NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
ワイナリー巡り in マーティンボロー
第161回コラム(Dec/2015)
ワイナリー巡り in マーティンボロー
Text: 藤山恵水/Megumi Fujiwara
藤山恵水

著者紹介

藤山恵水
Megumi Fujiwara

神奈川県出身。2003年5月にニュージーランドに初めて旅行で訪れた際にワインのおいしさに目覚め、以来特にニュージーランドワインのファンとなる。大学卒業後、東京で会社員として数年勤務したのち、2008年にワーキングホリデービザを取得してニュージーランドに渡航。語学学校を卒業後、憧れだったワイヘキ島のワイナリーで収穫作業を経験。将来の夢はニュージーランドの学校でワインについて学び、ニュージーランドのワイン業界で働くこと。趣味は映画鑑賞、読書、旅行、書道、写真。

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ニュージーランドワインファンの皆さま、急に寒波が到来し、東京では雪も降りましたが、お元気でお過ごしでしょうか。お正月に5年ぶりにニュージーランドを再訪しましたが、“1日の間に四季がある”と言われるように、夏にもかかわらずダウンをはおることもありました。こうした寒暖差が、高い糖度でブドウが成熟し、バランスのよい酸味とフレッシュかつ芳香性のある、クオリティの高いワインを生み出すのです。

前回のコラムで書いたように、“ニュージーランドワインの今”を知りたいと思い、ニュージーランド航空からのEメールで年末年始の往復航空券のお得情報を知り、念願だったニュージーランド再訪を有言実行しました。行き先については悩みましたが、今回は“原点回帰”をテーマに北島の3か所、マーティンボロー、ホークス・ベイ、ワイヘキ島を6日間の日程で巡ることに。ワイン留学で一年過ごしたホークス・ベイと、初めてブドウの収穫に携わったワイヘキ島は、故郷に帰ってきた!という感じでしたが、私にとってワインの出発点となったマーティンボローを訪ねた感慨は特別でした。

1月2日に「マーティンボロー・グルメ・ワイナリー・ツアー」に参加しましたが、このツアーは1日コースで、朝ウェリントンからフェザートンまで列車で行き、フェザートンからマイクロバスに乗って現地ガイドのツアーがスタート。4つのワイナリー訪問と、ランチ、最後に地元のカフェでコーヒータイム(チーズとデザート)が楽しめます。(ニュージーランドのワイナリーの巡り方についてご興味がある方は、ぜひリーデルのブログもご覧ください)

どこのワイナリーに連れて行ってもらえるかは当日のお楽しみだったのですが、秘かにぜひ連れて行ってほしい、と思っているワイナリーがありました。願いが通じたのか、最初に訪ねたのが、MURDOCH JAMES(マードック・ジェームス)。今から10数年前、このワイナリーのレストランで初めてニュージーランドワインを飲み、その美味しさに感動しました。ここでニュージーランドワインと出会ったことが私の分岐点になり、ワイン好きから、ワイン関連の仕事をするまでに発展したのです。

現地で飲めば当時の記憶がよみがえるかも、と少し期待していましたが、次から次へと出てくるテイスティングのワイン(全部で10種類)を飲みながらも、どの白ワインに魅せられたのかは分からずじまいでした。ニュージーランドでは珍しいカベルネ・フラン100%の赤ワインも鉛筆の芯のような匂いと、この品種らしいグリーンな味わいがして興味深く、またピノ・ムニエ100%のワインも個人的には面白いなと感じたのですが、最初にテイスティングし、一番気に入ったリースリングを買いました。リースリングはワイン・アドバイザーの二次試験で、深読みしすぎて解答を間違えて以来、好きだけれど苦手意識を持ち続けている因縁のワイン品種ですが、これが最初に好きになったワインだったら面白いなって思いました(笑)。

そして、次に行ったのがBRODIE ESTATE(ブロディ・エステート)。コンサートやウエディング、グルメイベントなども行われる、ちょっとロマンチックな雰囲気のあるワイナリーで、ワイナリー犬がセラー・ドアーで出迎えてくれて可愛かったです。マードック・ジェームスでは机と椅子があったので、自分のルーツ探しをするためにも、テイスティングコメントを書いて真剣に試飲していましたが、2軒目からは一緒に参加した友人たちや他のツアー客と同じように、単純にワインを楽しむことにしました。

子どもも含めた14名の、とても賑やかなツアーで、ランチも皆でテーブルを囲んで食べ、どのワインが好きだったか等話したりして、楽しみました。余談ですが、このツアーで一緒だったアメリカ人親子とワイヘキ島のワイナリーで偶然再会しました。本当にワインが好きで来たのだな、と感じられ、嬉しかったです。

ランチ後はPALLISER ESTATE(パリサー・エステート)とMARTINBOROUGH VINEYARD(マーティンボロー・ヴィンヤード)に行きました。この2軒は車で行くと1,2分くらいの近距離で、そのほかにもCROFT WINES(クロフト・ワインズ)、CAMBRIDGE ROAD(ケンブリッジ・ロード)、MARGRAIN(まーグレイン)、SCHUBERT(シューベルト)、ATA RANGI(アタ・ランギ)などのワイナリーが近くにあったようです。欲をいえばシューベルトや、マーティンボロー初のワイナリーでピノ・ノワールの名手のアタ・ランギも行きたかったのですが、次回のお楽しみに……。

今回ニュージーランドのワイナリーを11軒訪問しましたが、やはりワインの勉強は生産地を訪ねることが一番刺激的で楽しいです。来年2017年には4年に1度の「ピノ・ノワール ニュージーランド2017」という、ニュージーランドでは最大のワインイベントがウェリントンで開催されるとのこと。ぜひ行ってみたいですが、それが無理でも、唯一訪れたことのない、セントラル・オタゴのワイナリー巡りはいつか実現させたいと思います!

2016年1月掲載
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