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ニュージーランドでは2024年の収穫量が過去2年よりも「著しく少ない」と予想されており、サラ・ニーシュ氏は国内のオーガニック生産者が不釣り合いな影響を受ける可能性があるかどうかを調査している。
ニュージーランド産のオーガニックワインが増加傾向にあることが大きな話題となっている中、バビッチ・ワインズのCEOであるデビッド・バビッチ氏は昨年、マールボロのソーヴィニヨン・ブランにとって、オーガニックはプレミアムワインの次のステップだと語っている。
しかし、オーガニックの生産者は慣行栽培の(従来型)生産者よりも収穫量が少ない傾向にある。オーガニックに必要な労働集約的なブドウ畑作業のために作付面積が少ないのか、病害のプレッシャーがあるのか、あるいは合成肥料を使用しないためなのか、2024年の収穫量が少なければ、ニュージーランドのオーガニック革命に一石を投じることになるのだろうか?あるいは逆に、オーガニックなアプローチが今年は有利に働くかもしれない。
オーガニック・ワイングロワーズ・オブ・ニュージーランドのマーケット・マネージャーであるサラ・ブッカー氏は、2024年の収穫量は2023年と比較して15%程度減少すると予想している。噂によると、従来型生産者の収穫量は10%ほど落ち込むという。
収穫量が少ない年に、オーガニックのワインメーカーが従来のワインメーカーよりも大きな打撃を受けるかどうかについては、そもそもニュージーランドの収穫量が全体的に減少している理由による、とブッカー氏は言う。
「昨年はニュージーランド全土でうどんこ病が多発し、従来型のブドウ畑は大きな被害を受けたが、有機栽培のブドウ畑は、ブドウの木が自然に病気と闘えるような生態系を作り上げていたため、非常に良く育った」とブッカー氏は説明する。
ニュージーランド・ワイングロワーズCEOのフィリップ・グレギャン氏によると、2024年の収穫量が少なかった主な要因は、国内のいくつかのワイン生産地での春の天候不順であるとのこと。
「天候が良かったり悪かったりで、気温の低さが結実に影響を及ぼした」とグレギャン氏は話す。
「北島の産地、ホークスベイとギズボーンでは、サイクロン”ガブリエル”の影響が今も続いている」と、インヴィーヴォのワインメーカー、ロブ・キャメロン氏は語る。「マールボロでは、房数が減少し、夏が極端に乾燥したことも、適度な収穫量に寄与している」
最終的に、有機栽培を行う生産者が今年どのような結果を出すかは、彼らが何年間有機栽培に携わってきたかにかかっている。というのも、ブドウの木が自給自足できるようになるまでには、「4、5年はかかる」とブッカーは言う。
現在、ニュージーランドのワイナリーの10%以上がオーガニック認証を取得しており、ヴィラ・マリアやバビッチ・ワインズにギーセンなど、ニュージーランドの従来型ワインメーカーの多くが、消費者の需要や気候変動に対するヘッジとして、自社製品に1、2種類のオーガニックワインを加え始めている。
ブッカー氏は両方のアプローチに賛成している。「両方取り組んでいる人たちを称賛する」とブッカー氏。
オーガニックは収穫量が少ないことを意味するのか?
デイヴィッド・バビッチ氏によると、理論的には従来型ブドウ畑の収穫量が15トンだとすると、有機栽培のブドウ畑の収穫量は11トンとなり、4トンのブドウが不足することになる。しかし、生産者の2つのブドウ栽培アプローチに隔たりがあるにもかかわらず、バビッチ・ワインズは2024年の収穫を心配していない。
バビッチ・ワインズのUK & EUマーケット・マネージャー、クリス・クイン氏はこう語る。「我々はそれでも売り切れないほどのオーガニック・ワインを造っている。2022年のヴィンテージに切り替わったばかりなので、在庫は潤沢だ。オーガニックのカテゴリーでは、従来型ワインより9~12カ月遅れてリリースされる傾向がある。より長いサイクルであり、その分ワインはより良いものになる」
セントラル・オタゴに拠点を置くピノのスペシャリスト、ドメーヌ・トムソンは、2024年の収穫量が例年より少なくなることを認めているが、100%オーガニックのアプローチはこれとは関係ないと言う。
「オーガニック=収量が少ないという考え方には固執していない」と共同設立者のPM・チャン氏は言う。「我々の2024年ヴィンテージは総トン数では確かに少ないが、それは春の霜によるもので、有機栽培だからというわけではない」
「ブドウの木にとって快適なレベルで作付けすることを目指しており、有機栽培は常に有利だと考えている。健康状態を確認する際、樹冠だけを見るのではなく、地面の下でブドウ畑に何が起きているかに注意を向けている。我々は土壌改良に多くの時間と資金を費やしている。それは今年、そしてこれからも続く多くのヴィンテージの土台となる」
ドメーヌ・トムソンは、ニュージーランドとブルゴーニュの両方でブドウを栽培しているため、特にユニークな視点を提供できる立場にある。今、オーガニックであることが容易なのは、この2つの産地のどちらなのだろうか?
「ブルゴーニュにおける有機栽培の問題のひとつは、区画の大きさ」とPM・チャン氏。区画が小さく隣との距離が近い場合、病害の蔓延を避けるため、非常に注意深く手入れしなければならない。区画が大きければ、ニュージーランドのように問題を回避しやすいのは明らか。しかしながら、最近はブルゴーニュでも有機栽培農家が増えている」
グラハム・ノートンやサラ・ジェシカ・パーカーのワイン用にニュージーランドの様々な産地のブドウをブレンドしているインヴィーヴォのロブ・キャメロン氏は、2024年の収穫量が減っても「ワインの供給には影響しない」と主張する。キャメロン氏は「有機栽培の果実は常に我々の供給において重要な部分を占めてきた」と言い、「難しいヴィンテージにおいては、有機栽培の果実は従来型栽培の畑よりもはるかにうまく対処できるようだ」と語る。
2024年のヴィンテージに関して、有機栽培の生産者は依然として高い自信を持っている。また、ニュージーランドの有機農産物にはプレミア価格がついているため、収量が15%減少しても、コストを回収できる可能性がある。
世界の消費者がニュージーランドのオーガニックワインにいくら支払う心づもりがあるかという点で、まだ上限に達していないのであれば、気候変動が安定しない中で果実の自然な回復力が高まっていることと相まって、ニュージーランドのオーガニック生産者は2024年の収量不足を他の生産者よりもうまく乗り切ることができるだろう。