NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第44回コラム(Mar/2007)
ワイン・フェスティバルに行こう~ワイパラ編~
Text: ディクソンあき/Aki Dickson
ディクソンあき

著者紹介

ディクソンあき
Aki Dickson

三重県出身、神奈川県育ち、NZ在住。日本では、栄養士の国家資格を持ち、保育園、大手食品会社にて勤務。ワイン好きが高じてギズボーンの学校に在籍しワイン醸造学とぶどう栽培学を修学。オークランドにあるNZワイン専門店で2年間勤務。週末にはワイナリーでワイン造りにも携わる。2006年より約2年間、ワイナリーのセラードアーで勤務。現在はウェリントンのワインショップで、ワイン・コンサルタント兼NZワイン・バイヤーとして勤める。ワインに関する執筆活動も行っている。趣味はビーチでのワインとチーズのピクニック。

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駐車場から周りの人々にひきつけられるように歩いていると、一台の馬車が通り過ぎて行きます。「母を訪ねて三千里」のマルコが乗っていそうなこの馬車は、駐車場から会場への送迎馬車。それを見守っていると、今度は干草製の乗客席を引いたトラクター(ヘイ・ライド/hay ride)が、横を走り去って行きます。お祭りのムードを高めてくれるこの乗り物は、田舎町ならではのエンターテイメントとして、人々を歓迎しているのです。お祭り会場は、神社の境内ならぬ、教会の境内。

収穫期を間近に控えたこの日、3月25日、ワイパラ・ヴァレーのワインとフードのお祭りが開催されました。クライストチャーチから車でわずか40分ほど離れたところにある小さな村、ワイパラの周辺は、起伏に富んだ耕地。

この地域はワイパラ・ヴァレーと呼ばれていて、ピノ・ノワール、シャルドネ、リースリングなどが良く育ち、コクのある、そして良く熟した果実の風味を持つワインを生産することで、有名なワイン産地でもあります。海岸からほんの10kmしか離れていないワイパラ・ヴァレーは、海洋性気候の影響を受けながらも、沿岸の丘陵地が海からの冷たい雨風をせき止めてくれています。とても小さなワイン産地ではありますが、有名なペガサス・ベイやダニエル・シュスターなどの良質なワインからも、この産地の持つポテンシャルの高さが伺えます。

入口でもらった試飲グラスに専用のホルダーを付け、それを首から下げたら、いざ試飲開始です!試飲の量は約30mlで、4ドル程度。グラス売りの場合は約150mlで6ドル前後。いろいろ試して、気に入ったワインが見つかったら、ボトルで買ってみんなと分け合うこともできます。今回参加したワイナリーは、去年初めてのヴィンテージを迎えたという真新しいワイナリーも含めて20件。

それぞれのワイナリーのテントを見ていると、なんと!日本人の方がいるではありませんか。彼は、リンカーン・大学でワイン醸造を勉強している小山さん。小山さんは、大学で勉強する傍ら、マウントフォードでセラーハンドとして醸造のお手伝いをしているのです。「2007年のヴィンテージは小粒だけど、良質のワインができそうだよ」とおっしゃる小山さん。試飲させていただいた2004年のピノ・ノワールはチェリーやプラムの香りと、ビロードのように滑らかな触感が印象的でした。

よし、次行ってみよう!とにかく全部試飲するぞと、意気込んでは見たものの、ワイナリーのテントの合間にある屋台からする、美味しそうなにおいで、お腹が空いてきてしまいました。ラムのスネ肉は6.50ドル~、エスカルゴは6ヶで9.00ドル~。ベーコンとアボカドのサンドイッチも美味しそう。焼きたてのパン屋に、車エビの串焼屋。ワッフル屋に、挽きたてのコーヒー屋さんもあり、目移りしてしまいます。日本だと、タコ焼に焼とうもろこし、クレープに甘酒といった感じでしょうか。やはり、先ずは腹ごしらえ。

車エビには、ペガサス・ベイのリースリングを合わせ、ラムのスネ肉をかぶりつきながら、マウントフォードのピノ・ノワールをすする。ああ、幸せなひととき。

大型のトラックで作られた仮設のステージでは、陽気なカントリー・ミュージックが演奏され、ステージの周りに設けられた、干草製の長椅子に座ってワインとフードを楽しむ人々の体は、音楽にあわせて小刻みに揺れています。屋外用のテーブルと椅子を持ち込んで、家族や友人と賑わうグループからは、笑顔が耐えません。正午を過ぎた頃から、陽気な老若男女が三々五々とステージの前に集まり、音楽に合わせて踊り始めました。白髪のカップルが手を取り合って軽快にダンスする姿は、いつ見てもいいものです。子供たち用に設けられた小型の逆バンジーも大人気。

大人から子供まで誰でも楽しめるワイパラ・ヴァレーのワイン・フェスティバル。来年は皆さんも参加してみてはいかがでしょうか。

<参考>:

ワイパラ・ヴァレー・ワイン・フェスティバル(www.waiparawine.co.ニュージーランド)に参加したワイナリー

2007年4月掲載
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