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才能豊かな監督、作家、そして「ワインオタク」でもある女性が、ニュージーランドのワインのメッカともいえるマールボロ―で製作した初めての長編映画が近日封切りとなる。
処女作品の映画となるのは「Hang Time」 。3人の学生時代の旧友が出席するはずだった結婚式が突然キャンセルされ、思いがけず旧交を温めることになってしまった、と言うストーリー。結婚式のために用意されていた大量のワインと花嫁となるはずだった女性の一寸変わった伯父さんと一緒に3人はマールボロのブドウ畑で過ごす事になる。ワインを無駄にするのは冒涜だと意見が一致する。
ウェリントン在住の映画監督、ケイシー・ジルバート氏は、「これはワイン映画であり、そして、親しい友達が欲しかったのに、どうすればいいのかわからなかった二人の男性の友情ストーリーだ。」と解説する。
原作の脚本は自称マールボーロー土着民のジルバート氏自身が手掛け、俳優陣にはヘイドン・ウィール、ニック・デーヴィス、ジェッマ・ナイト、ステイ―ヴ・バー、カトリアナ・ジョージを配している。ケケレングのスリーパーズブドウ園での11日間のかなり過酷撮影が終了し、2019年初旬に公開予定となっている。
「この映画製作の発端となったのは、地元で人気ある俳優のヘイドンとニックを起用したかったから。一緒に働く前から、彼らは生涯の友人(BFF)をスクリーン上で演じられると感じていた。ジェマを二人の男性陣に加えることで、3人の力動するエネルギーが産まれた。この映画の魅力は3人のあまりいけてない登場人物が放つ力で成り立っている。撮影開始まで、3人は会った事がないなんて、信じられないぐらい、息が合っていた。」
ヘミングウェイの「日はまた昇る」を題材にした脚本では、男らしさの概念と現代のニュージーランド人の男性が「男らしさが何であり、何を感じ、どう行動するか」を探ろうとしている。
「フェミニストの自分がこういった映画を作成するのは、やや生意気かな、とも思うが、女性から見た男らしさを描いている。女性を題材にする映画を女性の映画製作者が作る機会は沢山あるが、女性から見た男性を描く、というのも重要な事だと思う。」とジルバート氏は言う。
大学時代にジルバート氏はヘミングウェイの小説に強く影響を受けた。「’日はまた昇る‘はスペインでワインを大量に飲み、現実に身の置き場を見つけられない若い人たちのストーリーだった。若い人たちが、自分には居場所がない、と感じてしまうのは何も新しいことでなく歴史は繰り返す、ということを思い起こすことにもなる。現代に生きて行くということがどういう事かを意味するのかを解明するのにアーティストは重要な役割を担っている。」
オークランド大学でワイン科学を勉強したこともあるジルバート氏は、映画の中で使われたワインを供給しているアストラ―ブ・ワインズから製作資金の一部を確保した。共同製作者のスティーブ・バー氏も「ワイン関連業界から気前のいい提供を頂いたし、スリーパー・ヴィンヤード、キィウィ・レイル、ヴィクトリア大学なども映画製作のスポンサーとして名を連ねている。僕達には映画製作にかかわった人たちが本来受けるべき報酬を支払う資金がなかったので、その代償として出来る事は映画製作への関与したことを誇りに思え、これから他の人たちがもっと職に就きたいと思えるようにと映画製作協力者の貢献を認めることだった。」
「ニュージーランドでは監督だけがスポットライトが当たる傾向があるが、映画業界では他の人たちも同様に注目されるべきだ。映画製作のクルーの中には様々な職種がある。例えば、道具関連、CGなど。製作にかかわる一つ一つの工程に、想像力を持っている人が参加できるプロジェクトの可能性が存在している。タイカ・ワイティティがニュージーランド人の映画監督やニュージーランドの語り部の役割を一般の人に開眼した。ニュージーランド人ではどのくらいの若い男性が、想像力を持っていながら、スポーツ業界に身を投じただろうか?何故って、彼等はそれ以外の道がないと思っていたから」とジルバート氏は私達に問う。