NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
ニュージーランドで飲むニュージーランド以外のワイン
第160回コラム(Nov/2015)
ニュージーランドで飲むニュージーランド以外のワイン
Text: 小倉絵美/Emi Ogura
小倉絵美

著者紹介

小倉絵美
Emi Ogura

大学卒業後に就職した会社がワインのインポーターだったという偶然からワインが大好きに。以降ワインの世界にどっぷりとはまること十数年。ワーホリで行ったカナダのワイナリーで1年間働いた際にワイン造りに興味を覚える。ニュージーランドワインは以前から大好きでワイナリー巡りを目的に過去に3度来たこともあり、2014年にリンカーン大学でブドウ栽培・ワイン醸造学を修める。2015年の2月からクライストチャーチ郊外にあるワイナリーでセラー・ハンドとして勤務。趣味はワインを飲むことと美味しいものを食べること。そして旅行。

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12月に入って私の住むクライストチャーチも20度を超える日々が続き、夏が始まったな~、と思っていたところ何と雹が降り冬に逆戻り。庭が白く染まりました。

かと思えばその翌日にはまた20度超え。温暖化の影響なのか、ニュージーランドらしいと言うのか……

私がニュージーランドに来て約2年。日本にいる時はそれ程多くの種類のニュージーランドワインをワインショップやスーパーや百貨店のワイン売場で見かけることはありませんでした。ニュージーランドのワインが大好きなので残念だったのですが、ここニュージーランドではさすがにワインが主要産業の1つになっているため、スーパーやワインショップに行ってもニュージーランドワイン以外のワインを見つけることが逆に困難です。オーストラリアは隣国と言うこともあり、また、ニュージーランドでは生産が難しい安くて濃さのあるフルボディのシラーなどはどこでも見かけることが出来ます。ただ、フランスやドイツ、イタリアに出張に行き世界各国のワインを飲んできた私としては、時々ヨーロッパなどニュージーランド以外のワインが飲みたい時があります。贅沢な話しなのですが……

私はリンカーン大学に通っていたので、今でも大学にあるワインクラブのテイスティングに時々参加することがあります。参加者は基本的に醸造・栽培を勉強している学生なので、ヨーロッパのワインとニュージーランドのワインを飲み比べて意見を交換できるので勉強にもなります。同様にカンタベリー大学のワインクラブのテイスティングもテーマを決めて行っています。少し以前のテイスティングでは、旧世界とニュージーランドワインの同じ品種を飲み比べる、と言うもので、大きな特徴としてはニュージーランドのワインは全体的にフレッシュでフルーティーな傾向だということでした。

また、住んでいるクライストチャーチにはワインを専門に扱うワインショップが2軒あります。Decantと言うワインショップはヨーロッパのワイン中心、Vino Finoと言うワインショップはニュージーランドのワイン中心のラインナップ。ヨーロッパのワインを飲みたくなるとDecantに行くことが多いのですが、以前日本でよく飲んでいたベルジュラックのタリケ・ブランを購入。セミヨン・ソーヴィニヨンなのですが、やはりニュージーの同ブレンドとは異なって果実味が落ち着いた味わい。また、Decantでも定期的にテイスティングを行っていて、先日はシュナン・ブラン、サンジョヴェーゼを飲み比べるテイスティングに参加しましたが、同じブドウ品種で同じ産地であっても造り手によっても全くスタイルが異なるのは非常に興味深いですよね。

そして日本では毎年ニュースでも話題になる、お馴染みボージョレ・ヌーヴォですが、これまたニュージーランドでは全く見かけません。聞いたことも飲んだこともない、と言う人が殆ど。ただ、2015年は非常に良いヴィンテージだと聞いていたので、Decantに行ってみました。1種類のみの取り扱いで、30ドル(約2,500円)だったので購入。ヴィラージュ(村)クラスではないので、そこまで期待はしていませんでしたが、さすがグレート・ヴィンテージと言われるだけあって、例年よりも果実味は凝縮してしっかり、それでいてボージョレらしく飲みやすいスタイルでした。

また、同じワイン好きな友人と集まった時にワインを持ち寄って飲むこともあります。日本では友人とご飯と食べる=外食、と言う事が殆どですが、ニュージーランドは友人宅に集まってポットラック(何か1品持ち寄り)パーティーやテイクアウェイなどをしてご飯を楽しむことが多々あります。写真のワインはカリフォルニアのアンオークド・シャルドネなのですが、友人が出張に行った際に購入したもので、開けてくれました。ニュージーランドもホークス・ベイやギズボーンのシャルドネは果実味しっかり、樽感もしっかりしているものも多いのですが、カリフォルニアのシャルドネは樽を使用していなくても果実味とアルコールのボリューム感がすごくありました。やはり日照量が多いのでしっかりとした果実味がのり、アルコールが高くなるのと、寒暖の差がニュージーランド程大きくないので酸味が低いワインが出来るんですね。普段ニュージーランドのシャルドネを飲むことが多いのでとても面白かったです。

今まではニュージーランドで飲むニュージーランドワインの事をお話ししてきたのですが、最近飲んだニュージーランドワインの中でとっても美味しく感じたワイン……それはネルソンで造られている「Harakeke」と言う生産者のピノ・ノワール・ロゼです。8月にネルソンに行った時に小さなセラードアを訪問、色々とテイスティングさせてもらったのですが、どれも丁寧に造られたゆっくりと味わって飲みたくなるようなワインばかり。それでいて良心的な価格。ロゼは18ドルだったと思います。濃い目のサーモンピンクでドライなのですが果実味はしっかり。豚肉などのしっかりとした味わいの料理に良く合いそうな味わいでした。

ニュージーランドのワインはやはり美味しいと感じることは多いのですが、そう感じられるのは今まで各国のワインに触れてきた、と言うこともあると思うので、今後ももちろんニュージーランドワインを中心に、色々なワインを飲んで勉強したいと思います!

2015年12月掲載
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