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ニュージーランドワインニュース
09.11.2020
産業用プラスチック容器の隠されたストーリー

産業用大型プラスチック製コンテナ一個だけでも普通のプラスチックバッグの2万枚分ぐらいの重量がある。大型プラスチック(通常1.2~2.6万リットルの容量)は、何の規制も、記録もないまま埋め立て地に放り込まれている。政府や関連省庁は、ワイン、ペンキ、薬品類の運搬に使用されるポリエチレン製のコンテナに使用されるフレキシタンク廃棄物の増加には目をつぶっているのが現状だ。

 北島で運搬業務をするある一社の統計では、昨年1年間に一回のみ使用した産業用プラスチックコンテナが450トンも埋め立て地行きとなった。プラスチック・バッグで換算すると900万枚分の重量だ。

 データなし、アクションなし

産業用大型プラスチック製コンテナの廃棄は、スーパーの買い物袋やストローなどの使い捨てのプラスチック製品を段階的に廃止して行くのを掲げる消費者運動を台無しにしているばかりか、行政はこの件についてデータもなく、その上確固たる見通しもない。

「ポリエチレン製のコンテナは現段階での使い捨てプラスチック製品の段階的削除には取り込まれていない」とは環境省の弁。

コンテナの販売業者の試算ではフレクシィタンクの業界別使用量は(数字はフレクシィタンクの個数):

  • 大規模食糧会社は年間300~500
  • ワイン会社はブレンドの段階で20~30
  • 廃棄油を詰めて輸出、電力発電所向けの絶縁油の輸入に使用
  • 製紙会社は疎水資材合成物を詰めて輸入に使用
  • 製薬会社もフレクシィタンク運送を増加
  • 飲酒類の使用は世界的にも顕著な需要増

使い捨てプラスチック・バッグの使用を止めようとの市民活動は、現時点では、数百万ドル規模の市場だが、これは2027年までには3倍にも増大すると見込まれる商業用製品にまで及んでいないのが現状だ。

代替案の検討

フレクシ・タンクの使用を許可するか否かに関する問題は一筋縄では行かない。「代替案としては、かなり頑丈な金属かプラスチックのタンクの可能性もあるが、その運搬にはプラスチック製より燃料が多く必要だ。再使用可能なフレクシィタンクは今後ニッチ・マーケットとして成長するだろう」との声がプラスチックの業界団体から上がっている。

タンクの中にはポリエチレンの一層構造のものがあり、これは再生プラスチックで作られていることが多い。傾向としては3重構造のタンクもあり、これには当然ポリプロピレンを含む。複層構造は酸素量が多く、湿気がバリアとなり、飲料製品の運送には適し、しかもコンテナ内での破損保護にもなる。但しタンクが複数の成分で構成されたプラスチックだと、リサイクルが難しくなるという声もある。しかもその容器が何に使用されたかにより、リサイクルにはさらなる課題となる。

「製品の製造から、エンドユーザーに使用後までを総合的に考えるというプロダクト・スチュワードシップスキームの必要性が問われている。政府としては、プラスチック供給業者からの経済的援助を導入するという国家的なプロダクト・スチュワードシップスキームを検討している」とこのスキームを進める団体は言う。

今月前半に開催された計画中の国のプロダクト・スチュワードシップスキームに関する諮問委員会では、産業用プラスチックを含む害ある廃棄物の6つの優先的製品について話し合いが持たれた。しかし、環境省ではこの計画を進める人員が2019年中盤でたった一人しかいなかった。現在やっとその人員数は4名になったというが、労働党の選挙政策に提示されている現在の政府の削減目標は小型の非再生プラスチック製品にとどまっている。

持続可能なビジネス・ネットワークでは、「プラスチック梱包関連製品にもっと重視すべきだが、現在のところ小売り部門にのみ注目が集まっている。これはまさに商業ベースの盲点で、すぐに着手しなくてはならない。活動の手始めがエネルギ―があるところだったので、消費者に直結するものになってしまい、卸売りサイドまで頭が回らなかった。まず最初に手を付けなくてはいけない点は、現在どのくらいの量のフレキシ・タンクがあり、どの業界が、どういう目的で使用しているかの調査だ」との基本的なデータ収集の重要性を示唆している。

環境保護団体のグリーンピースは、皮肉をこめて「そもそもフレキシィタンクの誕生は梱包と運輸業界が環境への配慮の想像力のなさから発端している」との意見。

地方政府の法人組織団体は、「梱包製品製造者は、自分達の製造する製品が再生可能だと口では言うが、実際の所、税金を納める人の血税を沢山使って初めて再生が可能になるだけだ」と言う。

廃棄物ゼロを推進するNGOも「計画中のプロダクト・スチュワードシップスキームをより広く、拘束力の強いものにしていかなくてはならない。1950年代から製造をしてきたプラスチックは再生力が最もない製品で、使用を阻止すべきだ。プラスチックは埋め立て地に行っていない、というデタラメの現在の姿勢を辞めなくてはならない。プラスチック製造のための石油確保を止めなければ、気候変動を阻止することは不可能だ。

どうやら、今後求めなくていけない事は:

  • リサイクルを助長する製品生産に強制力ある再生割り当て量を設定。
  • 購入代金にリサイクルにかかる費用を組み込む。
  • 製品スチュアードシップを規制かし、強制力をつける。

となりそうだ。

消費者からの圧力が優先順位に影響を与えているため、現在はそれがフレクシィタンクにまで及んでいないが、それが変わる日もあるだろう。どんな会社でも新しい製品を市場に出す時には、エンド・オブ・ライフを検討しての製品開発をしなくてはならない。いずれにしても、世論は「プラスチックはもう沢山」でまとまっている。 

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