NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
05.05.2022
ニュージーランド人のマスター・オブ・ワイン、国際的な研究賞授与

マールボロブランク・キャンヴァス・ワインズのオーナー兼ワイン・マネージャーであるソフィー・パーカー・トムソン氏は、不耐性に関する研究での功績で著名なポルトガルのワインメーカーの名を冠するキンタ・ド・ノヴァル賞を授与された。彼女はもっとも最近にマスターオブ・ワイン資格を取得した者でもある。

「これまでの私の研究が認められ、個人的にも大きな意義がある受賞だ。しかも世界中の新たなマスター・オブ・ワインのあらゆる分野からの素晴らしい研究の中から選択されたのだから、その喜びは格別だ。マールボロは現今が収穫の真最中ということもあり、ロンドンでの授賞式に実際に出向いて受賞することが出来なかったのは残念だったが、インターネットで受賞スピーチをした」と、34歳の受賞者は語る。
この研究は、マスター・オブ・ワインの最終試験において、候補者がトピックを選択して、研究成果論文としてまとめ上げたものである。
ソフィー・パーカー・トムソン氏はワイン不耐性(彼女曰く「十分な治療を受けられない二日酔い」)に関して一年半の研究を重ねてきた。「この題材を選択したのは、個人的に興味があったのがまず第一だ。と言うのは、一般の人もかなりの興味を示す要因であるも関わらず、ワイン不耐性についての科学的な文献がなかったことが起因している。」

亜硫酸塩(SO2)はワインに含有され、防腐剤として使用され、一般的に頭痛、片頭痛、吐き気などのワイン不耐性を引き起こす原因とされてきたが、トムソン氏の研究ではこの言われに疑いを投げかけた。
亜硫酸塩が原因でなく、生体アミンと呼ばれる化学物群(よく知られてる人体への毒性の高いものはヒスタミン)が原因ではないか、と提議している。ヒスタミンは自然の物体で、体が作り出し、ストレスやアレルギー時に発出され、また多くの食物の中にも存在する。
「皮肉にも私の研究データでは、ワイン製造全行程で亜硫酸塩未添加のワインや最終工程の瓶詰め直前に亜硫酸塩添加をしただけのものが、統計的に生体アミン濃縮度が非常に高い傾向があることを示していた。そのため、ワイン不耐反応を経験した人は、亜硫酸塩を含まないワインを避けるべきなのに、実際のところそれはこれまで人が読み聞きしていた事と、全く逆のことだった」とパーカー・トムソン氏は成果の結果を語る。

今回の受賞の賞金は1,000ポンド(既にその賞金でワイン購入済み)、額入りキンタ・ド・ノヴァル賞、ワインとポート一箱だ。その上にポルトガルのドウロ・ヴァレーにある同ワイナリーへの旅行も副賞として与えられた。
「ドウロ・ヴァリーには行ったことはないが、もちろん賞の一部でもあるので是非訪れてみたい。とても楽しみにしており、今年の9月には訪れたい。ヨーロッパでの収穫時を家族と一緒に過ごすのを楽しみにしている」とのこと。

トムソン氏は、ニュージーランドのギズボーンセントラル・オタゴ周辺で育ち、2011年の収穫時にマールボロに移り住み、そこで現在の夫となった、マット・トムソン氏と出会った。その後二人はプレミアム・ワインのブラック・キャンヴァスを2013年に創設し、少量のクラフト・ワインを製造しながら、最近はロック・ストック&バレルコンサルタント社としてコンサルタント業も始めた。
2014年パーカー・トムソン氏は2年間のワイン・スピリッツ教育ワイン教育機関(WSET)のディプロマコースを修了している。現在は研究活動と勉強から一休みして、「会社の運営に力を注いでいる。コンサルタント業でのプロジェクトやアペレーションマールボロワイン委員会での役割、そしてもちろん家族との時間を大切にしている」と語る。

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