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NEW! 15.07.2025
ブドウ畑の土壌健康状態 新たなミミズ土壌検査で明らかに

最新のミミズ土壌検査によると、国内のブドウ園の生物学的健康状態に関する成果が発表された。ヒル・ラボラトリーズが昨年開発した、ミミズ環境DNA(eDNA)土壌検査を使用しての検査は、土壌中を移動する際にミミズが残す微量の遺伝物質を定量PCRで測定するものだ。

この分子技術は、ニュージーランドのミミズ総数の70~80%を占める浅い土壌に生息するカッショクツリミミズ(ラテン語名:アポレクトオデア・カリゴニサ)の個体数を測定するものだ。「ミミズは健康な土壌条件が必須なので、土壌健康の重要な指標だ。ミミズは土壌の生態系エンジニアとして知られていて、土壌中の通気性や栄養素の循環に貢献し、良好な土壌構造の形成や有機物の分解にも役立っている。このeDNA検査は、アグリサーチのシニア研究員でミミズ研究の第一人者のニコール・ショーン博士との協力で、牧草地土壌向けに開発されたものだ。ショーン博士は豊富な背景知識と指導を提供してくれた」とヒル・ラボラトリーズの農業部門市場部門マネージャー、エリン・マックイルマーレイ氏は語る。

この検査方法はブドウ栽培と園芸にも同様に適用可能だと研究チームは考えており、ブドウ栽培で用いられる深い土壌中に散在するミミズの数とeDNAレベルを関連付けるための校正作業が進められている。

ブドウ栽培者は、土壌肥沃度検査と同様に土壌サンプルを採取する。採集に最適な時期はミミズの活動が活発な時期の冬から春の中頃で、できれば毎年同時期に実施すると比較が可能となる。

「こういった検査は視覚的土壌評価(VSA)を補完するものだ。VSAは労働集約的で専門知識を要する。それに反して、ブドウ畑での検査は簡単な代替手段であり、土壌健康監視方法の一つのツールとなっている。土壌肥沃度評価用に採取したのと同じサンプルで実施できる点は、明らかに利点だ」とマックイルマーレイ氏は語る。

ヒル・ラボの創設者兼執行役員のヒル博士は、この試験の開発に大きく貢献してきたが、「これはまだ始まりに過ぎない。この技術の潜在能力を多様な作物と農業方法をより探求し、ニュージーランドの農家と生産者を支援することに全力を投じている」

“Our Land and Water”(ニュージーランドの国家的科学プログラムで、政府が定めた目標は、第一次産業の生産量と生産性を向上させ、将来の世代のために同国の土地と水の質を維持、向上に貢献)は、eDNA試験の開発初期段階の資金提供をしている。

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