NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
24.02.2013
100ダース単位でワイン購入する中国の富裕層

マリスコ・ヴィンヤード勤務のブレント・マリス氏は「中国市場でのディストリビューター契約にこぎつけるまでに過去2年間で6回も中国出張したり、下準備が大変だったが、やっと進出が可能となり昨年から中国向け輸出を開始した。中国市場はニュージーランド産ワインにはとてつもない金の卵になり得る可能性があるが、残念ながら、中国のVIP贈答市場の規模を理解する人はニュージーランドでは少ない」と語る。

その一例として、マリス氏自身は最近中国の超富裕層を対象としたワイン・テースティングに参加し、そこでは目の当たりにしたのは、参加者がニュージーランド産ワインを100ダース単位で買いまくっていたことだ。中国では、ビジネス・パートナーや従業員に贈り物する習慣があり、ワインもギフト用によく使われている。中国ではマリスコ・ヴィンヤードの「キング・シリーズ」のワインが一本100ドルという価格で販売されている。

「中国人は特別な機会、祝日や営業用の贈り物に赤ワインを買う習慣がある。これまではフランス産ワインがステータス・シンボルとして好まれていた。しかし女性のあいだでアロマのある白ワインも次第に人気が出て、売れ行きが伸び始めてきた。ワイン単体で楽しむ、と言うより、食事と一緒に飲むのが好まれる傾向にある。さらに中国人が海外旅行を多くするようになり、西洋の食事、洋服や他の製品に親しみ始め、その経験が国内での需要に拍車をかける様になってきたのも、ワイン市場成長の一因だろう」とマリス氏は語る

ニュージーランド貿易経済促進庁(NZTE)とニュージーランド・ワイン生産者協会の協力により、中国市場での市場の変化を利に換えるためのワイン市場開拓プログラムが発足した。NZTE・ワインプログラムのマネージャーのキャリン・マーリー女史はこのプログラム目的を「昨年6月までの一年間で2500万ドル相当のワインがニュージーランドから輸出されたが、それを2020年までに1.5億ドルにまで引き上げるもの」と位置付けている。

ニュージーランド・ワイン生産者協会の世界市場部長であるクリス・ヨーク氏によると「中国に存在する様々価値観や習慣についてはまだ周知のところではないが、贈り物市場はかなり利益率が厚い、という逸話は知られている。中国ではニュージーランド産ワインは1リットル11.47ドルほどで販売されており、これはこれまでにニュージーランドから輸出した国での最高額である。現在のところ30-50社が既に中国でワイン販売をしている。」

2007年のニュージーランドから中国へのワインの輸出量は50万ドルにしか過ぎなかった。過去5年間の驚異的な伸びにつながったのは、ニュージーランドのワイン関連企業が世界的な財政危機と供給過多でこれまでの輸出市場に悪影響を与えてしまったという状況で新たに、国内のワイン会社が高価値市場を探索した努力の結果である、という。さらに中国・ニュージーランドとの間の自由貿易協定が2008年に締結され、これまで14%かかっていたニュージーランド産ワインへの輸入税が、3年間で次第に撤廃されることになったのも一因である。

NZTE とニュージーランド・ワイン生産者協会が力を入れているのは「主要中国人ソムリエやワイン・マスターなど影響力ある人材に圧力をかけている。つまり、ワイン情報を流し、常に働きかける、という地道な努力をするのがニュージーランドのような小国には必要な努力である。中国ではワインは赤でなくては、ワインはフランス産でなければ、という信仰があったが、これからはそれに立ち向かっていかなくてはならない。」とモーリー女史は言う。

中国市場というと、膨大な量の準備作業などで、躊躇しがちになってしまうため、NZTEはキィウィのワイナリーへの協力を呼びかけ、これまでの個々がもっていた情報を分かち合おうと奨励している。

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