NZワインニュース一覧
ジェーン・クーパー記
「アレクシア・アーバン・ワイナリー」のワインメーカー兼オーナー
「アオテアロア・ニュージーランド・ナショナル・ワイン・アワード」審査委員長
「ジャパン・ワイン・チャレンジ」は、アジアで長い歴史を持つ国際ワインコンクールの一つで、世界中からの出品がある。このコンクールの共同議長を務めるのは、日本人の田中克幸氏と英国人のクリス・マーティンMWだ。コンクール期間中、ワイン業界の各分野から集まった国際的な専門家パネルが数百種類のワインを審査する。
国際審査員としての私の役割の一つは、審査委員長の務めだ。過去2024年、2025年に引き続き今年10月開催を含めると3回目の参加となる。日毎に異なる日本人審査員と協力し、議論を導き、審査委員会の採点基準を統一する援助をする。国際審査員の中には、ニュージーランド出身のノーマンビー・セラーズのリズ・ウェルドン氏をはじめ、オーストラリア、イギリス、ヨーロッパからのマスター・オブ・ワイン(MW)もいる。ニュージーランドのワインコンクールと「ジャパン・ワイン・チャレンジ」の顕著な違いの一つは、審査委員会の構成だ。ニュージーランドでは、審査員のほとんどがワイン造りの経験がある。一方、日本ではワインメーカーは私たち2名のみで、審査員の大部分はソムリエ、ワイン輸入業者、小売業者、大小様々な規模のレストラン、専門のワイン販売店に至るまで、幅広い分野を代表する人で構成されている。
そして審査員のほぼ全員がWSET(Wine&Spirit Education Trust: 世界的に認められている、国際的なワイン教育・資格制度資格)を取得しており、集中力と訓練を積んで審査に臨んでいた。審査員が自身の直 感を信じ、自信を持って評価基準を適用し、他のワインとは一線を画す傑出したワインを見極められるよう、励ますことが私の役割となる。それに加え、私には新鮮に思えたのは、大半の日本人審査員は、顧客の視点に立ってのワイン評価をすることだった。つまり、ワインが市場でどのように受け入れられるか、料理との相性はどうか、日本の食文化に合っているかどうか、といった点を非常に重視していたことだ。
日本でのワインを販売するニュージーランドの生産者には、このコンテストへの参加を強くお勧めする。日本のワイン業界内で非常に高い信頼を得ており、輸入業者、小売業者、ソムリエたちがその結果に細心の注意を払い、評判がものを左右する日本では極めて重要なことだ。
審査員としての役割の他に、私はニュージーランドワインに関するマスタークラスを開催もしたことがある。その際にヴァリ社の「ワイタキ・ヴァレー・ピノ・ノワール」を取り上げ、ワイララパで「メトード・トラディショネル」方式でのブラン・ド・ブランを醸造した自分の経験を紹介し、あまり知られていない2つの小さなストーリーに焦点を当てることにした。定評のあるカテゴリーを超えた、ニュージーランドワインが持つ多様性や地域特有の個性をアピールする絶好の機会となった。
審査最終日の後、日本酒の審査に参加を依頼されたが、「審査」という言葉は私の役割に対して多少大げさだと思う。恐らく日本酒の専門家は、私の採点は、「お飾り」として扱っていたのではないか、と推測している。日本酒のスタイル、口当たり、風味の幅広さは、ワインに決して引けを取らないほど多様であり、経験豊富な日本酒審査員たちの仕事ぶりを見学できたことは、実に興味深い体験だった。
大規模な国際ワインコンクールへの参加は、単にメダルを授与だけでない。こういった経験は自分自身の視野を広げ、審査の経験を深め、世界中から集まった驚くほど幅広いワインを味わう絶好の機会となる。それぞれの国の特殊あるワインを体験できる仕事は世界のワイン業界の全体像を捉えられる職業はこれ以上ない、と自負している。



