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フランス人のジャン・デジール・フェローがセントラル・オタゴに初めて足を踏み入れてから150年以上に渡り彼のレガシーは生き続けている。
金鉱労働者からワインメーカーに転身したフェロー氏は、セントラル・オタゴにおける最初の商業的ワイン生産者として広く知られている。同氏はクライドのワイナリー、モンテ・クリストで、アレクサンドラ盆地に1200本以上のブドウの木を植えた。
ブドウ栽培の家のサム・ウッド氏は、フェロー氏のワイナリー(現在のモンテ・クリスト・ワイナリー)があった場所で正体不明のブドウの木を発見し、ニュージーランドのワイン業界の専門研究機関であるブラガート・リサーチ・インスティチュートにDNA鑑定を依頼した。
「それが何なのかわからず、ワイン業界の人と話していたらDNA鑑定をしたらどうかと提案されたんだ」とウッド氏。
鑑定の結果、このブドウは北イタリアやドイツで栽培されている希少品種「トロリンガー」であることが判明、フェロー氏がオーストラリアから持ち込んだものとみられている。
「驚きの結果だった。ピノ・ノワールか何かになると思っていた。ニュージーランドに他のブドウの木があるかどうかは知らないが」
トロリンガーはヨーロッパではワイン用に栽培されていたが、どちらかというと食用ブドウで、房の大きさはワイン用ブドウの3〜4倍だったとウッド氏は話す。
そしてこの発見には、学習効果があったという。
「そう、学びながら……ニュージーランドの他の場所には無い品種なので。非常に樹勢が強く成長が早い品種であまり手をかける必要が無い。昨年の冬に一度だけ剪定をした程度でそれほど労力を必要としない。樹齢が何歳なのかははっきりわからないが」という。
ウッド氏は15年間に渡ってブドウ栽培に携わり、モンテ・クリストの新しいオーナーがワイナリーをかつての輝きを取り戻すためにサポートしていた。
同ワイナリーは既存の石造りの建物を元の状態に戻しセラードアとして使うことを計画した。
今年末に作業を開始し、来年10月に2023年のピノ・ノワールとシャルドネでセラードアをオープンする予定。
その後ワイナリーの建設も予定している。
ウッド氏は、フェロー氏とワイナリーに関する過去の新聞記事を探し、修復の手助けをすることでこの地域のワイン造りの伝統とのつながりを築こうとした。
「フェロー氏は商業的にワインを発売した最初の人物ではあるが、必ずしもブドウの木を植えた最初の人物でとは言えない。アレクサンドラとクライドは、オタゴで最初にブドウを栽培した地域だと考えている」
トロリンガーがこの地で発見されたことは、訪問客がワイナリーの成り立ちを具体的に知るきっかけとなるだろう。
「モンテ・クリストの周辺に挿し木を植え繁殖させることで過去に思いを馳せ、歴史に敬意を表する意味を持つ」とウッド氏は話す。
「正直なところ、とてもエキサイティングだ。ブドウ栽培者としての初めての仕事で、初日から関われるのは大変特別なこと」
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