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ニュージーランドが自ら課したオーガニック目標にはほんの少しで到達とはならなかったが、目標に向かうべくかなり多くの生産者が農法変換を遂げたという事実は、同国が目標達成をする日もかなり近いようだ。
ニュージーランド・ワイン・ウィークの新たな試みとして先日ヴァーチャル・セミナーが開催された。「次の段階へ」と題されたセミナー上で、ホスト役を務めたマスター・オブ・ワインのエマ・ジェンキンズ氏は、「2020年までに一部地域での有機認証率を20%までにしようというゴールはかなり楽観的だったが、ニュージーランドが良い方向性に向いているワインだとの名声を勝ち取るためにもかなり野心的で、魅力ある駆動力となっていた」と述べていた。
現在のところ、ニュージーランド国内では10%以上が有機認証を受けている。しかし、ブドウ畑のレベルでは、実際には目標率の20%にかなり近い所まで来ていると示唆されている。目標未到達であってもニュージーランドは有機栽培のワイン作りでは世界的なリーダー的存在だ。今回のセミナーでもこの側面が論じられ、「ワイン生産者は土地を守るための長期的な責任を担っている」と強調されていた。
「有機栽培法を理解すれば、生産者にはより高い小売り価格を得られるのか」という質問に対し、クオーツ・リーフでワイン・メーカーをするルディ・バウワー氏は、「現段階では直結するとは言えない。しかし一般的に消費者は自分たちが飲食するものへの関心度は高いので、最終的には購買行動にも影響があるだろう。そうなれば消費者もいい事をしているという気分にもなるので有機栽培の物を求め、家庭内に持ち込むものへの責任をもっと考慮するようになるだろう」と答えていた。
「そして顧客といかに対話するかが直接的に関与する。ニュージーランド産ワインは長年高品質を売りにしてきた。生産者の生活哲学がどんなものであるかにも関わらず、究極的には消費者が欲しいのは高品質のワインだ。高品質ワインの追求はニュージーランドが行っていることのごく一部にしか過ぎない、だからこそニュージーランド・ワインは非常にエキサイティングなのだ。」
「小規模で有機手法でワインを作る若い人達の出現が目立ってきている。こういう人はワイン作りを将来の仕事にしたいという目的を抱き、ワイン醸造学の学位を持っていることが多い。ホークスベイ地域では、有機栽培に関しては他の地域に比べて、やや遅れを取っている。ヴィラマリアは2025年までに完全に有機栽培に移行しようと懸命だ。そこでこれまでホークスベイ地域マネージャーをしていたジョナサン・ハムレット氏は競合のクラッギーレンジに転職した。そこから見ても、ホークスベイ地域の有機栽培の未来は明るいと感じる」とアムワーズ・ワインのオーナーでワイン・メーカ―でもある、エイミー・ファンズワース氏は付け加えた
ニュージーランドは世界的に見ても有機栽培の先駆者の一つに数えられる。現在111のブドウの有機栽培認定業者がおり、そのうちのいくつかは複数のブドウ畑での認定を受けている。ワイナリーでは73が有機認定を受け、中には自社でブドウ栽培をしているところもあるため、二重に数えられている場合もある。
現在ではニュージーランドのワイナリーの10%が有機栽培の認証を受理し、オーガニック、バイオダイナミック手法のワイン生産量は全体の約6%となっている。ギズボンのミルトン・ヴィンヤードでオーガニック、バイオダイダミック手法で長年ワインづくりをしているジェームス・ミルトン氏は、バイオダニナミック認証を受けた生産者でもあり、ニュージーランド最初にして、南半球最初の人物だった。