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ロイスとスー・マッキーン夫妻の「ティキ・ワイン&ヴィンヤーズ」は、長年にわたりワイパラでの農法改革に取り組んでいた。彼らの事業指針は常に、マオリが持つ価値観の「カイティアキタンガ(保護・管理)」だ。
「この価値観は一族が事業戦略の一環として築き上げたものではなく、母親から受け継がれたものだ。母の影響力で、私たちは、マオリが大切にする『カイティアキタンガ』を自然と身につけることが出来た。私たちが決めたというよりは、母が私たちに植え付けてくれたもので、私たちはそれに応える義務がある。重荷として感じてはおらず、むしろ義務を実行できるのは幸運だと感じる」とマッキーン氏は語る。
「ティキ」という名前は、マッキーン氏の曽曽曽祖父でテ・アラワ族の首長でもあり、農夫でもあったティキテレ・ミヒに敬意を表してつけられた。祖先への責任感が325ヘクタールのヴィンヤードへの取り組み方の礎となっていた。つまり彼らの目標は、常にもとからある土地をより良い状態にして未来に残すことだ。
「最初から私たちはこの土地を改善するには何ができるか、未来の人々にとってより良い環境にするために何ができるかを考えてきた。これは人と自然界との関係でのマオリの昔からの理解を反映している。自分たちが自然から切り離されているものとして感じるのではなく、自然の一部であるという認識でもある。前者の考え方は非論理的だ。母なる大地に何をするにせよ、それは自分自身の戻ってくるのだ。」
自然に逆らうのではなく、自然と協働する
マッキーン夫妻は、ブドウ栽培の経験がほとんどなかったにもかかわらず、ワイパラの古い羊牧場を購入し、2005年から2006年にかけて最初に植樹した。
「再生型=リジェネラティブ(Regenerative)農業への道のりは決して容易ではなかった。最初は土地を耕しはするが、表土が風で吹き飛ばされてしまうだけだった。その後、有機農法に移行してみたが、別のシステムで補わない従来の投入物を単に排除するだけで、ブドウの木が育たないことに気づいた。その過程で多くの失敗を経験した。でも、とにかくやってみて、そこから学ぼうというつもりだった」と、ロイス・マッキーン氏は言う。
「今では自然のシステムに逆らって作業するのではなく、土壌の健康や生物多様性に焦点を当て、自然にもっと多くの仕事を任せるというアプローチをとっている。つまり、自然に対抗するのではなく、自然と共に農業を行うことを目指している。再生型農業法の利点は、『カイティアキタンガ』のように、あらゆるもの、つまり、人々や自分たちが及ぼす全体的な影響まで、を見渡し、より包括的な視点を持とうとしているところだ。この取り組みは、ブドウの木の間で様々な被覆作物を植え、土を掘り返したり反転させたりして耕す方法や化学的介入を減らし、堆肥を使用し、ヴィンヤードに羊を導入などがある。
これは単一栽培ではなく、多様な生態系を築くことを目指している。再生農業法の農場に足を踏み入れると違いがすぐに伝わってくる。真の美がある。生命とエネルギーがあり、そこで起きていることには多くの多様性が存在する。
自然界を見渡すと、単一栽培を見るのはかなり稀だ。一般的に、多種多様なものが一緒に育っていて、それこそが再生型農業が目指していることだ。再生型農業とマオリの価値観とのつながりは、決して新しいものではない。マオリ社会では、その価値観は直感的に正しいことで、何千年もの長い間、実践してきたことだ。新しい知識ではないし、マオリがその点で特別に賢いわけでもない。ただ、自然が仕事の大部分を担えるようにしながら、自分たちができることをしているだけだ。つまり、より健康な土壌は、環境と、そこで育った作物を消費する人々の双方に恩恵をもたらす」と、マッキーン氏は語る。
ティキ社は海外進出を計画があり、ロンドンで開催されるサステナビリティと飲料関連のイベントに参加し、新たな販売代理店や小売業者を模索している。
「マオリ文化は共感を呼ぶ。しかし、それがすべての人に響くわけではないし、そうである必要もない。販売代理店かもしれないし、小売業者かもしれないが、多くの人には響くものがあるだろう。そして、そうした人々とパートナーシップを結び、共に働きたいと考えている。」
ニュージーランド貿易経済促進庁のマオリ系輸出顧客担当責任者のジェレミー・ガーディナー氏は、再生型農業が、マオリ系企業が「カイティアキタンガ(マオリの価値観)」や「ファカパパ(家系)」といった概念を海外の消費者に伝える一助となり得ると述べている。
「サステナビリティや再生型農業の実践は、人々がマオリのストーリーを理解するための、ある種の翻訳ツールとなる。これはニュージーランドの輸出を高付加価値製品へと移行させるための、広範な取り組みの一環だ。国際市場での存在感が高まりは、マオリ系企業が自分たちのストーリーを語る機会になるだろう。マオリ文化や物語が、世界中の人々に理解できる形で語られ、その結果として、マオリの製品を探し、購入する機会が生まれるのを見るのは、心が躍る。本物らしさこそが消費者にとって最も重要なことだ。素晴らしい物語を語っても、真実でなければ、消費者はすぐに見抜いてしまう。自分自身に誠実で、文化に忠実で、自分なりの方法で物語を語る能力は、製品が何であれ、価値あるものとなるだろう」とガーディナー氏は括った。
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