NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
02.03.2008
地球温暖化の意外な利点

常に防止策が叫ばれ、世界を脅かしている地球温暖化。オーストラリアでは干ばつが深刻な問題となっているが、タスマン海を隔てた隣国ニュージーランドのワインにとっては恩恵となるのではないかと葡萄栽培者達の間でささやかれている。

今やアメリカやイギリスを始め、そのワインは世界各地のレストランのワインリストに載り、国際ワイン・コンテストにおいてメダル受賞の常連ともなっているニュージーランドも、過去を遡れば気候面では決してワイン生産に恵まれていた国とは言えない。

世界最南端のワイン生産地の1つとして知られるニュージーランドは、冬の霜や南極からの風、また一部地域では季節外れの霜に悩まされることも少なくないため、ワイン用の高品質な葡萄を栽培するのは難しいとされていた。
しかしここ数年でその気候にも変化が見られている。

今年も非常に暑い夏を過ごし、この気候が続くと葡萄にとってはより適した気候になるのではないかと葡萄栽培者達は話している。

ニュージーランド・ワイングロワーズ代表、フィリップ・グレギャン氏は次のように語る。
「現在ニュージーランドの主要ワイン産地と言えば、ギズボーン、ホークス・ベイ、マールボロなど、比較的温暖で乾燥した地域が多い。しかしながら、今後もしニュージーランドの平均気温が1~2℃上昇するとすれば、今は寒く雨が多い地域でも高品質の葡萄栽培が可能になるかもしれない。そうなると、現在よりも幅広い品種・スタイルのワイン生産が視野に入ってくるので、ニュージーランドワインの全体像を描くと、その未来は明るいと言えるのではないか」

また、ニュージーランド国立水圏大気研究所(NIWA)のシニア気候科学者であるジム・サリンジャー氏は、葡萄栽培地が南下していくであろうと予測している。現在北島ワイララパや南島マールボロで大半が栽培されているソーヴィニヨン・ブランは、20~30年後はさらに南のカンタベリーが主要産地となる可能性があったり、冬は雪に覆われる南島のテ・アナウでも葡萄栽培が可能になるかもしれない、などを例として挙げている。

しかしながら、一方では北の方に位置する産地では、生長期に雨が多くなったり急に季節外れの寒波が訪れるなどのマイナスの変化も懸念されている。

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