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皆さま、こんにちは。 南半球に在るニュージーランドでは既に初夏の陽気な日差しがまぶしい季節となっています。天文学的に、そして気象学的にはニュージーランドの夏はLongest Day(12月21日か22…… 続きを読む
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ニュージーランドといえば、何を思い浮かべますか。ラグビー!美しい大自然!映画のロケ地!――どのくらいの方が「ワイン」と答えるでしょうか。キウィワイン(※ニュージーランドでは自分の国や自分たちのことをキウィという愛称で呼びます。ニュージーランドのワインだから「キウィワイン」。キウィフルーツのことではありません!)は世界でどのくらい認知度があるでしょうか。
日本では、ワインといえばやはりフランス。絶対的なブランド力を誇っていますね。フランス超高級ワインの中には人々を魅了してやまない、素晴らしいワインが多いことは確か。ただそのレベルの話をすれば、PPiPこそすべて。(Personal Preference is Paramount――個人の好みこそが何も増して重要であるという造語)旧世界で言えば、イタリア、ドイツ、スペインも間違いなく素晴らしいワインがたくさん知られています。ところが、多くの消費者は、新世界のワインとなると急に、値段が安くて味もそこそこのワインだと思い込んでしまうのです。ニュージーランドも新世界、きっと安くてテキトーなワインでしょう?って。
実は、世界各国でつくられているワインの総合平均価格を比較すると、実はニュージーランドが一番高いのです。それには理由があります。
旧世界に比べて、ニュージーランド国内では、ブドウ栽培に使われている土地の面積がせまく、国内全てのブドウ栽培地を合計しても、フランスボルドー地方の約1/3しかありません。ニュージーランドは山が多く、農作物を栽培するのに使える土地が限られている中で、その多くでは、すでに他の農作物を栽培していました。限りある土地の需要が高まり、土地の値段が上がってしまうのです。(とはいえ、ブドウ栽培に適した土地はまだまだあると言われています。目が離せません!)
サステイナビリティも重要な要素です。国内の葡萄畑の96%が、栽培方法がサステイナブル(持続可能)であるという、国の認証を受けています。オーガニックの認証を受け栽培するには、利益至上主義でつくられるワインに比べ、伴うコストはもちろん増加し、それが最終的にワインの価格に反映されてしまうのです。
経営形態にも言及しておきましょう。国内ワイナリーの多くが家族で経営することを選択していて、それはアオテアロア(マオリ語でニュージーランドという意味)のワイン造りにおける品質管理に大きく影響しています。多くのボトルには醸造した人の名前が記されます。これはただ単純に生産責任者の名前が記載されるわけではありません。自分の名前をボトルに載せることで、家族の歴史、伝統、培ってきた信頼や評判、プライドを賭けている、そんな姿勢の現れなのです。その肩に背負うものは大変大きなプレッシャーですが、同時に、家族という愛の中でワインを造り続けることに大きな意味を感じていると聞きました。多くのワイナリーは、とても小さな規模の家族経営が多数ありますが、ニュージーランドを代表する国内最大規模ワイナリーであるヴィラマリアでさえ、今でも家族経営であることに変わりはありません。
前述以外にも様々な理由がありますが、キウィワインが高品質であることの理由は、私は何よりも、アオテアロアのワイン醸造家が、驚くほどの熱量で量より質を重視していることに尽きると思います。彼らは、安価なワインを大量生産することを目指してはいません。世界で行われている品評会・ブラインド・テイスティングで、一本の末端価格が何倍もするワインと同じ土俵で競い、何度も素晴らしい結果を残していることからも、彼らのフィロソフィーがきちんと体現されていることがわかります。
ニュージーランド国内にいるキウィ達は、日常的においしくて質の良いワインに囲まれているということが、どれほど恵まれているのか、気付いていません!日常の食卓にあるテーブルワインでさえ「おいしい」、それが彼らの当たり前なのです。羨ましい限りですね。
今日は、ニュージーランドワインが世界でどのような位置にあるのか、わかって頂けたでしょうか。キウィワインは、旧世界のフランス、イタリア、スペインとは違う物差しで評価されるべきだと思うのです。少しでも安くて利益をあげることを目指したような、何億リットル以上も大量生産されているワインを除いて、の話です。ニュージーランドのワイン醸造家たちは、少量生産、品質重視というフィロソフィーを、プライドを持って貫いています。