NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
17.05.2015
ワイン産業のブーム復活

輸出量では概ね成長があったにもかかわらず、世界的な金融危機の影響で、すっかり落ち込んだ時期からニュージーランドのワイン産業は復活を確実に感じ始めている。
ワイン輸出は先月また新記録を達成し、2013年比で8.2パーセント上昇し、ほぼ14億ドルを稼ぎ出した。

クロウ・ホーワースのワイン専属エキスパートのアリスター・キング氏によると、「この好成長は国際市場だけでなく、国内市場でもかなり取り戻している。昨年の10,11、12月にかけて、この数年でもかなりの売り上げを伸ばしたワイナリーがあり、それが雇用に直接影響を及ぼしているが、その上、給与の上昇にも影響を及ぼしているとみている。マールボロ地方ではブドウ栽培量の拡大にもつながっているが、これは、また全国的には栽培量の拡大や雇用増加にはつながってはいない。しかし、顕著なことは葡萄栽培とワインビジネス全般が活性化して、前向きに動いているという状況である」と言う。

ニュージーランドのワイン輸出市場では、ブドウ栽培者が、輸出ポートフォリオの多様化を目的として、協力や統合などが頻繁に起こる傾向がある。

過去10年間ではオーストラリアがニュージーランドワインの主要市場であり、2006年は1.224億ドルから昨年は3,809億ドルの規模となった。この間、輸出業者は戻し減税の恩恵を被っていたが、オーストラリア政府はこれを廃止する計画だ。さらに、オーストラリアドルドルが弱くなったため、全般的に経済も冷え込んで、輸出状況が厳しくなってきている。ニュージーランド・ワイン生産者協会の会長を務めるフィリップ・グレガン氏は、「こういった状況にも関わらずオーストラリアでの長期的なビジネスに強気の姿勢を見せている。戻し減税が理由でニュージーランド・ワインがオーストラリアで成功をしていたのではない。ニュージーランドのワイン会社は当然、戻し減税の恩恵を被ってはいたが、これがなくなったとしても、根本的にオーストラリア市場でのニュージーランド・ワインの成功を変えるものではない。過去10年間、ニュージーランド産ワインはオーストラリアで非常に成功を遂げてきた。これは、ニュージーランド産ワインがオーストラリアの消費者に魅力的だからで、それが急に変化するとは思えない」と言う。

オーストラリア市場での『すべて順調』のアプローチで対処してきたが、現在の中心は北アメリカ諸国でのプライム・ワインへの輸出を継続させることに意識を向けている。2014年におけるアメリカ合衆国への輸出量は16%の伸びを示し、3.28億ドルとなり、これはイギリス向けの輸出を追い越し(今年は3.18億ドル)、イギリスがこれまでの首位を譲りニュージーランド・ワインの輸出国第2位に転落した。グレゴン氏は「北米でのワイン市場は非常に過当競争が厳しい市場であるが、今後も市場確立に力を入れる所存だ。大きな市場でもあり、全世界的に広がっていて、しかもアルコール製品は市場の中でも厳しい統制で縛られているチャレンジングなものである」と言う。将来的にニュージーランド・ワインの最大の市場となり得る、アメリカでの今後の価値を高めるには、マーケティングと販売にさらに投資をし、強いベースを築き上げ、ブランド認識と評判を高めていくことにある」との見解を述べている。
「いいワインにはお金を払うことを惜しまない消費者が存在するから、ニュージーランドが最高のワイン造りの場所である、といことを世界中に知らしめる必要がある。」とキング氏は言う。

ニュージーランドワインを世界規模での輸出ブランドにするには、ワイン産業とニュージーランド政府の協力が必要だというメッセージを持ち帰りたい。これには、ニュージーランド貿易経済促進庁だけでなく、ニュージーランド観光局の協力も必要だ。ニュージーランドが国を挙げて協力することで、世界にその名声を伝えることができるのだ。」

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