NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
13.02.2024
コミュニティのためのセラー・ドア(By リンダ・ホール)

ブリッジ・パのアッシュ・リッジ・ワイナリーの日陰でアッシュワース一家族と団欒していた時、突然、インタビュワーとしてでなく、個人的に聞いてみたい質問が私の脳裏をよぎった。その質問は、「私を家族の一員にしてくれないか」だ。なぜそう思うに至ったかというと、理由は3つある。

第1に、アシュワース夫妻は人間的に非常に素晴らしい。彼らが二人の娘と語り合っている姿や、留守中の息子のことを語っている様子が実にほんわかとして美しい光景だった。

第2は、とても重要なポイントだが、アシュワース家の子供と飼犬には、彼らの名前を冠したワインが存在する。なんとも羨ましい。私も自分の名前がついたワインが欲しい。

第3の理由は、このファミリーは良質のワイン生産地として知られる、ホークスベイのブリッジ・パ・トライアングルの州道50号線沿いにあるオーガニック・ブティック・ヴィンヤード、セラー・ドアとキッチンを持つアッシュ・リッジ・ワイナリーを経営しているからだ。養子にしてくれたら、私はここでワインの試飲や来客の応対を手伝うことだってできる。

真面目な話、この夫婦はワイナリーとワイン紹介にたゆまぬ努力を続け、たった2年でこの地位にまで押し上げてきたのだ。

アシュワース夫婦はビジターがセラー・ドアで体験可能なアイデア作りに努力を重ね、それが功を奏し、ベイリーズ・ホークスベイ・ワイン賞でセラー・ドア・オブ・ザ・イヤー2023を受賞した。審査員たちは、「アッシュワース夫妻は、地域社会の誰もが楽しめるフレッシュなセラー・ドア体験作りに成功した」と、受賞理由を述べた。

夫のリース・アッシュワース氏は数々の受賞歴あるワインメーカーでもあり、セントラル・ホークスベイにあるジャンクション・ワインズ(彼の両親が所有)のワインメーカーも務める。彼はブドウ栽培から瓶詰め、試飲、イベントの主催、家畜の飼育、そして時にはキッチンでピザを焼くなど、ビジネスのあらゆる側面に携わっている。

2004年にヴァイダルでワイン造りの仕事をし始めたリースだが、セラー・ドアで時間を過ごすようになってからワイン造りの考え方が変わったと言う。

「自分の作ったワインを試飲した人の感想を聞くのは興味深い。ビジターがワインを楽しんでいる姿を見て、味について議論したりして、私がどのようにワインを造っていくべきかが見えてきた。その体験で私のワイン造りが変わってきた。より親しみやすいワインを造るようになり、人々がワインを楽しんでくれるのを見るのが楽しみとなった。ブリッジ・パ・ワイン協会のおかげでこの地域のすべてのワイナリーがうまく機能している」、と夫妻は言う。

妻のトレイシーは、「ここのコミュニティはとてもいい。うちのワイナリーでは、経験豊かなワインメーカーではなく、イースタン・インスティチュート・オブ・テクノロジー.(EIT)の学生を雇用している。新進のワインメーカーたちに、ブドウ畑からワイナリー、セラー・ドアまで、すべてを提供するワイナリーで働くチャンスを与えている」と言う。

ワイナリーは居心地が良いところだが、それでも収穫時の感激には勝てない。収穫は生産者には全てだ。現時点での状況は良い。収量は少し落ちてはいるが、品質は非常に良く、すべて順調だ」とリースは語る

トレイシーとリースは、ワイン・クラブの改善にも力を入れている。
「4ヶ月に1度、ワイン・クラブの会員は、リースが特別に選んだワインを受け取る。スーパーマーケットでは手に入らないような、いろいろなワインを紹介する効果的な方法だ。その他に、収穫体験やブレンディングもしていて、これは、いつも人気がある。家族連れがアッシュ・リッジに来て、この場を楽しんでいるのを見るのがとてもうれしい」とトレイシーは言う。

このワイナリーでは多様なワインを生産し、ジャンクション・ワインでもリースが作ったワインを提供している。広々とした屋外エリアでくつろいだり、屋内やベランダで友人や家族と午後を過ごすのに最適な場所だ。日陰も多く、人懐っこい犬のウィンストンもいる。

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