NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
26.05.2013
世界的なワイン価格上昇、消費者に直撃

オランダの多国籍銀行・ロボバンクが発表した2013年全四半期レポートによると、過去6年間の生産量を超過する勢いの世界的なワイン消費は、今後は価格上昇の時期を迎えであろうと、警告を発している。

ワイン業界の今年の主要課題は、ロシア、中国、ドイツなどの多量ワイン輸入国が例年通り、スペインやフランスワインから価格上昇に見合う購入継続するか否かにかかっている、と前述のレポートは示唆している。代替案には、これまではやや価格的に高めの選択肢であった新世界ワインの大量購入、あるいはワイン以外のドリンクへの転換という選択肢が含まれるとも触れている。

「たとえばロシアは最近安価なジュースの大量輸入をしている。今後の問題は、ロシア人が上昇する価格の飲料をこれからも購入し続けるか、あるいはまたヴォッカ嗜好に戻るかにある」とロボバンクのワイン業界分析者のスティーブン・ラネクレフ氏は電話インタビューで語った。

現在のところ、ロシアは世界で5番目の大量ワイン輸入国でありながら、価格にはかなり敏感な国で、まだ際立った新世界ワインの大量購入を開始していないようだ、とも報告書は述べている。その代わり、2012年にはロシアはスペインからの大量ワイン購入をモルドバやウクライナなど複数国からの供給へと転換を図った。さらにブラジルと、外国為替の利ざやを取り、南アフリカからの大量購入も開始したが、スペイン産ワインの穴を埋めるほどの量とはなっていない。グルジア共和国でのワイン禁止令を廃止したとの昨今のニュースがあるが、それでもスペイン産ワインからの転換を埋めるほどのワイン量を購入していない。

その間にも中国はチリ産ワインでスペイン産ワインの補填を開始しており、2012年には中国へのチリ産ワインの輸入は2500万リットルへと上昇し、スペイン産ワインの大量輸入量は1200万リットルと減少した。レポートよると、中国内でのチリ産ワインの需要は主に高価格帯のものに限られている。そうなると、2014年にアルゼンチンのペソのデノミも眼下にあり、バイヤーたちはアルゼンチン産ワインに目が向いても不思議はない、とラネクレフ氏は付け加えた。ドイツでのワイン大量購入は現在ところ、スペインの価格上昇を難なく受け入れているようである。

南半球の収穫期を迎え、かなりの期待が高まっている中、新世界のワインの価格は2012年のヨーロッパでの収穫の低迷にはかなり魅力あるものと期待されている。今後半年の間には2013年のヨーロッパでの葡萄収穫予想も検討に入れ、バイヤーたちは購入決定をすることになるであろう。

同報告書によると、現在の予想はヨーロッパでの短期的危機が弱まり、アメリカでも質的な改善が見られるとして、弱いアメリカ・ドルに対して「おおむね」強いユーロ路線で進められている。

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