NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
夏のニュージーランドの楽しみ方 ~ネルソン エイベルタスマン編~
第223回コラム(Mar/2022)
夏のニュージーランドの楽しみ方 ~ネルソン エイベルタスマン編~
Text: 小倉絵美/Emi Ogura
小倉絵美

著者紹介

小倉絵美
Emi Ogura

大学卒業後に就職した会社がワインのインポーターだったという偶然からワインが大好きに。以降ワインの世界にどっぷりとはまること十数年。ワーホリで行ったカナダのワイナリーで1年間働いた際にワイン造りに興味を覚える。ニュージーランドワインは以前から大好きでワイナリー巡りを目的に過去に3度来たこともあり、2014年にリンカーン大学でブドウ栽培・ワイン醸造学を修める。2015年の2月からクライストチャーチ郊外にあるワイナリーでセラー・ハンドとして勤務。趣味はワインを飲むことと美味しいものを食べること。そして旅行。

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日本とは真逆の南半球に位置するニュージーランドは12月から2月末までが夏。Daylight saving time(サマータイム)のお陰もあり夜9時頃までは暗くなりません。冬は雨も多く家にこもる事が多い反面キウイの人は夏に長期の休みを取って思いっきり遊びます。

ニュージーランドではコロナの規制は現在信号制になっていて、どの程度コロナが市中に入り込んでいるかで「青」「オレンジ」「赤」が決まり、その色に設定された規制に従って生活します。このコラムを書いている2月下旬現在は「赤」。
この信号制においてはロックダウンはないものの、レストランやカフェで飲食する際には「ワクチンパス」は必須、出来る限り在宅勤務が推奨されていたり、他の国比べれば普通に近い生活が送られていますが規制は色々とあります。
ワクチン接種、未接種によって異なりますが日本と違って地域を越えた旅行などの規制や蔓延防止法のような飲食店にアルコールを提供する時間などを規制するものは全くありません。なので2月の第1週にあった祝日ワイタンギデーを含んだ3連休でも多くの旅行者をここネルソンでも見かけました。

まだオミクロン株が蔓延する前(オレンジ信号)の正月、コロナ禍で国内旅行しか出来ませんがクライストチャーチの友人とネルソンから車で2時間くらいのところにあるAbel Tasman(エイベル・タスマン)に行ってきました。今回はワインについてはあまり触れてはいませんが、夏のニュージーランドに来た気分になって頂ければと思います。

エイベル・タスマンは海辺沿いに広がる国立公園でビーチ、トレッキング、カヤックなど自然を楽しむのが定番。私たちはファーム・ステイ気分を味わおうとファームの中にある一軒家に滞在しました。

ファームには羊、ヤギ、にわとり、七面鳥が居て自由に闊歩していて、朝はにわとりの鳴き声で目覚めます。初日は行きにあるサーモン・ファームでサーモン釣りに行きました。サーモンが今後の主食になるので子供たちも含めて皆な必死(笑)。でも閉園間近に行ったのでスタッフの人が餌を撒いてくれて入れ食い状態(笑)。結果、思いもよらず合計3匹を吊り上げ、その場で解体してもらい、半分は刺身用に、残りはホットスモークにしてもらいました。

その夜は家のデッキでファームを見ながら豪勢な食卓。生春巻きやハム、サラダ、お刺身などお酒の進む献立ばかり。暑かったのでビールで乾杯して、ワインはネルソン・ブライトウォーター(Brightwater)のシャルドネ
サーモンの定番はソーヴィニヨン・ブランなのですが、スモークが結構ハーブが効いていて脂もあったので、樽香があり少し青りんごのような果実味のあるシャルドネでも全く問題ありませんでした。

以前のコラムでも書きましたが、ブライトウォーター(Brightwater)はネルソンから車で15分、ネルソンの隣町リッチモンドから5分と言う場所に位置していて、ソーヴィニヨン・ブランリースリングピノ・グリシャルドネ、ピノ・ワールの他に、この辺りでは珍しいメルローを造っています。

翌日はビーチ散策に名所訪問、そしてジンの蒸留所にと忙しい一日。エイベル・タスマンの入り口であるタカカと言う町には、Dancing Sands Distilleryと言うジンの蒸留所があり、ジンにワサビやソーヴィニヨン・ブラン、チョコレートなど独特なフレーバーを付けたジンを造っています。
残念ながら私は蒸留酒が飲めないので、友人にその味わいを聞くと、ジンの中にそのフレーバーがほのかにあり、特にワサビはあの“つーん”とくる刺激が後から残るそうです。
ニュージーランドはワインだけではなくクラフトビールはもちろん、ジンも造っているので見かけたら是非試してみて下さい。

そして、エイベル・タスマン方面に来たならここを外さないわけにはいかない場所、そう ププス・プリングス(Te Waikoropupū Springs)です。ニュージ-ランドで最大の淡水泉であり南半球最大の冷泉だそうです。ここの水の透明度は半端なく綺麗で感動するレベルです。

ジュラシック・ワールドに迷い込んだかのような迷宮の名前を持つラビリンス・ロック公園(Labyrinth Rocks Park)。ここは迷路のように岩と森林が生い茂る公園で、最短コースだと15分、長いコースだと1日と言う広大な迷宮スポットです。運が良いとニュージーランドの固有種で体長が50センチにもなる巨大な野生の鳩であるケレル(Kereru)を見ることができます。

エイベル・タスマンと言えばビーチ。何カ所か点在しているのですが、オレンジの砂が綺麗なトタラヌイビーチ(Tōtaranui Beach)とタタビーチ(Tata Beach)へ行きました。

夏は滅多に25度を越さないネルソン地方ですが、今年の正月は28度で死にそうな暑さ。日本に比べたら気温は低いのですが、太陽の力が半端なく強く、少しビーチにいるだけで黒焦げになります(笑)。

ビーチでは泳ぐ人もいればパラソルをさしてその下で読書や昼寝を楽しむ人もいます。こちらのビーチでは基本的にアルコールの消費は禁止されているので、日本のように海辺でお酒を飲みながらバーベキューはありません。

そして、最終日はタタビーチ(Tata Beach)で初のカヤックに挑戦しました。午前中半日のカヤックに挑戦したのですが甘く見ていました。。。腕から背中にかけて普段使わない筋肉を使うので大変な上に船酔い(カヤック酔い?)するし、意外と体力の要るスポーツでした。でもエイベル・タスマンを半日かけてカヤックで回れたのは貴重な大変でした。

私たちが滞在したのは2泊3日だったので名所を色々と回って忙しかったのですが、1週間ほどあるともっとゆっくり楽しめると思います。

最初の方で書いたように、ニュージーランドはワクチンパスさえあれば外食も普通にでき、時間制限もありません。夏はアウトドア席に座ってお酒と食事を楽しむ風景を至る所で見かけますが、特にここネルソンは海沿いの町なため、海を見ながら食事が出来るレストランが結構あります。

その中でも個人的にお気に入りなのが安くて美味しいタイ料理「ナーン(Nahm)」。2階にあるためアウトドア席からは綺麗な海が見えてワインが進みます(笑)。

この日飲んだのも偶然にもまたもやブライトウォーター(Brightwater)のピノ・グリ。私はここのリースリングが好きなのですが、ピノ・グリもニュージーランドでよく見られるフルーティーな果実爆弾のようなタイプではなく、フランス・アルザスやイタリアのような少し落ち着いた果実味を感じるもの。もちろんピノ・グリ独特のあの苦みはあるのですが、それがお料理に良くあいます。

特にタイ料理はパクチーを使うことが多いので、お互いに相乗効果で合うような気がします。ゲヴュルツトラミネールがスパイシーなお料理に合う事は言うまでもありませんね。

そしてNahmと同じ通りにあるボード・シェッド・カフェ(Boat Shed Cafe)。ここは完全に海の上に建っています。

週末は朝食から営業していて、アウトドアにある席で海風を感じながら優雅に朝食を楽しむこともできます。料理はヨーロピアンで、ワインのセレクトも多く、ネルソンで夏と言えばここ、的なレストランの1つです。

こうやってニュージーランドでは短い夏の長い1日を楽しみます。コロナもヨーロッパでは「With Covid」を掲げて規制を緩める国が増えていて、ニュージーランドも7月からは日本からの旅行者の受け入れを発表しています。ニュージーランドの夏は12月からなので今年は多くの日本人の方がニュージーランドに来て夏を楽しめれたら良いなぁと思います。

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