NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
ワインが好きですか?ニュージーランドワインを飲むべき理由をお話しましょう。
第211回コラム(Sep/2020)
ワインが好きですか?ニュージーランドワインを飲むべき理由をお話しましょう。
Text: ウェイン/Wayne Shennen
ウェイン

著者紹介

ウェイン
Wayne Shennen

ウェイン。ニュージーランド産ソムリエ。 ニュージーランド、オーストラリア、ブラジル、イギリスでの生活を経て、2019年からは日本に落ち着く。ニュージーランド人として初めて(南半球で2人目!)のAdvanced Level of Certified Sake Professionals (日本酒のソムリエのような資格)として認定されました。石川県、佐賀県、岐阜県の酒蔵にて修行を積み、日本酒本、Demystifying Sakeを出版。 もちろんワインでもソムリエの有資格者。Court of Master Sommeliers認定ソムリエ資格取得。French Wine Scholarでは優秀な成績を修めDistinctionの評価を受けました。2017年ニュージーランド・ソムリエ・オブ・ザ・イヤー準優勝を受賞。その他、世界の優秀なソムリエを対象とした「2017年・Wine Australiaが選ぶ世界のソムリエ50人」や、「2018年・Family of XII(ファミリーオブトゥウェルブというNZのワイン醸造家組合)による特別トレーニングプログラム」の代表にも選抜されました。 ​ニュージーランドワインを日本でより広めるため、また日本酒の正しい知識を世界に広めるため、日々様々なことに挑戦中!日本語勉強中。天気とお酒と武術がトピックだとペラペラしゃべります。​英語もペラペラ!

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こんにちは。ニュージーランド出身のウェインです。
2019年4月、文京区湯島で、ニュージーランドワインばかりを集めたワインバーをオープンしました。Rangitoto Tokyoというお店です!他ではなかなか出会えないレアなワインを集めて、グラスでも常時10種類以上お楽しみいただけます。
2014年にソムリエ資格を取得。ニュージーランド国内の数多くのワインメーカーと親交があり、在庫のワインはほぼ友人たちが醸したもの。自信を持っておすすめいたします。グラスを傾けながら、今飲んでいるワインがどのように誰が作ったか、どんなところからきたワインなのか、等々!いろいろお伝えします!

日本でのニュージーランドワインの知名度はまだまだ低いようです。近所のビストロやワインバーでニュージーランド産のワインを見つけたら、それはとてもラッキーですね。ワインといえば、フランス、イタリア、スペイン、アメリカなどの国を思い浮かべる人が多いと思います 。

日本では、多くの人が、最高のワインはフランスワイン、だと思っているようです。
世界中で作られているワインは、フランスには勝てないのでしょうか?
実は、ニュージーランドは、世界でも非常に高品質のワインを産出しているのです。コストパフォーマンスを考慮すれば、多分世界一のワインと言えると思います。

本当?と疑うのは当然ですね。
一番大切なのは、あなたの好み・嗜好です(PPiP「Personal preference is paramount」)最高のワインとは、つまりはあなたが最も好きなワインなのです。

前置きはこのくらいにして、私が一番好きな品種であるシャルドネについてお話ししましょう。 シャルドネはフランスのブルゴーニュ地方が原産で、ブルゴーニュのワインは今でも品質の世界基準とされています。日本各地の一流レストランのワインリストで、最も高価な白ワインは、ほぼ、グラン・クリュやプルミエ・クリュ・ブルゴーニュといったワインでしょう。

ニュージーランドのシャルドネは、このように歴史があり、伝統的で、ブランド力のある高価なワインに、どう太刀打ちできるのか、と思いませんか。

よくぞ聞いてくれました。

2018年、ロンドンで行われたワイン品評会には、訓練を受けた有名なワイン業界の専門家が多く参加していました。この品評会では、ワインのボトルやラベルを隠してテイスティングをする、「ブラインド・テイスティング」が行われました。事前にワインの情報を知らされずにテイスティングするので、専門家たちは、事前情報に惑わされることなく、純粋にワインのクオリティを審査することができるのです。

世界中から選りすぐりのシャルドネが集められました。 結果は、さすが王者の威厳、1位と2位はフランスワインでした。そんな中、3位と4位にはニュージーランドのワインが選ばれたのです。この結果について注目したいのは、1位に選ばれたフランスワインの市場価格は、3位に選ばれたニュージーランドワインの市場価格の何倍もの値段でした。
その差なんと25倍!
世界トップ5にランクインしたそれぞれのワインの価値を図るのは難しいですが、それにしても、1本のワインに25倍の値段の価値を見いだせるかどうか、納得のいく根拠を見出せるでしょうか……。

2011年に行われた別の品評会のお話です。 このテイスティングは、シャルドネ同様ブルゴーニュが世界基準とされるぶどうのピノ・ノワールのテイスティングで、ブラインドテイスティングで行われました。主催者は世界のあらゆる地域で産出されるピノ・ノワールを探し出してきました。 その中の1本、1990年ヴィンテージのドメーヌ・ロマネ・コンティ “ラ・ターシュ”は、当時5,500ドル(US)の市場価値がありました。すべての投票が集計された結果は、ニュージーランド北島にあるマーティンボロー地方で造られた、市場価格80ドル(US)のピノ・ノワールが優勝を飾ったのです!

私自身の経験をお話しします。2017年、ソムリエ向けトレーニングプログラム「Family of XII Wine Tutorial」の記念すべき第一回開催に、選考の末(幸運なことに!)参加できることとなりました。
“Family of XII”(ファミリー・オブ・トゥウェルブ)というのは、ニュージーランド国内の12の家族経営ワイナリーから成る醸造家組合です。このチュートリアル(少数や個人で指導を行う教育手法)は、ニュージーランド国内外を問わず、実績、経験、見込みのあるソムリエたちを集めて、ワイン醸造家たちがワインの“伝道師”であるソムリエたちに専門的なトレーニングを提供し、また、一緒にワインについて語り合うという夢のようなプログラムです。
そのプログラムの中で行われた、ニュージーランドや世界中のワインをブラインドテイスティングするというイベントに参加しました。
数多くのワインをテイスティングしていく中、ピノ・ノワールのテイスティングに差し掛かり、私の目の前には、事前情報のない、20種類のピノ・ノワールが用意されました。その中で特に気に入ったものは3本、もしその中で1本だけ選ぶとしたら、当時は真ん中の1本だったと思いますが、どのワインも素晴らしく品質が拮抗していて、もし、今日同じテイスティングをするとしたら、きっと同じものを選べないと思います。

包み隠さずお話すると、ブラインド・テイスティングしたワインがどのワインか明らかになったとき、私が特に気に入った3本のワインのうち、1本はフランス産でした。(フランスのワインが嫌いだと言ったことは一度もありません!笑)

その1本は、ドメーヌ・ロマネ・コンティ・リシュブールでした。ですが、他の2つのワインよりも100倍も高い値段がついていました。

確かに、ドメーヌ・ロマネ・コンティ・リシュブールの方を選んだのは事実ですが、あとの2本と比べて100倍の差があったとは思えません。注意して頂きたいのは、私の好みが万人に共通だということは決してないということ。このブラインドテイスティングに参加した他のソムリエの中に「マスター・オブ・ワイン」(ワイン業界においてもっとも名声の高い資格)の方がいましたが、彼は私が好んだ3つのワインを全く評価しませんでした。各自の好みこそが最も重要なのです。(PPiP!)

初めの話に戻しましょう。最初にお話したのはシャルドネのお話でしたが、上でお話したような世界のブラインドテイスティング品評会での結果は、ニュージーランドが世界で最高のワインを生産していることを示しています。
もちろん、フランスにも素晴らしいワインが山ほどあります。オーストラリア、そしてイタリア、スペイン、挙げ尽くせないほど、世界には素晴らしいワインがたくさんあります。

幸いなことに、ニュージーランドワインは比較的手に入りやすい価格帯がほとんどです。それはなぜかというと、ニュージーランドワインの素晴らしさにまだ世界のほとんどの人が気付いていないからです。ニュージーランドワインの知名度はこれから近い将来大きく飛躍していくでしょう。フランスワインのように非常に高価なワインになっていく日もそう遠くないかもしれません!

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