NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第51回コラム(Jul/2007)
ワイン・ラベルのルールと読み方
Text: 加藤しずか/Shizuka Kato
加藤しずか

著者紹介

加藤しずか
Shizuka Kato

秋田県出身。日本では、岩手県雫石スキー場でスキー・インストラクターとして働く。そこでNZを行き来している人たちに出会い、NZを訪ねる。その後、クイーンズタウンの中華レストランでスーパーバイザーとして8年間勤務。2006年の収穫時期にパートタイムでワイン造りを経験し、ワインに興味を持つ。NZでワイン醸造学・栽培学専門学校を卒業後、現在はセントラル・オタゴ内ワイナリーのセラードアに勤務。ゴルフ、キャンピング、トレッキングなどスポーツを通して自然が豊なNZ生活を楽しんでいる。

この著者のコラムを読む

更に表示

ワインショップにワインを買いに行って、又はスーパーマーケットに行ったついでにワインを1本買うとき、皆さんはどのように選んでいますか?

店頭のワインには色々なラベルが貼られ、きれいに並べられています。そして、ボトルの裏には簡単な自己紹介が書かれたシールが貼ってあります。「私、満足な仕上がりで、どうですか?」とでも言うように、ドキドキしながらたくさんのワイン愛好者に手に取られ、買われるのを待っています。しかし、選び手としては、ワインの種類は沢山あるし、理想の人に出会い、見つけ出すのは、なかなか難しいものです。

すると、ワインのラベルが選ぶ際のポイントになります。そこで、今回はニュージーランドでワインのラベルに書かなければならないルールと、その内容を説明したいと思います。

ラベルには下記の要領でワインの情報が書かれています。

  1. 食品名(ワイン、シャルドネなど)
  2. 食品ナンバー(バーコードと表示)
  3. ワインの名前、販売会社
  4. 容量
  5. 原産国
  6. アルコール度数
    (ニュージーランドでは上下1.5%誤差を表示することが許されています。例:12.0%のものは10.5%~13.5%と幅を持たせて表示可能)
  7. スタンダード・ドリンク基準表示
    (0.789×アルコール度数×容量を計算したもの。ニュージーランドでは、大体ワイングラス1杯飲んだだけなら車の運転ができるとされていますが、一般的に皆さんはこの数字を見て飲む量をコントロールしているようです。ワインは6.5~8.5が範囲で、数字が高ければ高いほど強いお酒となります)
  8. 酸化防止剤の表示
    (contains sulfitesか preservative 220と書かれているのがほとんどです)
  9. アレルギー起因物質の表示
    (醸造時、発酵が終わりまだ濁っているワインをきれいにするため、また、苦味を取り除く目的のために下記のような物質が混ぜられます。
    ◆ゼラチン:動物の皮膚や骨から作られたものでアニマル・プロダクト/animal productと書かれている場合あり
    ◆アイシングラス/isinglass:雲母と呼ばれるもので魚から作られたもの
    ◆ミルク or カイゼン/casein:ミルクに大量に含まれるタンパク質
    ◆卵の白身/albumen, egg white:これらを混ぜ、余計な成分を沈殿させたあと取り除きます。これを澱下げと言います)

オークランド近くのワイへケ島にある、ストーニーリッジ・ヴィンヤードで作られている、 フォーリン・エンジェルのラベルを実際に例にとってみます。

ピノ・ノワールは、清澄剤(fining agent)として卵の白身(albumen)と表記しています【①】。これは澱下げで卵の白身を使っているという意味です。そして、セントラル・オタゴ【②】の2006年【③】に収穫されたブドウを使っていることが分かります。また、酸化防止剤(二酸化硫黄)が含まれています【④】。
ソーヴィニョン・ブランは、マールボロー地域【⑤】で2007年【⑥】に収穫されたブドウを使い、酸化防止剤が含まれる【⑦】と表示されています。

澱下げに使われる種類とその分量で、ワインの味全体の雰囲気が変わってきますが、ワイン醸造家がブドウの状態から、発酵が終わったときの味の変化を常にチェックし、微量を調節した試験を繰り返し、色々な方法を試して最終的に決めるのです。

酸化防止剤はワインの質を保つためのものですので、ほとんどのワインに添加されています。その分量が多いと鼻につんときますのですぐ分かりますが、ワイン醸造家はその分量を最低限に抑え、ワインの味や香りに影響がないように心がけているので、安心してください。

これを参考にしていただけると、ちょっとワインを選ぶときの楽しみが増えるのではないでしょうか。自分の相性にあったワインたちにより多く出会えたらいいですね。

2007年7月掲載
SHARE