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ノース・カンタベリーのワイナリー、ピラミッド・ヴァレー・ヴィンヤーズは、科学捜査会社のオリテン社と共同でワイン業界では初となる先駆的な原産地証明ツールを開発した。ピラミッド・ヴァレーの2020年ボタニカル・コレクションの発売を期して、各ラベルに固有のQRコードが付けられ、ワインの原産地を土壌まで遡ることが可能となった。
ピラミッド・ヴァレーの共同経営者スティーブ・スミス氏(マスター・オブ・ワイン)は、この革新的な事業の背景の科学について、「世界のどこでも、土地の地球化学的性質は異なっている。たった数メートルしか離れていない土地でも、ブドウの木が成長するにつれ、中気候(地表面に接する大気層の気候)、標高、降水量、土壌の種類、生育状況に応じ、独自の比率で元素を吸収するようになる」と語る。
「オリテン社は最先端の科学捜査を駆使し、土壌に含まれる独特の比率の特定を可能とした。この比率とは、ブドウから完成したワインにまで刻印されるもので、土地、ブドウの木、ワインを貫く科学的なつながりを生み出す。これはワインの寿命が尽きるまで、決して変わることはない。その証拠にオリテン原産地証明と起源マークは瓶の裏ラベルにQRコードで表示され、保証書と直接デジタルでリンクしている」 と、スミス氏は仕組みを解説してくれた。
ティム・アトキン氏(MW)は世界的なワイン詐欺の秘密について考察し、「香港ベースのワイン・ジャーナリスト、ナタリー・ワング氏のvino-joy.comの最近の記事では、5,140万ドルの密輸組織(中国史上最大らしい)の起訴について報告しているが、これは氷山の一角に過ぎないのではないか」と指摘している。しかし、ニュージーランドで開発されたこのオリテンシステムのようなハイテク検証ツールが利用できるようになれば、そういった不正の流れが変わるかもしれない。
オリテンのCEOグラント・コクレーン氏は、「ピラミッド・バレーとパートナーシップを組み、最先端の科学捜査で、消費者が信頼でき誠実なワインを提供できることを嬉しく思う。私たちの技術で、消費者はワインをブドウの木から樽、ボトルまで追跡できるようになる。生産者には、他にはないレベルのトレーサビリティを提供する重要なブレークスルーとなる。オリテンの信用証明は、まさに原産地証明の信頼できるシンボルとなるだろう」と自信を持って語った。