NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
15.12.2013
ブラッケンブルックの「生涯で一度限り」のワイン登場

ワイン・コンサルタントとして著名なマイケル・クーパー氏がブラッケンブルック・ワインのトーマスズ・トレジャー・デザート・リースリング(2008年)に5つ星を冠しただけでもかなりの栄光となるが、シュワルゼンバッハ家には、このたった一樽だけで作られた超制限版のワインの伝統を今後何年にも渡って引き継がれるような家伝を手にしたような感激的な瞬間でもあった。

マイケル・クーパー氏のコメントを借りると「このワインは今後入手困難となるのは必須。非常に特別なワインで、20ケースしか存在しないから希少価値が高く、収集家にはのどから手が出る様なワイン」と語る。ボトル入りされた309本のうちたった240本だけリリースされ、それ以外はネルソン付近のタスマン・ワイナリーの貯蔵庫に残されることになる。

マイケル・クーパー・バイヤーズ・ガイド・ニュージーランド(2014年版)によると、ブラッケンブルック・トーマスズ・トレジャー・デザート・リースリング(2008年)は「2008年の収穫はラベル名のようにまさに「宝物」で、ニュージーランドで作られたスイート・ワインで一番の出来ともいえる一本。同ワイナリーのブドウ畑で栽培された小ぶりではあるが55%の糖度を含む完全な貴腐ブドウから収穫され、3年間と言う年月を小さな(120リットル)のスロヴェニアから持ち込まれたアカシア樽で成熟されてきた。印象的で並みすぐれたブーケは非常に個性的で、刺激的なアプリコットとハニーのアロマをかもしだし、真の複雑さを作り上げている。高貴な美しさを持つワインで、甘いシロップのような感覚が舌をころがり、ハニー、アプリコットとティーの味を引き出し、心地よい酸性のひねりと深みが口の中を包み込む。」

ブラッケンブルックのオーナーでワイン醸造家のダニエル・シュワルゼンバッハ氏がスロヴェニアの桶屋を訪問し、その地で作られる小さめの樽に一目ぼれしたことからトーマスズ・トレジャーの伝説は発端する。「当時まだ3才だった息子のトーマスは2006年にブラッケンブルック・ワイナリーに樽が運び込まれたのを見た瞬間、その樽がとても気に入り、自分のものだ、と言い出した。ワイン作りの最初からトーマスは過程の一部に参加していたので彼の名前を付けたワインを造るのが当然と思えた。」

それから2年間、自分の樽にいれる葡萄を収穫するためにトーマスは大人と一緒になり一生懸命働いた。2012年に長い家族会議の末、当時8歳のトーマスはワインの名前をトーマスズ・トレジャーと名付けた。20年間以上エージング可能なワインなので、このワインはトーマスの未来の子孫たちに残して置くにはふさわしい物だ」とシュワルゼンバッハ氏は言う。

「このワインは生涯で一度限りのワインだ。2008年の状況は完璧ではなかったし、収穫直前の雨でボドリティス菌をかなり大量に失ってしまった。家の畑のリースリングの一部がブドウの水分を吸収し、糖分を濃縮して、素晴らしい味を出す菌が発生し、貴腐を作り上げた。丁寧にひとつひとつ小さな房を手で積みとり、驚くべき55%の糖度(一リットル当たり550g自然の糖分を含む)を達成した。こうして、アカシアの樽で熟成した素晴らしい葡萄と手造りのワイン醸造工程が作り上げたユニークなハーモニーが自慢できる素晴らしいワインを生み出す結果となった。発酵を自然酵母に任せて、機械的な動き、澱引き、酸化防止用の二酸化硫黄などは加えず、一切の添加物も最初の3年間は使用しなかった。このワインをあせって売り出そうとは考えていなかった。さらに味が向上し、優雅にエージングするであろう」とシュワルゼンバッハ氏は言う。

マイケル・クーパー氏も「もう既に5年半樽で眠っている。概してスイート・ワインはエージングがうまくいくものである。しかし、消費者はそうは思わないかもしれない。今飲んでもかなり美味しいはずだ。」

SHARE