプ製紙・包装ビジネスを;10億ドルで買収し、イノヴェーション・ネットワーク・ジャパンとの共同運営を作り上げたばかりである。安倍首相に同行したその他の代表的な日本企業には、住友、日本製鉄、リンナイ、三菱、日本郵船、JTBグループなどがある。

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