NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第6回コラム(Oct/2004)
ワインを楽しむあんな場面、こんな場面
Text: ディクソンあき/Aki Dickson
ディクソンあき

著者紹介

ディクソンあき
Aki Dickson

三重県出身、神奈川県育ち、NZ在住。日本では、栄養士の国家資格を持ち、保育園、大手食品会社にて勤務。ワイン好きが高じてギズボーンの学校に在籍しワイン醸造学とぶどう栽培学を修学。オークランドにあるNZワイン専門店で2年間勤務。週末にはワイナリーでワイン造りにも携わる。2006年より約2年間、ワイナリーのセラードアーで勤務。現在はウェリントンのワインショップで、ワイン・コンサルタント兼NZワイン・バイヤーとして勤める。ワインに関する執筆活動も行っている。趣味はビーチでのワインとチーズのピクニック。

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金曜日の午後ともなると、私たちのワインショップは、ウィークエンド・ドリンカーたちの、週末を大いに楽しもうというわくわくした雰囲気に包まれる。オンとオフにメリハリがあるキウイ(ニュージーランド人)たちは、週日はせっせと働く、残業はしない、そして週末はしっかり休む。最近では少なくなってきているようではあるが、“金曜日は昼ドンタク”というオフィス・ワーカーたちもいる程だ。

そんな彼らの金曜午後の楽しみは、同僚たちとワインやビールを片手におしゃべりに興じること。それも、オフィスで。午後3時を過ぎると、私たちのショップには、顔のほころんだオフィス・ワーカーたちが三々五々やってくる。まずはショップのテイスティング・テーブルで2~3種類のワインを試飲。気に入ったものが見つかったら、数本買ってオフィスに戻る。数時間後にさらにハッピーな顔で戻ってきた彼らは、追加で数本購入。そんな、会社単位のお得意さんも結構いるのだ。日本ではありえないことだが、給湯場の食器棚にワイングラスが所狭しと並んでいる会社もあるほど。オフィス内よりももっと一般的な場所はワインバー。ニュージーランドには、ワインの品揃えが豊富なレストランやバーがたくさんあり、ワインとワインによく合う料理が楽しめる。どのバーも賑わいを見せていて、特に金曜日は予約なしでは入れないほどの人気ぶりだ。我々日本人が、気の合う仲間とビールや焼酎、枝豆や焼鳥を居酒屋で楽しむのと同じ感覚だ(あ~枝豆が恋しい~)。外で飲むワインは、当然のことながら少々高め。経済的にいきたい時には、日本にはない習慣、BYOWを利用する。このサービスを行っているレストランでは、コーキッジを数ドル払えば(店によってまちまちだが、$2~$8といったところ)、持ち込みワインを飲むことができる。オークランド市内は最近、Licensedレストランが増え、逆にBYOWが減る傾向にあるのだが、週に一日だけBYOWとするレストランや、LicensedでありながらもBYOWでもあるレストランも存在する。私のお気に入りのピザ屋などはBYOだが、ビールでもワインでもコーラでも、無料で持ち込める。そんなコーキッジを取らないレストランも中にはあるのだ。夏の暑い日に友人たちを呼んで行うバーベキューパーティーが、キウイは大好きだ。たいていの家には、中庭にバーベキューセットがあり、炭をおこして肉や野菜を焼く。お日様がまだ高い午後4時ごろから、まずはビールかロゼ、あるいは、スパークリングワインで乾杯。家族や友人たちとおしゃべりをしていると、肉や野菜が香ばしく焼けてくる。さあ、赤あるいは白ワインでもう一度乾杯。こんな風に、キウイたちはいろんな場面でワインを楽しむ。ワインは鑑定するためにあるのではなく、楽しむためにあるのだということを、彼らはよく知っているのだ。

2004年11月掲載
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