NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第110回コラム(Oct/2011)
Awesome!チャリティニュージーランドワインイベント
Text: 藤山恵水/Megumi Fujiwara
- TAG
-
- #ニュージーランドワイン倶楽部
ニュージーランドワインファンの皆さま、こんにちは。久しぶりにコラムを書かせていただきますが、本題に入る前に余談を少々。「Awesome!All Blacks 優勝!」。ラグビーワールドカップ2011大会で、開催国のニュージーランドは世界No.1の実力を発揮できるか、また地元開催という2つの大きなプレッシャーをはねのけて、念願の優勝を掴み取りました。本当は現地に応援に行きたくて仕方なかったのですが、遠く日本からTVでその戦いぶりを見守り、決勝戦後は嬉しすぎて、我がことのように感動して泣いてしまいました。改めて、ニュージーランドは私にとっては第二の故郷だなぁっと実感し、秘蔵のニュージーランドワインで祝杯しました。
白熱したラグビーワールドカップ終了後、ニュージーランドを恋しく思っていた私に、11月7日チャリティニュージーランドワイン試飲会開催の朗報が届きました。帰国後、ニュージーランドワインのイベントにはなるべく参加したいと思っているものの、本業のワインインポーターの仕事が忙しく、なかなか参加できず、ジレンマを感じます。そのなかでも10月のミルトン・ヴィンヤードのアニーさんの来日関連イベントに行けなかったのは特に残念でした…というのも昨年ワイン留学をしていた際に、ミルトンのワインについて勉強したからです。ワインにこめられた思いや生産の裏話など聞くことができ、生産者と話すのは勉強になると同時に楽しいのですが、自分の好きなワインの作り手だとなおさらです。今回の試飲会はまだインポーターがついていないワイナリーも参加するということで、そんな楽しい会話も期待して参加しました。
ところで、皆さんはワイン試飲会ではどのようにブースを回られますか?お目当てのワイナリーからとか、人それぞれと思います。私は今回初めての試みとして、最初は白ワインだけを各ブースで飲み、次に赤ワインの試飲をすることにしました。実はこれ、最近出展社側でブースに立っているときに教わったことなのです。今まではブースごとに白から始めて赤ワイン、次にまた白を飲んで、を繰り返していましたが、最初に各ブースのスパークリングワインだけを飲んだりすると、各ワインの比較もしやすいし、舌の感覚も変にならずにワインも美味しく飲めますので、皆さまにもおススメしたいと思います。
さて、私が今回最初に訪れたのは「LITTLE BEAUTY」(リトル・ビューティー)というワイナリー。初めて見るワイナリーで、ふと目に入ったドライ・リースリングをいただきました。辛口でほのかに甘みも感じる、キリッと引き締まったボディのワインという印象。次にゲヴェルツトラミネールを試飲しましたが、ゲヴェルツらしいライチのテイストをハッキリと感じ、ニュージーランドワインらしいなぁっと気分も盛り上がったところで、次に「OHAU WINES」(オハウ・ワインズ)へ。
オハウ・ワインズではワイナリーの人が陽気な口調で薦めてくれたソーヴィニヨン・ブランをいただきました。Awesome! フルーティーでちょっと青臭くさも感じる、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランらしさを感じるものの、どの地域で作られたかまでは分からず…さて、どこの地域かと思いました。マオリらしい名前からすると北島のどこか、滞在していたホークス・ベイやオークランドではないだろう、ギズボーンかマーティンボローかなぁっと思って、ワイナリーの人に聞いてみたところ、「ウエリントンの近くだよ」教えてくれました。ニュージーランドワインに惚れ込むきっかけになったのがマーティンボローのワイナリーであるにもかかわらず、二年間の滞在中にタイミングが合わずワイナリー巡りができなかったことが、残念に思いました。フレンドリーなブースの雰囲気に、思わず「実はニュージーランドにワイン留学をして、今は日本でワインのインポーターなんだけど…」と話したら、名刺や資料をくれました。まだこの仕事を始めてから半年程のキャリアなので、すぐには難しいですが、いつかは絶対ニュージーランドのワインを輸入しようと決意を新たにしました。
白ワインの試飲を一通り終わったところで、いざ赤ワインの試飲へ。まずはFANCREST ESTATE(ファンクレスト・エステート)から。白ワインを目当てにブース回りをしていた際に、「ここ、ピノ・ノワールだけだ!」と気になっていたのです。ピノ・ノワールの生産が盛んな南島のワイパラにあるワイナリーということで、2007年から2010年までの4ヴィンテージのボトルが並んでいました。「どのヴィンテージが一番良いですか?」と問いましたが、どれも良いとのこと。2009年を試飲しましたが、ピノらしいベリー系の果実味に、やわらかなタンニンを感じ、とても美味しかったです。ニュージーランドは国をあげて環境保全を大事にし、ワイン業界もSustainable Winegrowing New Zealand(SWニュージーランド:継続可能な葡萄栽培計画)に取り組んでいますが、ファンクレスト・エステートのワインは今年からバイオ・グロに認可されました。先に述べた私のお気に入りのミルトン・ヴィンヤードと同様にオーガニック・ワインで、これぞ雑味のない究極の“ピュア”なニュージーランドワインと感じました。
今回は40分遅刻していったため時間もなく、全部は回れずインポーター募集中のワイナリー全てと、好きなワインを扱っている幾つかのインポーターのブースを訪れました。そのなかでも特に印象に残ったのはTERRAVIN WINES(テラヴァン・ワインズ)で、日本にも入っていたんだぁっと思ったら、輸入元は札幌のインポーターでした。テラヴァンのマーケティング担当のJean-Marie Prattさんと少しお話しできましたが、彼はロンドンにある世界でも超トップクラスのレストラン、ゴードン・ラムジーのソムリエだったそうです。汐留にあるコンラッド東京にも彼のレストランは入っているそうで、ワールド・ワイドなマーケティング力に感心しました。オークランドに滞在していたころ、よく通ったワイン・ショップのオーナーがこのワイナリーのソーヴィニヨン・ブランを薦めてくれて、好きになったワイナリーだったため、日本でも飲めることを嬉しく思い、今後が楽しみになりました 。
ピノ・ノワールで有名なアタ・ランギのワインも見つけましたが、残念ながらピノの試飲は終了していました。別の赤ワイン「アタ・ランギ セレブレ マーティンボロー」を代わりに薦められて飲み、果実味もありバランスの良い美味しいワインと感じたのですが、やはりいつかはピノが飲みたい!と思いました。値段が高いので、なかなか手が出ませんが、ニュージーランドのピノを代表するワインの味は知らないといけないなと思いました。
また今回は主催のニュージーランド・ワイングロワーズのお二人、Marketing Executive Asia のセラさんとMarket Manager Asiaのモンティーさん、チャリティ・イベント主催の認定NPO法人のJENの池田様にもお会いし、お話することができました。
この試飲会の参加費は東日本大震災やハイチ、アフガニスタンなどの自然災害や紛争で支援が必要な地域の復興支援となるとのことです。早いもので大震災から8か月が経ちましたが、被災地の人々のために普段できないことへの埋め合わせになりました。この試飲会の前に、石巻の学生たちと一緒に某イベントでワインや被災地で奇跡的に助かったサバ缶などを販売したのですが、大変な目にあっても明るく元気に前向きに生きている彼らにパワーをもらいました。現在会社で進めている震災復興のための企画もがんばって成功させたいと思います。JENもまたニュージーランド・ワイングローワーズとこのようなイベントを実施したいとおっしゃっていたので楽しみに待ちたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
最後にこのコラムのタイトルにも入れてしまった「Awesome」という英単語ですが、「素晴らしい!最高!」というような意味で、くだけた場でよくキウィが使います。ビジネスの場では使えないですが、久々にニュージーランドを思い出して、自分の気持ちを表すのにピッタリだなと思って使ってみました。Awesome, ニュージーランド&ニュージーランドワイン!ラグビーワールドカップや今回のワインイベントをきっかけに、ますますニュージーランドとニュージーランドワイン業界が発展しますように。そして、いつかニュージーランドワイン業界に携われるよう、私もがんばりたいと思います!