NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
22.01.2024
ワイン産業のためのカーボン・ゼロ・ロードマップ作成

【気候変動の緩和 - 世界的評価の維持】

ニュージーランドワインは、その持続可能なワイン生産の信頼性で高く評価されており、世界で唯一、統一された会員制プログラムが存在する国である。世界的に、ニュージーランドはプレミアムな冷涼気候のワイン生産者としての評判を確立してきた。エルニーニョが2024年の天候(北東部では干ばつ、南部では洪水の可能性)に大きな影響を与えると予想される中、ニュージーランド・ワイングロワーズ(NZW)が、気候変動の影響を緩和するためのツールを会員に提供するために、水面下で行っている活動を再確認することは、時宜を得たものである。

2020年、ニュージーランドワイン業界は、2050年までにカーボンニュートラルな産業になるという目標を発表した。この目標を達成するためにニュージーランドワイン業界のためのカーボン・ゼロ・ロードマップを作成すべく、NZWはエネルギー効率局(EECA)と提携。作業は即座に開始され、今後6カ月間にわたり、2024年から2050年、そしてそれ以降に直面すると予想される特有の課題と機会に対応した計画となるよう、会員と協力していく。

今年6月、NZWはEECAとのパートナーシップにより、ワイン産業における脱炭素化のイノベーションを評価する「排出削減の機会」というレビューを作成、次のプロジェクトで一丸となって取り組むことを楽しみにしている。

【現状】

「持続可能なワイン生産プログラム / サステイナブル・ワイングローイング・ニュージーランド」(Sustainable Winegrowing New Zealand=SWNZ)を通じて、メンバーはワインの生産段階に関連する様々な排出量を測定し、報告している。SWNZを通じて収集された排出量データは、ワイン1本の生産に関連する排出量の約80%をカバーしている。国家レベルでは、主要なワイン生産国の中でこのような主張ができるのはわが国だけである。ブドウ畑とワイナリーの会員は、毎年個別の排出量報告書を受け取り、地域のベンチマークとパフォーマンスを比較し、改善戦略を立てることができる。業界全体レベルでは、これも世界初である。最近発表された温室効果ガス排出報告書2022は、SWNZを通じて収集されたデータに基づくもので、私たちの現状をよく示している。ワイン生産からワイナリーのドアまでの温室効果ガス(GHG)排出量は、2022年ヴィンテージで131,768トンCO2e(二酸化炭素換算)と推定され、ワイン1本あたり258gCO2eに相当する。

  • ブドウ畑からの排出量は、このうち41%を占めた
  • ワイナリーでの梱包が総排出量の44%を占める
  • ブドウ畑では、ディーゼルの使用が最も温室効果ガスを排出し、720kg CO2e/haである

SWNZはワインの流通に伴う排出量や、ブドウ畑やワイナリーのインフラにおける排出量を考慮していないため、この数字が全容ではないことは承知しているが、重要なスタートであることは間違いない。

【未来へのロードマップ】

まだ長い道のりで、気候変動の旅路を助けるためにさらなる指針が必要であることは明らかだ。現在から2050年までの間に、私たちはどうあるべきか?排出量を削減するために、メンバーにとって最善の選択肢は何か?助けてくれるパートナーは誰か?また、SWNZプログラムをどのように調整すれば、変化を導き、奨励することができるのか?

カーボン・ゼロ・ロードマップは、私たちの計画に沿って会員が十分な情報に基づいた意思決定を行えるよう、次のステップに進むための一助となるものである。さらに、ニュージーランド国内および海外の主要なステークホルダーに、私たちの意図と焦点を伝え、将来に向けて可能な限り迅速に排出量を削減するという、私たちの高いコミットメントを示すことにも繋がる。

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