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ニュージーランドワインニュース

スーパーで販売されているワインのラベル表示に記載されているアルコール度数12.5%ということは、ひょっとすると11%もしくは、14%の可能性もあり、どちらも違法ではない。現存の制度ではこの誤差は法律内で、おとがめはないことになっている。つまり、表示されている数値の±1.5%であれば可。

ワイン業界で著名なマイケル・クーパー氏は最近今年で27回目となる、年間ワイン評価を完成させたばかりだ。そのクーパー氏はこの慣習は間違いで、是正されるべきだと主張している。

「消費者に対しての責任を果たすべきだ。ワイン醸造者からも同意する声が出ている。消費者は、ラベル表示を信用し、それを基準にどのくらいまで飲んでも車の運転が違法にならないかを判断している。ワイン醸造者もワインのアルコール度数を0.1%の誤差で測れると言っているのに、どうしてニュージーランドでは±1.5%の誤差を許容しているのか?この誤差は、ワイナリーに都合がいいからだと聞いたことがある。つまり、印刷なんかに手間がかからないからね。オーストラリアの赤ワインが一つの例だろう。テイラーズの2015年収穫のシラーのラベルには14.5%と表示があった。それにも関わらず、同社のホームページでの詳細には、15.73%のアルコール度数があると書いてある。15.7%というのは、非常に高いアルコール度数だ。むしろポートに近い数値だ。どのくらい強い酒かわからないで飲むことを想像してみればいい。」

これだけの差があってもニュージーランドとオーストラリアの現存の法律では合法だ。

ニュージーランド・ワイン生産者団体の会長、フィリップ・グレガン氏は、「ニュージーランドのワイン醸造者も、この誤差の許容はかなり大きすぎると同意している。しかしニュージーランドとオーストラリアで共通するアルコール度数を管理する規制のもとでは、この誤差は許容範囲となっている。この規則の改正に反対したが叶わなかった。ニュージーランドの生産者は、それまでの規則だった10%の許容範囲を希望していた。つまり、12.5%の表記だと、±1.25%の誤差の範囲が許される。自然のものだから、アルコール度数に多少の誤差があるのは納得がいく。そのうえ、異なる計測器で測ると、多少の誤差も生じてくる。こういうことはよくある事だ」と、この誤差が生じた背景を語る。

ただ、ニュージーランドのワイン・ラベル法で妙なのは、瓶には“ボトル一本にどれぐらいのスタンダード・ドリンクが入っているか“を表示し、その上、その数値が申告レベルではなく、正確でものでなくてはならない、と規定している。1スタンダード・ドリンクは10㎎の純粋なアルコールと同等だ。

スタンダード・ドリンクの情報は、10分の一内の誤差での正確さを極め、実際のアルコール度数に基づいていなくてはならない。つまり、表示のアルコール度数ではない。

「ワイン醸造者はラベルにスタンダード・ドリンク情報を表示するために、ワインのアルコール度数を常に計測している。多くのワイン醸造者はこの情報をアルコール申告として使用しているが、法律ではこれが必要ないのだ。殆どの場合、業界の人は出来るだけ正確にしようとする。しかしテスト上の誤差もあるので、ある程度の許容度も必要となって来る」とグレガン氏は語る。

スーパーの棚にあるワインを見てみると、殆どのものが、この規定量に入って居る様に見える。ほぼ全部のワインが、アルコール度数を5%差の幅を持っている。つまり、12%、12.5%、13%とかいう具合だ。スタンダード・ドリンクが実際のアルコール・レベルだとすると、表示されているアルコール度数に準じているように見える

つまり、12%のものはスタンダード・ドリンクでは7.1となり、12.5%は7.4、さらに、13%のアルコール度数は、7.7となっている。

テイラーズの2015年収穫のシラーの場合、アルコール度数は14.5%と表示されているので、スタンダード・ドリンクは8.6との表示となっている。しかし、本当のアルコール度数が15.73%だとすると、スタンダード・ドリンクは9.3以上となる。

「ワイナリーの中には、定期的にラベルに13.2%とか12.8%とかあたかも正確な数字を記載するところもある。また、一方では年による変化を無視し、毎年同じ数値を繰り返している。これはそれぞれの年のブドウの成熟度がアルコール度数の変化を無視している。」とクーパー氏は付け加えている。

カリフォルニア大学デービス校での研究では10万本のワインを世界各地から集め、そのうちの60%のボトルが平均でラベルより、0.42%高いアルコール度数だったことがわかっている。ニュージーランドのワイン醸造者は、ラベルの正確さについて、調査に使われたワイン11か国のうちの第2位の正確さで0.06%の誤差だった。しかし、この調査が行われたのは10年前だ。研究結果の執筆者によると、ワイナリーはアルコール度数を故意にゆがませてしまう原因があるという。つまり、ワインのスタイルによって市場が求めていると感じた特定の範囲とか、税率を低くするための様な要因からだとしている。

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