NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
30.10.2016
ブドウ畑に観光客ブーム:6月集計の観光統計では11%の増

ホビトンの造園設計をした人に、インスピレーションを求めているワイナリーがある。少なくとも新たに3つのワイナリーが新規建設、もしくはテースティング・ルームのリフォームを、さらにはレストラン改築の計画しているところもある。これは全て、高級ワイン産地を観光の目玉として観光客を引き込もうという計画の一環。

マールボロ地域のブドウ栽培者たちは、建設ラッシュを迎えている。記録更新となる観光客の到来をてことしてのインフラ強化となっている。ワイナリーへの訪問者を、ニュージーランドワインのとりことして、一生涯取り込んでしまおう、と言うのが目的。今年6月までの一年間に62万人を超える外国人観光客がニュージーランドのブドウ畑を訪れた。これは一昨年の11%増。政府の統計によると、ワイン愛好者は、一般の観光客に比べて、滞在期間も長く、消費金額も多い。

「ブドウ畑で提供されるものは洗練されつつあり、そのため、ブドウ畑で体験できることがよくなってきている。ニュージーランドがワインと食べ物のメッカとして名を知られつつある」、とはアドベンチャースポーツと最南端のワイナリーへのゲートウェイとして有名なのクィーンズタウンのアペレーション・セントラル・ワイン・ツアー社のフィリップ・グリーン氏の言葉。

今年6月末でNZ$15.7億ドルだったワイン輸出を2020年までにNZ$20億(US$15億)にするために焦点を当てているもの。これに加え、これまでニュージーランド最大の輸出産業だった酪農を追い越した観光業にまで喚起を与えるのも夢ではない。

ニュージーランドのワインは、ボトル一本の平均価格としてみると、海外市場では高価格帯になっていることが多い。つまり、海外でニュージーランドワインを飲める人は、ニュージーランドを訪問出来る潜在的な観光客とも言える、とニュージーランド・ワイン醸造者協会のマーケティング部長のクリス・ヨーク氏はいう。同業界団体はオークランド国際空港社からの資金援助を受けて先週、観光客に食事提供するワイナリーのデータベースを編纂した。

マールボロには114のワイナリーが存在し、うち少なくても35カ所は、ワイン・テースティング・ルーム(セラー・ドアーと呼ばれている)を持っており、そこで顧客はワインの試飲や製品購入が出来るようになっている。

「このところ、ワインの違いが分かり、ワイナリーでユニークな体験を求めている新しい観光客世代の出現を感じる。こういう人たちは、ボルドーや、ナパ、バロッサ・ヴァレーにも行ったことがあるような人で、クラウディ・ベイやニュージーランドでのどこか違うユニークな体験を期待している」と、クラウディ・ベイのホスピタリティ・マネージャーのマリオ・ドゥサーゲート氏はいう。同ワイナリーは2003年に世界最大の高級品メーカーのLVMHモエ・ヘネシー・ルイヴィトンSEに買収されている。

今年で31年目となる、クラウディ・ベイはニュージーランドでは一番人気のソーヴィニヨン・ブランで有名であるが、同ワイナリーでは、地元のチーズや牡蠣のプレートをたしなみながらワインの試飲が出来る。その上に、ロッジスタイルの宿泊施設も併設してある。「外国で、当社のワインを飲んだことがある人が、どういうところでそのワインが作られているか見たくて、この地を訪れる」とドゥサーゲート氏は付け加えている。

そこからほど遠くないところのジャクソン・エステートはロード・オブ・ザ・リングの映画で造園設計を務めたブライン・マッセイ氏を雇い入れた。マッセイ氏は、この映画で、ホビトンのセットの設計担当をした。ホビット村は今では観光客がひっきりなしに訪れる大人気観光スポットとなっている。彼は、ワイナリー周辺とセラー・ドアーの建物の回りの造園設計への助言をしており、これまでに、この2年間でマールボロでは8つの新しいワイナリーを手掛けた。

「場所があるということは、他の人と分かち合えるホームがある、と言うことだ」とウェリントンのオフィスからウェブキャムから建設状況を視察しながら取締役のジェフ・ハート氏は伝えてきた。

ウィザー・ヒルズは、日本のメルシャンが所有している。セント・クレアーとハイフィールド・エステートが2015年の改装を引き継いだ形で、ここでも今年の11月改築予定のレストランがオープンする。

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