NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
23.03.2021
花形ワインメーカー、ネルソンへ移住

ジェームス・ヒ―リー氏はワイン業界に身を置いてもう40年以上の重鎮だ。クラウディ・ベイに移る前の最初の仕事は、もはや存在しないコーバン・ワインズでの品質管理だった。そこで彼はブドウ栽培の専門家アイヴァン・サザーランド氏と出会い、意気投合した二人は大成功を収めるドッグ・ポイント・ヴィンヤードを始める事となった。

ジェームスはワイン作りの格式に左右されず、創造力豊かで冒険心を持ってワイン作りをする人間として知られている。その代表がクラウディ・ベイ時代にテ・ココ・ソーヴィニヨン・ブランやドッグ‣ポイント・セレクション・94ソーヴィニヨン・ブランで代表されるような樽での熟成開発だ。市場でのソーヴィニヨン・ブランの人気の高さをよく知ってはいるが、彼の本当のパッションはシャルドネにある。

彼の娘のソフィは、夫のマーク・マクギル氏とこれまでオーストラリアでシードル作りをしていたが、数年前に二人はソフィが子供時代に家族での休暇で過したことがある土地であるネルソンに戻ってくることになった。ネルソン移住は彼らのビジネスをもう一歩上のレベルに持っていけるのでは、という考えからだった。

ネルソンで将来孫が生まれるかも知れないという大きな期待からジェームスと妻のウェンディをもネルソン移住を検討するようになった。二人はネルソンに中古家を購入し、改装を始めた。かくしてジェームスはマールボローとネルソンの往復する生活を開始した。ドッグ・ポイントでは彼は少数株主となり、ネルソンでの新たなワインプロジェクトに関わり始めた。

ジェームス夫妻は娘夫婦と半々のパートナー契約を結び、アッパー‣モウテレに30ヘクタールの土地を購入し、2022年に最初の収穫を目標に5ヘクタールにシャルドネのクローンを密植させた。2021年の収穫時にはワイナリーを建設予定で、ABELブランドでのワイン販売を既に計画している。

現在はマークとソフィ夫妻がビジネスの前線に立っている。マークは瓶熟成のサイダーを10年間生産していた。彼は樹木で熟したリンゴと梨を手で刈り取り、シードルとワイン作りの技法を混ぜたやり方で毎年少量製造していた。ABELブランドのサイダーも発売予定だ。

「ネルソンのアッパー・モウテレにシャルドネの苗を植えた時は、最高の品質を手にするように感じた。この地の土壌で成長したシャルドネは芳醇なレモンとグレープフルーツの味を持ち、晴らしい舌ざわりのあるエネルギーを産み出す」と満足げな顔でジェームスは語った。

ジェームスの計画では、この地特有のテロワールを表現したワインの特徴でもある、引き締まった感じ、でピリッとした、果実味豊かなシトラスとミネラルの性格があるシャブリをモデルにシャルドネ作りをしたいとのこと。ここで製造されるシャルドネは全て3,500リットルのフレンチ・オークの樽で発酵、成熟される。

「大樽はオークやシトラス系の味が目立たせる影響を軽減させる。それにワインの発達をゆっくりさせて、私が求めている新鮮さを維持出来る。これまでブドウの苗を育て上げようとそちらに神経を集中し過ぎてきたが、今後はオーガニックの精神に則る手法にも出来るだけ早く転換していきたい。苗が安定してきたら、乾地農法も試みてみたい。粘土質の土壌は干ばつの時のような状態でも水分をたっぷり貯えることが出来る。今のところシャルドネから始めてはいるが、今後はもっと幅を広げて製造をするつもりだ」とジェームスは言う。

今や通いなれたネルソンとマールボローを往復する車中でジェームスに、新しい生活様式の感想を聞いてみた。

「正直なところ、ブドウ畑の育成、家の改造に忙しすぎて、社交する時間などこれまで全くといい程なかった。でもこの地方の美しさには家族全員魅了されている。長い日照時間と孫たちを含めた家族の時間が大切だ。」

どうやら彼らの製品同様、ジェームス一家の今後がますます楽しみなものになりそうだ。

SHARE

関連のあるニュース