NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第11回コラム(Mar/2005)
肝心かなめのワイングラス
Text: ディクソンあき/Aki Dickson
ディクソンあき

著者紹介

ディクソンあき
Aki Dickson

三重県出身、神奈川県育ち、NZ在住。日本では、栄養士の国家資格を持ち、保育園、大手食品会社にて勤務。ワイン好きが高じてギズボーンの学校に在籍しワイン醸造学とぶどう栽培学を修学。オークランドにあるNZワイン専門店で2年間勤務。週末にはワイナリーでワイン造りにも携わる。2006年より約2年間、ワイナリーのセラードアーで勤務。現在はウェリントンのワインショップで、ワイン・コンサルタント兼NZワイン・バイヤーとして勤める。ワインに関する執筆活動も行っている。趣味はビーチでのワインとチーズのピクニック。

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「グラスなんてどれも同じ。今日は出先だから、紙コップでワインを飲んじゃおう」と思ったことはないだろうか。侮るなかれ、ワイングラスは実は、想像以上の働きをしてくれる。グラス選びを間違うと、100ドルするワインも10ドルのワインと同じ味になったり、20ドルのピノ・ノワールが、最高級のブルゴーニュワインと匹敵するほどの味になったりすることもあるのだ。

世界的に有名なオーストリアのグラスメーカーのジョージ・リーデル(以下リーデル)は、各ブドウの品種、各ワインのスタイルに最適なグラスを、綿密な研究の末に開発している。フランスのボルドーワイン用、イタリアのキアンティ用、最新のものだと、オーストラリアのシラーズ用のものなど、数え上げたらきりがない。それぞれのグラスは、それぞれのワイン特有の香りと味が最大限引き出せるようにデザインされている。ワインだけでなく、ワイングラスへの情熱も、かなり熱いことが伺える。実際私も、ニュージーランドのソーヴィニョンを専用のリーデルグラスと別のグラスで試したが、味が全く違うではないか。専用のグラスで飲むと、うまくて思わず笑みがこぼれる。また、ソーヴィニョンをシャルドネ用のグラスで試飲させてもらったのだが、とても飲めたものではなかった。ソーヴィニョン特有の華やかでフルーティーな香りはほとんど感じられない上に、酸味がものすごく強く感じられたのだ。たかがグラス、されどグラス。これには本当に驚かされた。ただ、リーデルのグラスは少々値の張る代物。グラス一脚に100ドル(約8000円)近くもかけたなら、どじな私の場合、割るのが怖くてワインもろくに飲めなくなりそうだ。お勧めは万能グラス(1200円 or 10ドル前後:写真1)と、テイスティンググラス(800円 or 6ドル前後:写真2)を一脚ずつ常備することだ。選ぶポイントは以下のとおり。グラスを上手に選んで、ワインの奥の深さに、ますますはハマッテみてはいかが?

2005年4月掲載
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