NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第64回コラム(Feb/2008)
週末の過ごし方
Text: 堀内茂一郎/Moichirou Horiuchi
堀内茂一郎

著者紹介

堀内茂一郎
Moichirou Horiuchi

山梨県出身、NZ在住。大学卒業後、進路を一変して辻調理専門カレッジにてフランス・イタリア料理を学ぶ。初めて勤めた東京のフレンチレストランで、サービスの魅力に惹かれてワインの勉強を始める。その後、北海道に移り、某高級ホテルのレストランで、サービス・ソムリエを勤める最中、数々の素晴らしい景観に心を奪われる。新たな大自然との出会いを求めてNZ滞在中。WSET Advanced Sertificate、JSAソムリエ資格を保持。現在はオークランドのTriBeCaレストランでNZワインとの出会いを楽しみながらいつか自分のお店を持ちたいと考えている。

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2008年のオークランドの夏は、例外的に暑く、長い夏になりました。2月も中旬に入り暑さのピークは過ぎたようですが、それでも日中の陽射しは、たっぷり塗りつけたはずの日焼け止めを通り越してきます。

温暖化の影響?と思わず考えてしまいますが、最近どこかで異常気象が発生すると、全て地球温暖化のせいにされていますよね。けれど、そんな悪名高い温暖化現象も、ニュージーランドワイン業界には追い風になるとの予測が出ています。品種の幅が広がり、新たな生産地が開拓される可能性があるそうですが、干ばつに悩むオーストラリアのワイン生産者には、なんとも皮肉な予測であると思います。

さて、そんな暑い夏の週末、皆さんは何をお楽しみになりますか?海や山に出掛けるのも一計ですが、浴衣を着て出掛けるお祭りや花火大会は、夏ならではの楽しみですよね。浴衣とうちわを身につけ、夕涼みがてらに出掛ける縁日は、日本の夏の典型的なシーンです。そして夜空に花火の音が響けば、思わず頭をよぎるCMのキャッチコピー、「キンチョーの夏、日本の夏」。

ここニュージーランドでも、夏には多くのお祭りやイベントが開かれます。そのほとんどは日中に開かれ、帽子とサングラス姿の人々が、街の広場や公園に集まります。僕たちワイン愛好家の楽しみであるワイン・フェスティバルも、この時期に集中しています。春先の9月ごろから秋本番の4月まで、全国のワイン産地で趣向を凝らしたフェスティバルがありますが、ニューイヤーズ・ホリデーが終わり、一息ついたこの2月がそのピークと言えるでしょう。そこで浴衣を着ることはありません(もちろん着ても構いませんが・・・)が、Tシャツとサンダルで青空の下に出掛けましょう。

今回はマールボロ・ワイン・フェスティバルの模様をレポートいたします。もちろんキャッチコピーは、「ソーヴィーの夏、ニュージーの夏」

2月9日、今年でフェスティバル25周年を迎えるマールボロは、素晴らしい天気に恵まれました。ニュージーランドで開催されるワイン・フェスティバルの老舗だけあり、国内だけでなく海外からも来場者がある盛況ぶり。60以上のワイナリーから200種類を越すワインが展示され、嬉しいながらも、どれを口にしようか迷うことは必至です。

入り口では、おなじみのロゴ入りグラスが配られ、それには40ml・120mlのメモリが書かれています。全てのワインが、ハーフ(2~5ドル)かフル(4~10ドル)かを選べるようになっているので、お酒に弱い方もいろいろな種類を試すことが出来ます。

一つ目のブースに面白い企画がありました。5つのボトルに色違いの液体が入っていて、そのそれぞれにワインで感じられる香りが入っているのです。全て当てたらちょっとしたプレゼントがもらえると言うことで、もちろん挑戦してみました。色から想像できなくもないのですが、その答えは

A. グレープ・フルーツ B. ピーマン C. ハチミツ D. オーク E. バター

ちなみに僕の出した答えは

A. 若いリースリング B. ニューワールドのソーヴィニョン・ブラン C. 貴腐セミヨン D. 熟成したカベルネ・ソーヴィニヨン E. マロラクティック発酵させたシャルドネ

多少ひねくれた答えでありながら、ボールペンをもらいました。

そしてもちろん、会場のあちこちでそれらを楽しむことが出来ます。エントリーの数が多く、それぞれ魅力的な料理とワインを紹介しているので、来場の際は、是非おなかを空かせてきてください。ちなみに、今回14のエントリー作品の中、優勝した料理&ワインはフォレスト・エステートと(Forrest Estate)とマールボロ・ヴィントナーズ・ホテル(Marlborough Vintners Hotel)がコラボレートした、マールボロ産ホタテのたたきレモン汁漬けと、

フレッシュ・ハーブ風味のマールボロ産ホタテのグリル~シーフードとリースリングのクリームソース・パスタ添えに、ワインはフォレスト・エステート・リースリング 2007。 ほのかに甘さを感じる、リッチなリースリングは、肉厚のホタテと相性抜群です。

ところで、僕の働いている

ワインやフードとは別に、ワイン・フェスティバルに音楽は欠かせません。来場直後、特設ステージからは、The Beach Boysの「Surfin' U.S.A.」が聴こえてきました。参加アーティストの常連であるThe Beat Girlsによる、60から80年代のヒットパレードです。彼女たちの曲がJackson5の「I Want You Back」に移ったころには、ちらほらステージ前で踊りだす人たちが出てきました。その多くが女性であることは、男性が控えめ・女性の主張性が高いと言われるニュージーランドならではなのかもしれませんね。

今年の目玉アーティストは、ニュージーランドの人気アーティストである兄弟バンドKoraでした。彼らのライブパフォーマンスで会場は大いに盛り上がり、夕方前にしてその酔いと興奮はピークに達しました。“Thank you, Marlborough!”と、思わず叫びたくなる一瞬です。

同じように兄弟バンドのEvermoreや、Brooke Frazer, Hollie Smithといった、昨年のミュージック・アワード受賞アーティストたちも、今年のワイナリー・ライブやフェスティバルに参加しています。ワインと共に、KIWIアーティストのCDもお土産の一つに加えてみてはいかがでしょう?きっとよい思い出の一つとなると思います。

来年2009年のフェスティバルは、2月14日に開催が決定しています。ヴァレンタイン・デーにちなんだ企画も予想されますね。チケット発売は10月10日からだそうです。

詳細はこちら http://www.wine-marlborough-festival.co.ニュージーランド/

夏の休日を楽しんだ後、夜にシャワーを浴びるときに、顔にひりひりを感じたら、ニュージーランド特産のラノリン/プラセンタを配合したクリームで、しっかり肌のお手入れをしましょう。ラノリンは、羊毛から抽出される脂を精製したもので、肌の保湿や保護に最適、プラセンタは羊の胎盤を原材料としていて、美肌効果やしわの防止に役立ちます。これでまた一つ、お土産が増えてしまいますね。

ニュージーランド国内では既に今年最初のブドウも収穫され、今後5月中旬くらいまでは、各地の畑で忙しい日々が続きます。この乾燥した夏の恩恵を受け、今年のワインも高品質になることが期待されていますが、これから収穫前の天気がその品質に大きな影響を与えることになります。生産者たちが、空とブドウを交互に見つめる姿を思わず想像してしまいますね。

そんな生産者たちの不安や期待をよそに、僕はひたすら次の週末の予定作りに余念がありません。季節は僕らを待つことなく、「さよなら」も言わずに去っていってしまいます。

皆さんの予定はお決まりですか?では、Have a good weekend!

2008年3月掲載
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