NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第148回コラム(Nov/2014)
ワインアドバイザー資格への挑戦
Text: 藤山恵水/Megumi Fujiwara
藤山恵水

著者紹介

藤山恵水
Megumi Fujiwara

神奈川県出身。2003年5月にニュージーランドに初めて旅行で訪れた際にワインのおいしさに目覚め、以来特にニュージーランドワインのファンとなる。大学卒業後、東京で会社員として数年勤務したのち、2008年にワーキングホリデービザを取得してニュージーランドに渡航。語学学校を卒業後、憧れだったワイヘキ島のワイナリーで収穫作業を経験。将来の夢はニュージーランドの学校でワインについて学び、ニュージーランドのワイン業界で働くこと。趣味は映画鑑賞、読書、旅行、書道、写真。

この著者のコラムを読む

更に表示

早いもので今年も残りわずかとなってきましたが、皆さま、今年も美味しいワインに出会えましたでしょうか。

ストレートで合格できたのは自分一人の力ではなく、周囲の協力があっての賜物だと思います。そして、これまで自分なりに努力し続けてきたことが、色々なかたちで良い結果へと牽引したのだと。特にニュージーランドで頑張った2年が私のベースとなっていることを強く感じました。今回のコラムではニュージーランドワインと留学時代にお世話になった方々への感謝の気持ちを込めた、ワインアドバイザー挑戦記を書きたいと思います。

ワインアドバイザーは一般社団法人 日本ソムリエ協会が毎年実施している呼称資格認定試験の一つ。ワインおよびアルコール飲料の輸入、販売等に3年以上従事していることが受験資格で、今年ようやく受験資格に達しました。

ニュージーランドでは、「ワイン・マーケティング」課程の卒業資格(Diploma(ディプロマ))を得ましたが、日本で認められるためには、やはり日本の資格が必要です。また、自分の興味関心がある分野しか勉強してこなかったので、総合的な知識を得るためにもぜひ早く受験しようと思っていました。

一次試験はワインについての知識が問われる筆記試験、二次試験はテイスティングと口頭試問。毎年大体25%前後の合格率ということで、オーストリアワイン大使の一次課題が終わった2月頃に8月中旬の一次試験に向けた半年間の勉強計画をたてました。しかし、オーストリアワイン大使の二次試験向けの勉強や日々の仕事やその他勉強に追われ、資格試験の勉強がはかどらないまま、試験まで1か月を迎えてしまいました。このまま記念受験で終えるか、残り1か月で死にもの狂いで勉強するか…。

とにかく後悔しないようにやるだけやってみよう!と覚悟を決め、8月上旬に某ワインスクールの直前講習に参加し、2日間朝から夕方までみっちり勉強しました。要点を掴んだことで、気持ちは“一次試験絶対合格”へと向かいました。そして土日やお盆休みは、留学時代に自分の夢や目標に向かって、まっしぐらに勉強していたときと同様に勉強しました。机に向かっていないときでも、『神の雫』等のワインの漫画を読んだり、映画『サイドウェイ』のDVDを見たり、とにかくワインづけの日々。ワイン業界で働く“プロ”として認められる資格を取ることが私の一つの達成点になる…とにかくワインへの強い思いが一次試験、そして二次試験の勝機を呼びました。

そして合格の大きな助けとなったのが、ニュージーランドワインでした。前述の直前講習でも、講師からソムリエ教本のニュージーランドのページは熟読するように、と言われました。つまり、それだけ重要ということですが、改めて学ぶ知識はありませんでした。ニュージーランドワインについては一生懸命勉強したので、「これだけは負けない」と思えるものがあると、精神的に強くいられるな、と思いました。

そして、それは二次試験で顕著に現れました。ワイン3種類(赤ワインと白ワイン)とワイン以外のリキュール、スピリッツ2種のテイスティング試験ですが、ワインについては色や香り、味わいの表現、品種等を選択肢から回答しなくてはなりません。毎年の傾向として、ワインはピノ・ノワール等のポピュラーな品種が出ているようでしたが、留学時代にも基礎的なテイスティング試験は経験済みだったので、ちょっとマニアックなシュナン・ブランやテンプラリーニョ等、馴染みのない品種を中心に、とにかく試験前は毎日飲み続けました。試験に頻出しているニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランは、改めて飲まなくても何とかなるだろうと、あえて飲みませんでした。

そして本番。白ワイン2、赤ワイン1の比率でしたが、2番目の白ワインの香りを嗅いだ瞬間に、「これは!」と思いました。青っぽいピーマンのような香り、私が最も親しんでいるニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランに間違いない、これで1種類は確実に点数を稼げる!これで精神的に余裕が生まれ、その後はわりと落ち着いて回答でき、心配していたリキュール、スピリッツのテイスティングも一つは山があたりました(国際的に評価も高まっているウイスキーが出題されるのでは、と思っていました)。続く口頭試問も、帰国後、注目し勉強していた日本ワインについての問題が多く、本当にラッキーでした。

合格発表を見るまでは本当に不安で、発表後も怖くてなかなか見られなかったのですが、ソムリエ協会のHPで自分の番号を見たときは本当にうれしくて涙がこぼれました。

合格発表後、沢山の方から「おめでとう」のメッセージをいただき、とても嬉しかったのですが、なかでも心に響いたのが、ニュージーランドで最初にお世話になったホストマザーからのメッセージ。ワインの勉強をするために語学学校に通っていた頃から見守ってくれていましたが、「本当に実現したのね」とSNSでメッセージをくれました。2008年秋にニュージーランドに渡ってから、ぶれずにワインの夢を追い続けてこられて、本当に良かったです。そして、これからはワインアドバイザーの呼称に恥じないように、勉強を続け、ワインの魅力をプロとして伝えていきたい、と強く思いました。

来年は更なる挑戦として、ワインと同様に好きなチーズの勉強をして資格取得を目指したいと思います。そして、いつかニュージーランドワインとチーズの相性についてのコラムを書けるようがんばりたいと思います!

2014年12月掲載
SHARE