NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第122回コラム(Oct/2012)
ニュージーランドワイン試飲会@エメ・ヴィベールに参加して
Text: 藤山恵水/Megumi Fujiwara
藤山恵水

著者紹介

藤山恵水
Megumi Fujiwara

神奈川県出身。2003年5月にニュージーランドに初めて旅行で訪れた際にワインのおいしさに目覚め、以来特にニュージーランドワインのファンとなる。大学卒業後、東京で会社員として数年勤務したのち、2008年にワーキングホリデービザを取得してニュージーランドに渡航。語学学校を卒業後、憧れだったワイヘキ島のワイナリーで収穫作業を経験。将来の夢はニュージーランドの学校でワインについて学び、ニュージーランドのワイン業界で働くこと。趣味は映画鑑賞、読書、旅行、書道、写真。

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ニュージーランドワインファンの皆さま、お久しぶりです。

お恥ずかしいことにワイン業界で働いているとはいえ、“ニュージーランドワイン”とは疎遠になっていました…。しかし、やはり私にとってはニュージーランドやニュージーランドワインは特別な存在です。今年の年末、ニュージーランドで撮影された映画『ホビット 思いがけない冒険』が公開されるにあたり、ニュージーランド航空のHPを見てもキャンペーンをやっていますし、今はどんどん更新される同映画関連のニュージーランド関係の情報をキャッチし、最高にわくわくしています!!今年の6月に、ニュージーランドで同映画のワールドプレミアが開催されることが発表されて以降、なんとかしてプレミアに合わせてニュージーランドに渡航しよう!と考えていたのですが、残念ながら調整がつかず、今年は諦めることにしました。『ロード・オブ・ザ・リング』と同様に3部作ということなので、来年、再来年の楽しみにとっておくことにしたいと思います!

さて、前置きが長くなってしまいましたが、去る10月16日(火)に開催されたニュージーランドワイン試飲会に参加してきました。

今回の会場は、東京の千代田区二番町にある一軒家レストランの『エメ・ヴィベール』で、最高のロケーションでした。お店の前に立った瞬間から、都会の喧騒を感じさせない、その静かで落ち着いた様相に引きこまれました。ヨーロッパの古い館のような外観に、シャンデリアのあるホール、洗練された素晴らしい室内とガーデン。事前にこちらのレストランについてはHPで調べてはいましたが、結婚式の会場としても人気がある、というのも納得です。私もいつかお世話になれたらよいな、と思いつつ(笑)、まず会場に興奮して写真をパシャパシャ撮ってしまいました。

1年ぶりのニュージーランドワインの試飲会に、さてどこから回ろう、と出展輸入元とワインリストを眺めました。そして、合同会社ブドウ酒ニュージーランドの出展ワインは初めて見るものばかりで、好奇心をそそられました。まず、最初はスパークリングワインから、と思い、「ライツ 2010 メソッドトラディショナル」(生産地:ギズボーン、ブドウ品種:シャルドネ100%)をいただきました。ニュージーランドで唯一の有機認証を受けたスパークリングワインで、フランスのシャンパンと同じ製法で作られているそうですが、柔らかな泡と繊細な口当たりが印象に残りました。

ニュージーランドにいた頃は、スパークリングワインを生産しているワイナリーは数少ない印象でしたが、最近は増えてきたのでしょうか?気のせいか、最近ニュージーランドのスパークリングワインをワインショップで見ることが増えてきたように思います。ワインのインポーターで働くようになって、お祭り系のイベントにたまに出店しますが、そういうときは何といってもスパークリングワインが大人気です。みなさん、美味しそうに“泡”を楽しんでいらっしゃいます。日本以上にパーティ―シーンの多いニュージーランドでは、このワインもバーベキューとか、楽しいひとときに飲まれているのだろうな、と想像したら、懐かしい日々がどっとよみがえってきました。同社のブースでは、出展していた10種類のワインをほとんど試飲させていただき、勉強させていただきましたが、そのなかでも「リトルゴートクリーク・ピノグリ2011」は、りんごを思わせるちょっと甘くてさわやかな口当たりが飲みやすく、美味しかったです。あまり癖がないので、これ1本あったら、どんなときにもいけるな、と思いました。

すでに1社目で、けっこう飲んだなぁっと少し反省し、各ブースを眺めながら(ときには試飲もし)、今までとちょっと違うなぁっと感じました。何が違うのか??スパークリングワインを置いている会社も目立ち、カロリーオフのワインもあり、またワイン以外にもシードル(サイダー)を置いている会社も2社ありました。私の勤めている会社でも、来年はシードルの輸入を検討しているため、ニュージーランドのシードルも味わってみよう、とサザンクロスのブースに行きました。

フランスのアルザスで経験を積んだオーナーが、ホークス・ベイに2009年に設立した、『アップルツリー』という会社が、少量生産・高品質にこだわって作っているプレミアム・サイダーだそうです。たしかに程よい酸味と甘みを感じる上質な味わいだな、と感じました。

そして、同社のブースでネルソンのワイナリー、『ブラッケンブルック』のワインを発見しました。でも、「あれ、ラベルが違う?」と思い、同社の方に聞いてみました。アーティストが多く暮らすネルソンという土地柄から、ネルソンの風景が描かれたラベルが生まれたそうです。近くのマールボロと違って数は多くはありませんが、少数のそれぞれの個性が際立つワイナリーがあり、そのいくつかを訪れたことを、思い出しました。そして、もちろん大好きな同ワイナリーのソーヴィニヨン・ブランを久々にいただいたのですが、やっぱり美味しかったです。

続いて訪れたヴァイアンドカンパニーでも、シードルをいただきました。こちらのシードルはフルーツがミックスされたタイプで、ニュージーランドでは広く親しまれているフィジョアやボイセンベリーなどのフルーツ・シードルをいただきました。個人的にはもちろんワインが好きですが、女性にはこういった甘めのシードルのようなアルコールが受けるのかなぁっと思いました。近いうちに“シードル・ブーム”くるかもしれません!!

また同社のブースで、ワイヘキ島のワイナリーであるストーニーリッジの『Faithful』を見て、また懐かしさがこみ上げました。2009年の収穫の際、グレープピッカーとして働かせてもらったのが同ワイナリー。同ワイナリーのマスコット的存在だった、犬のノートンを記念して造られたのが、このワインです。ニュージーランドを離れる際に、2009年の『Faithful』を購入しましたが、まだ飲んでいません…ボルドー・タイプの赤ワインなので、もうちょっと熟成してから飲もうと大事にとってあります。さて、いつ、どんなときに飲んだらよいでしょう??

ところで今回は試飲即売会もあり、“お土産を買える”というのも楽しみの一つで、どれを買おうか、悩みました。結局購入したのは、最初の頃に試飲して「美味しい」と感じたウエストブルックのシャルドネ2011。ワインを飲み始めた頃に好きでよく飲んでいたにシャルドネはやっぱり私の原点という感じがして、他のワイン品種とは別枠にある感じで、思い入れも強いです。思えば、紆余曲折を経てニュージーランドワインの道に足を踏み入れ、今はそこから外れましたが、原点回帰への道もいつか開けると思います。回り道をしながらも、今はとても良い経験ができているわけですし、あまり焦らずこれからもがんばっていこう!と思います。

そして何よりもまずワインを楽しんで飲める時間をたくさん作りたいと思います。

「ワインを飲んでいる時間を無駄な時間だと思うな。 その時間にあなたの心は休養しているのだから。」

ニュージーランドでワインの勉強をしているときに、ワインにまつわることわざを調べていたときに、ふと発見したユダヤのことわざですが、今まさに私には必要なことだな、と思います。

この1年強、心身ともに疲弊するまで仕事をしていました。リフレッシュしようと思っても、携帯がある限り、毎日仕事のことが頭から離れられず…。今回たくさんのニュージーランドワインを飲んで色々な記憶がよみがえり、“里帰り”した気分になり、いつもとは違って純粋にワインの美味しさに夢中になっている自分を発見しました。

「I will be back!」。どんな形であれ、ニュージーランドへの“里帰り”をめざし、これからも自分なりにがんばっていきたいと思います!そういえば、このセリフで有名なシュワちゃんこと、アーノルド・シュワルツネッガーもいつの間にか映画『エクスペンタブルズ2』でスクリーンに本格カムバックしていましたね(笑)

2012年11月掲載
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