NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
ニュージーランドの秋のお楽しみ
第193回コラム(Aug/2018)
ニュージーランドの秋のお楽しみ
Text: 利根川志保/Shiho Tonegawa
利根川志保

著者紹介

利根川志保
Shiho Tonegawa

大阪出身、東京で10年弱働いたのち2014年にオークランドに移住。東京での多忙な日々をお酒を相棒に乗り切り、ワイン輸入業での勤務を通してワインの魅力に触れる。また、ニュージーランドの造り手との触れ合いを通し、飾らない日常にワインの文化が溶け込んでいるニュージーランドに興味を持つ。現在は永住権獲得を目標に調理師学校にも通い資格取得のために日々勉強中。映画鑑賞が唯一の趣味だったが新たにゴルフと釣り、家庭菜園にも挑戦中。

この著者のコラムを読む

更に表示

日本とは季節が逆のニュージーランドでは、夏の終わりを告げるデイライトセービングの終わりと共に、一気に秋めいていきます。今回は秋の遠足と称し、友人とウエスト・オークランドワイナリーへピクニックに行ってきました。街中にいると季節の移ろいをあまり感じることができませんが、少し車を走らせると紅葉して赤や黄色に彩られた木々や、落ち葉で覆われて黄色に染まった道など、いたるところに秋の美しい気配が感じられます。

今回お邪魔したのは、WESTBROOKワイナリーです。以前も訪れたことがあり、ここのワイナリーの庭は絶景で、ワイナリーのスタッフさんに一言声をかければ自由にピクニックを楽しめます。

ニュージーランドに来る前はワインといえば赤を中心に楽しんでいましたが、こちらに来てニュージーランドの白ワインの魅力に気づき、色々と試すようになりました。

ニュージーランドを代表する白ワインといえばソーヴィニヨン・ブランシャルドネが有名で、スーパーマーケットのワインコーナーでもその需要から棚の一面を占領する人気の品種です。

私もこちらに来てフレッシュで爽やかなソーヴィニヨン・ブランのファンになりました。

そして、ここ最近更に注目しているのがリースリングです。多くのスーパーや酒屋ではアロマティックワインと一分類され、他の品種のワインと一緒に小さめの棚で売られ、あまり目立たない場所にある種類のものです。しかし、このリースリングは20ドル以内で大変楽しめる、美味しいワインが沢山ある優秀な品種です。リースリング甘口から辛口まで、味わいも青リンゴのような爽やかな甘さから蜂蜜のようにとろみのある甘さまで幅広い味わいがあり、ワインのみで楽しむこともできますが、料理と合わせると更にその魅力を感じる事ができるワインが多くあります。

幅広い味わいをもつリースリングですが、先日友人と訪れたワイナリーセラー・ドアー・スタッフに、リースリングの特徴を見分けるコツを教えていただきました。

甘めのリースリングを飲みたいときは、ボトルのラベルのアルコール度数を参考にするといいよとの事でした。つまり、アルコール度数が低いワインは甘口で、リースリングで言えば9%前後を探せばいいとの事でした。

このワイナリーでいただいたWest Brook Marlborough Riesling 2013はアルコール度数が11%ですっきりとした味わいを持ち、ほのかに青リンゴや白桃を感じる上品な甘さと華やかな香りで、私の理想のリースリングの一つでした。

そして気になるお値段も20ドルと、コストパフォーマンスも優秀でした。

そんな素晴らしいリースリングですが、セラードアの担当者さんのお話によると、2018年の収穫量がサイクロンの影響で前年度と比べ30%以上も減ってしまったそうです。自然の影響で収穫量が減るとワインの価格にも影響してしまうのかと尋ねると、リースリングの需要が今のところそこまで高いわけではないので、こちらのワイナリーでは価格を引き上げなくても今は問題ないと話されていてホッとしました。

こんなにもおいしいワインを多くの人にどんどん飲んで欲しいけれど、人気が出すぎると値段も引きあがってしまうのかと思うと秘密にしておきたいかも、なんて思ってしまいました。

そんなWest Brook Marlborough Rieslingに合わせたい食材がニュージーランドのサーモンです。ニュージーランドのサーモンは脂がしっかりと乗っていて非常に美味しいのでお勧めです。さらにこの時期なんともうれしいのが、ニュージーランドでも5月中旬から下旬にかけてのほんの1~2週間の間のみ筋子も入手できるということです。昨年は友人に筋子が出回っていると聞いて、すぐさまその日にスーパーを何件か回ったのですが既に売り切れで入手できませんでした。そして先日、今年こそはと意気込んでスーパーに足を運び、入店しようとしたところに、満足気のホクホク顔でスーパーから出てきた友人に遭遇しました。彼は開口一番、「あるで」と一言残し去っていきました。そして、私も待ちに待った一年越しの筋子に巡り会えました。今回はレシピではなく筋子の処理の仕方をご紹介します。

○材料

筋子
漬け液:(醤油4:酒1:みりん:1)

○手順

漬け液の調味料を鍋に入れ沸騰させ、冷ましておく。
鍋に薄い塩水を入れ沸騰させた後10分程冷ます。(70度~80度にする)
ボウルに別の薄い塩水を作りその中に筋子を入れ、爪楊枝で筋子の血を取る。(血管に爪楊枝で穴を空け、血を抜いていきます)
血抜きした穴から筋子を手で開き冷ました塩水(70度~80度)の中に投入する。

菜箸などで塩水(70度~80度)の中の筋子を、卵をかき混ぜるようにグルグル回しながらほぐす。
筋の皮が菜箸にまとわりついてくるので、それを取り除き、筋子はザルにあげる。
今度は水で筋子を洗い、水を切る作業を小さな膜がなくなるまで行う。ボウルに水をはると膜が浮かび上がってきます。だいたい5、6回程で膜が浮かんでこなくなります。

筋子がきれいになったらザルにあげ、20分程冷蔵庫で水切りをする。
水切りした筋子を漬け液に入れ一晩置いたら出来上がり。1週間を目安にご賞味ください。

2018年9月掲載
SHARE