NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
15.02.2021
セントラル・オタゴは豊作の兆し

年明けからのかなりの雨量の影響はセントラル・オタゴ地域のブドウ畑には現時点では功を奏する気配となりそうだ。ワイン業界には良い兆候とはりそうなものの、逆に他の果樹園では、この雨が悪影響となってしまい、特にサクランボ栽培には大打撃となった。

「ワイン業界では今年のブドウ収穫へは楽観的な予想をしているが、ワインメーカーの人たちがよく言うように、『ワインが瓶に詰められてから数年して、その年の収穫について聞いてくれ』、という状態だ。ブドウ収穫時に労働者がセントラル・オタゴにどのくらい残ってくれるかがやや懸念事項ではある。個々のブドウ農家の作業の進め方がそれぞれ違うので、その時になってみないと判らない事もある。最終的にはセントラル・オタゴの人は呉越同舟だから、協力が不可欠だ」と、セントラル・オタゴワイン業者組合のグレン・シュイットマン部長は言う。

「雨はいい時期に降ってくれた。3週間早まっていたら、ちょうど開花時だったし、3週間遅れていたら、実が柔らかくなる頃なので最悪の状態になっていただろう。雨のお陰で例年よりも大きめの実となり、実と実が密集するため、ボトリティスのような真菌感染症 となる可能性もあるかもしれない」と人材管理運営のヴィティカルチャー・セントラル・オタゴ社の運用管理者ティンボ・ディーカー氏は言う。

「サクランボ農家には気の毒だが、果樹園のスタッフからかなり多くの求職志願が届いている。労働者の多くはそろそろ新学期で大学に戻っていく時期で、3月と4月の収穫のころに労働者を集める策を講じなくてはいけなくなるだろう。」

新型ウィルス関連の規制で、毎年2000人枠でニュージーランドへの入国が許可される外国人季節労働者の数が減少しているため、同社は何人位の労働者を採用できるかのめどを1-2か月の間に立てなくてはならなくなる。

「通常は120人規模の季節労働者が必要となる。現在3人のフルタイムのスタッフで南太平洋地域から雇用可能人員和が最低限として、今年の収穫がどのくらいになるかの予想を毎日立て、雇用数計算に追われている。長期的に見て、このシーズンはかなり上向きのものになると予想しているし、ラニーニャの影響でかなり乾燥するものと見ている。今年は南太平洋からの助っ人の労働者がほぼ来ない状況下での初めての年になりそうなので、ネットを掛けたり、外したりする作業についてはやや躊躇している。今年はピノ・ノワール、シャードネ、ロゼへの需要増となり、ブドウ供給業者は需要に追いつくために多大な努力が必要となる。新型ウィルスの事を軽視するつもりはないが、ワイン業界には非常によい風向きとなった。家にいる時間が長くなり、質の良いピノ・ノワールがそんなときの、良い伴侶となった」と、ディーカー氏は付け加えた。

グレープ・ヴィジョンの責任者、ジェームス・ダイシ-氏はサクランボ栽培業者への災難に危惧を示しながらも、「ブドウ収穫時までサクランボ果樹園で働く労働者にセントラル・オタゴに居座っていて欲しい。この時点では苗に被害をもたらすには降雨時が早かったし、雨のお陰で収穫増になる可能性もある。実の細胞分裂は現在進行中で、ブドウの大きさが急激に成長することがある。ブドウ苗も成長をしているので、関係者は苗のワイヤー吊り上げ、葉の剪定に多忙だ。房に実が多ければ多い程、房を小さくする作業が必要だ。ちょうどいい具合に刈り取るのはかなりの技量が必要となる」と言う。

グラスホッパー・ロックスの取締役のフィル・ハンドフォード氏は「来週は作物評価に現地に行く予定だ。目標値にかなり近い収穫となりそうだ。天候が随分変化していて、12月28日には霜対策もしていたぐらいだ。」

バノックバーンのブティック・ワイナリー、デザート・ハート取締役デニー・ダウニー氏は「雨のお陰でセラードアーの屋根の拡張工事が延長となったが、ブドウの熟成状況には楽観視している」と言う。

ワナカのモードワインズの共同所有者のダン・ディーン氏は「ブドウはまだ柔らかくなっていないので、年初めの雨は現時点では懸案事項とはなっていない。土が乾燥しているので、土を柔らかくするためにも多少の雨があってもいいだろう。収穫時が近くなったら労働者確保には懸念するかもしれない。昨年は失業したレストランで働く人を雇った」とのコメントを出している。

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