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雑草駆除に化学薬品に頼るのではなく、レーザービームで雑草を枯らしてしまうマップ&ザップ®という新技術が開発された。これを開発したパーマストン・ノースにある、ニュージーランドの国有企業法人アグ・リサーチ内のマーゴット・フォールド・ジーンバンクのディレクターのカイエマース・ガンカー博士は、「この技術はニュージーランドの農業関連分野での雑草対策への取り組み方を変えてしまう可能性を持つ製品だ」と表している。
「マップ&ザップ®のアイデアは農業関連分野で化学薬品を使用せず雑草駆除の必要性を感じたことから生まれた。AIで雑草識別し、レーザー・ザップ技術で化学除草剤の必要を最小限に抑えられる。この製品は既存の農業機械に取り付け可能で、人工知能を使い、不要な雑草を初期段階で識別し、300℃のレーザーで雑草を根こそぎ枯らす、というものだ。」と同博士は語る。
「既存の雑草にだけ除草剤を散布する『発見・スプレー』システムに類似するが、マップ&ザップ®はスプレーの代わりにレーザーを使用する。また、周囲の作物や牧草地などの、ターゲット以外へのダメージがないのも大きく違いだ。マップ&ザップ®ソフトウェアは、どの雑種に散布するかのプログラムが可能だ。これまでの試験結果は『圧倒的に肯定的』で、現在、16種を識別、散布可能なプログラムとなっているが、今後さらに多くの雑草種の削除が可能となる。システムは日々賢くなっていて、開発者としても、期待に胸が躍る」と博士は言う。
「当初はレーザー搭載したドローンの使用を検討していたが、地に足を置いて再度検討した結果、地上での散布用のものを再開発し、適応させた。製品を実際に使用するだろう農家の人たちとの対話の結果から、彼らが化学的防除に代わるものを求めていることが明らかになった。レーザーで雑草駆除の利点は、雑草が種を作り、さらに広がる前に早期駆除可能な点だ。発芽初期の小さな雑草に焦点を当てれば、種子銀行を弱らせ、蔓延を防げことができる。マップ&ザップ®のプロトタイプの効果は既に実証されていたので、次に必要となることは、若干の微調整と市場投入のための投資だ。前進には投資が必須だ。推定180万ドルの追加投資で、一年半以内にマップ&ザップ®は商業的に利用できるようになるだろう」、とガンカー博士は見込んでいる。
現在の推定価格は100,000ドル。今後の課題は、それをより手頃な価格にすることだ。費用対効果を重視しエンジニアリング・チームは、既存の機械に取り付けられるような設計を行った。
園芸、木材プランテーション、耕地面積の広い作物などは、薬剤散布の削減から恩恵を受ける可能性のある農業分野のほんの一部だ。一方では、既に除草剤耐性をつけた雑草も存在している。マップ&ザップ®は世界的に使用される可能性を秘めている。除草剤耐性の雑草は、70カ国以上、およそ100の作物の存在が報告されている。
ガンカ―博士がこのプロジェクトを立ち上げた達役者ではあるが、マップ&ザップ®開発の背後には、レーザー科学者、技術統合の専門家、メカトロニクスの専門家など、ニュージーランドを拠点とするチームの存在があった。
「専門家チームを結集し、互いに関連性を持つ小さなコミュニティーがいかにイノベーションとインパクトを加速させることができるかが実証された」とカンガー博士は共同研究開発の秘訣を語る。
さらなるマップ&ザップ®には明らかなターゲット市場としてオーストラリアに注目が集まっている。
「ニュージーランドから見ると、オーストラリアは非常に魅力的な市場だ。世界市場へ挑戦する前に、まずオーストラリアでの実証をしていきたい。技術の初期開発段階から既に、オーストラリアとニュージーランドの両方から、強力なサポートを受けてきた。つまり、農業関連技術の生態系全体、両国がそれぞれの強みを活かし、まだ未開発の分野での共有する課題をより効率的に取り組むことができるよう、両国の国境を越えた真の協力できる機会が存在している。今後の最終的な、大きなチャレンジは、いかに製品を市場に出すこと、そして両国の農業関係者の手に製品を広げることだ」。
とはいえ、ガンカ―博士は当初持っていた、ドローン使っての雑草駆除という考えをまだ諦めていないようだ。
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