NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
週末のお楽しみ ~第2弾~
第220回コラム(Aug/2021)
週末のお楽しみ ~第2弾~
Text: 小倉絵美/Emi Ogura
小倉絵美

著者紹介

小倉絵美
Emi Ogura

大学卒業後に就職した会社がワインのインポーターだったという偶然からワインが大好きに。以降ワインの世界にどっぷりとはまること十数年。ワーホリで行ったカナダのワイナリーで1年間働いた際にワイン造りに興味を覚える。ニュージーランドワインは以前から大好きでワイナリー巡りを目的に過去に3度来たこともあり、2014年にリンカーン大学でブドウ栽培・ワイン醸造学を修める。2015年の2月からクライストチャーチ郊外にあるワイナリーでセラー・ハンドとして勤務。趣味はワインを飲むことと美味しいものを食べること。そして旅行。

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このコラムを書いている時はニュージーランドはロックダウン中。5か月もの間、市中感染が無かったニュージーランドもとうとう1人の感染者が見つかりその翌日からアラートレベルが4に引き上げられロックダウンに突入しました。

当初はオークランドとコロマンデル地方以外は3日の予定でしたが今回はデルタ株である事とウェリントンでも新規感染者が発見された事もあり7日間に延長。昨年のコラムでも書きましたが私の会社は食品を輸出しているためエッセンシャル・ビジネス(必須ビジネス)に認定されており私は絶賛出勤中(笑)。ちなみにロックダウン突入後の土曜日、私の住んでいるネルソンの街中はゴーストタウンと化していました。その中で今回は前回に引き続き週末(もしくはロックダウン中)に楽しむワインをご紹介したいと思います。

 

トゥルー・アンド・ダーリング リースリング2015年

ノース・カンタベリーのブドウを使ったワインですが、ワイナリーはクライストチャーチから車で南に20分くらいの所にありました。なぜ過去形かと言うと既に姿を消してしまった幻のワイナリーだからです。私がリンカーン大学に行ってる頃にこのワインを飲んで感動した記憶があったのですがその当時は輸出を主にやっていて国内では見かけませんでした。ところが数年前にクライストチャーチのワインショップで見かけた時にはワイナリーを売却しワインは破格セールになっていました。今のニュージーランドでは珍しいコルクを使用、そのコルクにもワインのダイアモンドと言われる酒石酸の結晶が付いていて酸を豊富に含んだクオリティの高い証もあってワイナリーが無くなってしまったのがとても残念です。味わいは「THEリースリング」でレモンなど柑橘系の香りとほんのりとぺトロールのような熟成香が出始めた印象。ドライで余韻は長め。2013年ヴィンテージも飲んだことがありますが10年は熟成可能だと思います。

 

ボーンライン ベアボーン シャルドネ2018年

ノース・カンタベリーにあるブティック・ワイナリー。カンタベリー以外ではあまり見かけませんがワインはどれも秀逸。ここのお気に入りはカベルネ・フランなのですが、現在熟成中(笑)。個人的に新樽で寝かせたシャルドネは樽の風味が強すぎて苦手なのですが、これは古樽を使用していて飲んだ最後に鼻から樽の香ばしさが抜けるような感じで心地よいレベルです。白桃など核果実と白い花のような風味。15か月の間シュール・リー(澱引きを行わず澱とワインを触れさせる)で熟成させているので、澱からの複雑味や旨味を感じることが出来ます。

 

ワイパラヒルズ セイヴィング・グレイス グリューナー・ヴェルトリーナー 2018年

こちらもノース・カンタベリーにあるワイナリー。クライストチャーチから国道1号線を北上すると最初に出会うのがこのワイナリーです。国道沿いにあるため立ち寄る人も多くセラードアもいつも人でにぎわっています。このセイヴィング・グレース シリーズはワイナリー限定商品で他ではお目に掛かれない貴重なワイン。他のシリーズにはないブドウ品種が使われています。グリューナー・ヴェルトリーナーはご存知の通りオーストリアの品種。そのクリーンな味わいから日本食にも合うと言われています。洋ナシのような少しフルーティーな香りと白コショウのスパイス感、そしてミネラル感もあって白身のお刺身がネルソンで手に入れば絶対に選んでいただろうと思います(笑)。手に入らなかったのでチキンのクリームパスタにしましたがしっかりとしてクリームでも負けないほどの果実味と分厚い酒質のお陰で十分楽しめました。グリューナーとクリームパスタおススメです。

 

スタインガー グリューナー・ヴェルトリーナー2017年

と言うことで本家オーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナー。ニュージーランドでも他国のワインは一応手に入ります。ただ普通のスーパーではチョイスは少ないので、私はもっぱらウェリントンにある高級スーパーからお取り寄せ。このワインは洋ナシやグリーンアップル、白桃のようなフルーツ香としっかりとしたミネラル感。これぞグリューナーと言うお手本な1本でした。

 

ペンカロウ ソーヴィニヨン・ブラン 2020年

ご存知の方も多いかと思いますがペンカロウはマーティンボロにあるパリサー・エステイトが造るカジュアルなシリーズ。と言ってもさすがはパリサーと言う仕上がりです。
ソーヴィニヨン・ブランはあまり飲むことは無いのですがこれは別(笑)ソーヴィニヨン・ブランにある草原の香りやハーブ香はなく、パイナップルのようなトロピカルフルーツの風味で尖った酸味もなく柔らかい口当たり。多くのソーヴィニヨン・ブランはカジュアルに飲めるスタイルで余韻も短めなのですが、このソーヴィニヨン・ブランは厚みもあって余韻も長め。単体でも十分楽しめます。久しぶりに飲みましたがデイリー価格ながらもパリサーの良いところが楽しめる満足の行くソーヴィニヨン・ブランだと思います。

 

ロッド・マクドナルド ミスターロゼ2019年

ラベルに惹かれてポチっと“Buy”ボタンを押してしまった1本。ホークスベイにあるテ・アワンガの造るミスター・シリーズ。使われている品種がワイナリーのウェブサイトにも記載されていないので不明ですが、飲んだ印象と産地からピノ・ノワールではないことは確かで、恐らくメルローやシラーのようなピノ・ノワールよりも少し色の濃いブドウ品種が使われているのではと思います。ラズベリーやアセロラのようなしっかりした赤果実系の香りとスイカのようなジューシーな味わい。ほんのりと甘みもありタンニンも少し感じられます。飲んで頭に浮かんだのはカプレーゼ!私はトンカツと合わせましたが酸がすっきりと油を流してくれ、豚の甘みとロゼの旨味がとても良く合いました。

 

クオーツリーフ メソード・トラディショナル NV

セントラル・オタゴにあるクオーツリーフ。ここはスパークリングワインが有名です。62%ピノ・ノワール、38%シャルドネのブレンド。シャンパンでは瓶内二次発酵が始まってから約2年の間、少しずつ瓶を動かして発酵で生まれた澱を集め最後に澱の溜まった頭の部分を取り去りますが(ルミアージュ)このスパークリングワインも2018年から少しずつ手で瓶を動かして澱を集めています。大手のワイナリーになるとこのルミアージュの作業は機械で行いますがクオーツリーフは手作業。かなりな作業量になります。ほぼ黄金色に近い、美味しいであろうと予想させる色合い。トースト香、バタースコッチ、柑橘系果実、ミネラル香、全てが最初に上がってきます。泡はきめ細かくクリーミー。ブラインドで飲むと恐らくシャンパンと間違えてしまうほどです。このワインは私の会社の上司がロックダウン突入後最初の金曜に持って来てくれました。上司もワイン好きで前回のロックダウン中も毎週金曜にワインを持って来てくれ私ともう1人の同僚のために振舞ってくれていました。今回はその2人がコロナワクチンの1回目を打った記念だと言っていましたが(笑)。

 

コロナワクチンと言えば、ニュージーランドはまだまだ他の先進国と比べると接種率は良くありません。コロナの市中感染が無かったのも一因ですが、ニュージーランドはファイザー社のワクチンのみを選択しており供給が思ったように行われていなかったのも原因です。8月からは1回目と2回目の接種の期間を3週間から6週間に伸ばし、より多くの人が最低1回でも接種出来るようになり、新たに市中感染が見つかってからは9月以降は12歳であれば全ての国民が接種出来るようになりました。私の会社は幸いにも会社内に接種会場を設けてくれて希望者とその家族全員が接種できました。ワクチンの副反応を懸念して躊躇する人もいるようですが、ワクチンは自分のためではなく自分の家族や周りの人を守るためでもあるので全世界の人が接種出来るように願っています。

 

ニュージーランドではもう少しロックダウンが続くみたいですが、私はいつも通り週末にはワインを楽しみたいと思います。

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