NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
29.11.2021
ワイン業界は実習制度で底上げなるか

コロナ禍で拡大運用された実習制度はニュージーランド国内のワイン業界の人に魅力あるものになってきている。

これまでは主に建築、建設業界などが参加していた「実習強化制度」には既に1万社以上の企業が登録済だ。政府が2020年6月に制度が導入されてから、労働者層の再活性に成果を遂げている。

第一次産業訓練機関の産業別アドバイザーのジェームス・クロケット氏は、「この制度の導入で、該当分野で勉強をしていた学生が負担していた費用撤廃のみならず、ワイン業界にもプラスとなっている。コロナの影響で、一旦は離職をせざるを得なかった人が、再び第一産業や商業部門での求職開始している。そのために政府は園芸、ブドウ栽培分野での人材不足解決に大掛かりな再訓練、職業訓練への資金導入を始めた」と、背景を説明する。

ワイン業界も産業別訓練機関からの支援を得て、高卒程度のクラスに在籍する人を対象とした園芸訓練への補助金投入が可能となった。訓練生受け入れの企業は学生一名につき、初年度12,000ドル、翌年は6,000ドルまでの支援金を授与できる。

「季節労働者制度からの労働者だけでなく、熟練工や正規労働者に関しても人材不足は明らかだ。我々の任務はこういった労働者不足の業界に人材訓練材料と評価基準となる情報等を提供して、スタッフが各々の業務での資格確保できるようにすることにある」とクロケット氏は語る。

職業訓練増加計画は2022年8月に終了するが、参加資格者は現在の訓練生と今後の訓練生となっている。

「例えばワイン関連やブドウ栽培の企業に勤務する人がいて、職場側からもっと訓練を積んで欲しい、あるいは資格獲得して欲しい人材がいるとすると、すぐにそういう人材をこの計画に登録する。その後10カ月間、政府から10,000ドルの援助を受けることができる。つまり、わざわざ新しい訓練生を確保する必要なく、現存のスタッフでもプログラムで訓練の恩恵を受けることが可能だ。コロナ禍で仕事を失ってしまった人や、第一産業での訓練を受けたいという人にとって、非常に有意義なプログラムとなっている」と語る。

教室内でキャリアの創造
ニュージーランドワイン製造者協会の対外関係マネージャーのニコラ・クレナン氏の今後の希望は、ワイン業界関連授業をカリキュラムに入れる学校数の増加だ。コロナが引き金となり、同協会は過去一年半に政府機関や高等教育プロバイダーとの関係構築を強化してきて、ワイン業界で従事する人材を誘発するために「チャンスはここに」と銘打ったプログラムやキャンペーンを打ち立ててきた。現在の目標は、ワイン関連のキャリアに関する中等部教育での学習機会不足に目を付け、ニュージーランドワインスクール、第一産業訓練機関、リンカーン大学、園芸・農業教育協会などとも話し合いながら、今後の教材作成に向けた協議をし、ワイン業界に関する授業をカリキュラムに取り入れたい希望の学校に追加教材を開発し、提供する予定だ。

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