NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第95回コラム(Aug/2010)
クイーンズタウンでの流行
Text: 加藤しずか/Shizuka Kato
加藤しずか

著者紹介

加藤しずか
Shizuka Kato

秋田県出身。日本では、岩手県雫石スキー場でスキー・インストラクターとして働く。そこでNZを行き来している人たちに出会い、NZを訪ねる。その後、クイーンズタウンの中華レストランでスーパーバイザーとして8年間勤務。2006年の収穫時期にパートタイムでワイン造りを経験し、ワインに興味を持つ。NZでワイン醸造学・栽培学専門学校を卒業後、現在はセントラル・オタゴ内ワイナリーのセラードアに勤務。ゴルフ、キャンピング、トレッキングなどスポーツを通して自然が豊なNZ生活を楽しんでいる。

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「Sake Bomb Sake Bomb Sake Bomb Bomb!」

クイーンズタウンの酒バーでは、地元のキウイーや観光できたオーストラリア人にこの酒Bombが大人気。酒Bomb=酒爆弾は、サッポロビールが入っているグラスに箸をのせます。その上に酒の入ったおちょこをのせ、みんなでかけ声をした最後のBombでテーブルを叩くことによって、おちょこがコロンとビールの中に落ちます。それを一気に飲干す、というわけです。

お店じゅうにそのかけ声が響いて、一つのテーブルがやりだしたと思っていたら、お店のテーブル全員がやっていたという光景を何度か見たことがあります。たまに一人で一人酒Bombしちゃっている人もいますが…。多分クイーンズタウンにきたらやるべき観光スポットの一つに入っているのだと思います。

ところで、先日Japan Wine Challenge(ジャパン・ワイン・チャレンジ)という東京で行われるアジアではもっとも認知度の高い大会で、セントラル・オタゴのギブストンバレー2009年ピノグリが最優秀新世界白ワイントロフィーを受賞しました。

2009年の一番の思い出は、雪の降る中、外にあるピノ・ノワールの発酵中のタンクをプランジング(棒を使って手でタンクの果汁やワインを混ぜる作業)をしたことです。2009年ギブストンバレーの収穫量は約300トンでした。半分以上はピノ・ノワールを生産しています。そのうち、ピノグリは約2900ケースできました。

ほとんどの割合のブドウはクロムウエルの北にあるベンディゴのスクールハウスと呼ばれる畑から、それとギブストンバレー付近の畑から手摘みで収穫されました。ワイナリーに運ばれてきたブドウは圧搾機で優しくしぼり出され、そのジュースを75%ステンレスタンク、15%はフレンチ樽で発酵させます。ピノグリは皮が灰色、薄紫かかった色合いが特徴です。

出来上がったワインは、パッションフルーツのような鮮やかな香りと、シャーベットを思わせる爽やかな味わい。酸味とほのかな甘味と、ミネラル感たっぷりなのがたまりません。どんなお食事にも合ってしまうピノグリは今、ニュージーランドで特に女性に人気の高いワインです。

それにピノグリは長い間セラーすることもできます。もちろん作り手さんによって違います。先日、ギブストンバレーワイナリーの2001年を試飲しました。10年の月日を感じさせない、しっかりとフルーティーさを保っているバランスのとれたワインでした。若いときもおいしくて、月日が経ってもおいしいワイン。理想のワインです。

クイーンズタウンでのピノグリブームと酒ブーム。Queenstown Resort College では、来月、酒の試飲会が予定されています。ワイン好きの人や、ワインメーカー達が楽しみにしています。私も日本酒が大好きです。こうして日本人以外の国籍の人がおいしい酒を飲んで、もっと日本文化に興味を持ってくれてもっと日本酒のおいしさが知れわたり、それと共に日本にニュージーランドのワインのおいしさがもっと伝わったらいいのにな、と、思います。

2010年9月掲載
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