NZ Wine News
ニュージーランドワインニュース
05.05.2021
高級ワインが投資対象に

ニュージーランドのオークションハウス、Webb(ウェブ)で開催された高級ワインとウィスキーのオークションに参加した入札者は、会場入り口でペリエジョエのシャンパーニュでの出迎えを受けた。引き続いて、シャトー・マグドレーヌ、サンテミリオン グランクリュ、ニッカ竹鶴のブレンドモルトなどの試飲後、オークションへの期待度は一機に高まった。

最初のロットは1982年のマタ・エステート コルレーンの一瓶。恐らくニュージーランドで一番有名なワインとなったものであろう。ウェブ社の高級ワイン・希少ウィスキー部門長のマーカス・アトキンソン氏が前もって行った綿密な調査での想定価格は一瓶NZ$200~300と踏んでいたが、実際の入札価格は881ドル25セントという高価で競り落とされた。

ワイヘキ島の温度制御完備のセラーから出されたことがなかったストーニーリッジの2008年ラロースは、一瓶NZ$150~220との予想だったが、こちらもそれを上回り、1ケース5,640ドルで落札された。

クラウン・ランジ・セラーの創始者・取締役のジャン・ソング氏は、ギブストン・ヴァレーの著名なワインメーカーである、グラント・テイラーと一緒に働いた事もある人物だ。「ニュージーランド産のプレミアム・ワインが、収集価値がある傑作との認識が高まる時期がやっと来た。自分で購入したワインをどうするかは、その所有者が決める事だ。『買ったワインを飲まないに、置いておくならどうして買うのか』という人がいるが、ワインの所有者は、飲みたければ飲めばいいし、好きなようにすればいいと思う。ワインが投資対象として見ているなら、そうすればいい」と語る。

海外のワインもニュージーランド産ワイン同様いい結果が出ている。1988年ペンフォールズ・グランジ(オーストラリア)はNZ$1880、1979年ロバート・モンダヴィ・リザーブ・カルベネ(カリフォルニア)はNZ$1762、1998年マセット・トスカーナ IGT(イタリア)はNZ$1057という具合だ。

先週開かれたオークションでは1978年物のロマネ・コンティ モンラッシェ・グラン・クリュは落札されなかったが、ウェブ社は売り手と交渉中。憶測では、一本NZ$30,000となるとも言われている。

こういった傾向について、イギリスのワイン・オーナー社創始者のニック・マーティン氏は「高級ワインが流通市場で価格高騰につながる関心が高まっているように思える」と言う。

ウェブ社の高級・希少ワイン部門長のマーカス・アトキン氏は、「オークション市場は過去3年で順調だ。特に新型コロナ以降は、どの分野でも固定資産に投資する人が増加しているように見受けられる。だから、昨今のオークション結果が特に珍しいとは思えない。ニュージーランドでは、特に心理的な要因もある。新型ウィルスではすれすれではあったが、ほぼ悪影響もなく過ごすことが出来たので、それを祝っている状況だ。利率低下への恐怖や不動産市場がおかしくなっているような時に、何か目視可能で、持っていられるものに投資したくなるものだ。金に余裕がある人は、少なくとも価値が保持できるものに投資したくなる傾向があり、ニュージーランドでは特に投資傾向としてはっきり感じられる。殆どのバイヤーとセラーはニュージーランド人だが、香港やシンガポール人もいる」と解説している。

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