NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第127回コラム(Mar/2013)
徒然~チャリティニュージーランドワイン試飲会に参加して~
Text: 藤山恵水/Megumi Fujiwara
藤山恵水

著者紹介

藤山恵水
Megumi Fujiwara

神奈川県出身。2003年5月にニュージーランドに初めて旅行で訪れた際にワインのおいしさに目覚め、以来特にニュージーランドワインのファンとなる。大学卒業後、東京で会社員として数年勤務したのち、2008年にワーキングホリデービザを取得してニュージーランドに渡航。語学学校を卒業後、憧れだったワイヘキ島のワイナリーで収穫作業を経験。将来の夢はニュージーランドの学校でワインについて学び、ニュージーランドのワイン業界で働くこと。趣味は映画鑑賞、読書、旅行、書道、写真。

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皆さま、映画『ホビット』をご覧になりましたか?映画も良かったのですが、ニュージーランド航空のWEBで公開されていた『ホビット』バージョンの機内安全ビデオも楽しく、個人的には公開中は大いに盛り上がりました。残念ながら日本では『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズほど、盛り上がりませんでしたが、世界規模でいうと大ヒット!!先日、世界興行収入が10億ドル突破の歴代15位になった、という喜ばしいニュースが目に飛び込んできました。まだまだ公開中の国もあるため、この記録は伸びそうな勢いです。

これは、ニュージーランドにとって大きな収穫なのではないでしょうか?この映画の大ヒットを契機に、ぜひまたニュージーランドの観光産業が盛り上がり、それとともにニュージーランドワインの更なる発展を願いたいと思います!

収穫といえば、今まさにニュージーランドは収穫の秋。ブドウの収穫時期の少し前の2月18日(月)に東京のザ・リッツ・カールトンホテル東京でチャリティ・ニュージーランドワイン試飲会が特定非営利活動法人ジェン(JEN)主催で開催されました。

1昨年にも同様に開催されたニュージーランドワイン試飲会にも参加させていただきましたが、今回はチャリティくじ付きの楽しいイベントでした。くじが当たってニュージーランド関連の商品がもらえたら良いなぁっと思いながら、くじを買いましたが、残念ながら全て外れでした。昨年暮れに仕事で参加した別のボランティア団体のイベントでは、まさに“無欲の勝利”で大当たりだったのですが…欲を出すとダメですね。でも、個人的にはこのように楽しみながら、お金を寄付するかたちは良いなぁっと思います。クライストチャーチの大地震と東日本大震災から今年で2年。都会に暮らしていると忘れてしまいがちですが、今も苦しい生活のなかで頑張っている人たちの少しでも支えになることができたら、と本試飲会中に思いました。読み終わった本や聴かなくなったCDやDVD、ビデオなどを寄付するJENの「ブック・マジック」など、思ったよりも支援は身近にできる、と分かったので、ぜひ今度余裕のあるときに部屋のいらない本などを整理して支援したいです。

また、今回の試飲会では駐日ニュージーランド大使もいらっしゃっており、改めてニュージーランドの貿易品としてのワインの重要性を感じました。ちなみに、私がニュージーランドに留学する前に、ニュージーランド大使館で留学イベントがあった際にお会いした大使とは代わられていました。当たり前ですね、もう5年前も経ったのですから。

さて、会場を見渡すと、お馴染みのワイナリーから、初めてみるワイナリー、懐かしいワイナリーなど、私の好奇心が大いにそそられ、いつものことですが、どこから回るか迷いました。ただ何とも残念なことに、今回は試飲会の前日に風邪をひき、体調が万全ではなく、舌の感覚も鈍くなっていたので、厳選しなくてはなりませんでした。

今回真っ先に「おーっ!」と思ったのは、バビッチのワイン。ニュージーランドワインを好きになって間もないころ、近くのスーパーや明治屋で購入できたワインで、昔は始終飲んでいました。そして、いつしか家族経営の同ワイナリーで働きたいと夢見るようになり、留学を真剣に考えるまえに、Emailで問い合わせもしました。返信はなかったと思いますが、いつかニュージーランドのワイナリーにも相手にしてもらえるように、ワインと英語をちゃんと勉強したい!と心のなかで闘志を燃やしました。そんな特別の思い入れのあるワイナリーのワインを久々に飲みたいと思い、ブースに向かいました。

今回、私がテイスティングしたのは、白はゲヴュルツトラミネール、赤はザ・ペイトリアークというカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー、マルベックのブレンドワイン。ゲヴュルツトラミネールは私が滞在していたホークス・ベイのギムレット・グラヴェルスという地域で育ったブドウということで、ワクワクしながら試飲しました。ゲヴュルツトラミネールらしいライチのテイストはもちろん感じましたが、複雑味のあるしっかりとしたワインだなぁっと感じました。ザ・ペイトリアークもやはりギムレット・グラヴェルスのIrongateという畑のブドウで、2010年のヴィンテージを今回は試飲。ベリー系の果実味の味わいとスパイシーさ、力強さを感じる赤ワインで、もう少し時を経てから飲んだらまた面白いだろうなぁっと思いました。そして「懐かしい味わいだなぁ、Irongateって聞いたことあるぞ」と思って、家に帰ってから昔集めていたワインのラベルを調べたら、バビッチのIrongateというシリーズの赤ワインは私のお気に入りでした。すっかり忘れていたのがちょっと恥ずかしいですが、変わらぬ美味しいワインを作り続けるバビッチワインに「Thank you」と言いたいです。

さて懐かしいワイナリーといえば、ホークス・ベイ

のエレファント・ヒルとトリニティ・ヒル。エレファント・ヒルは留学中に書いた以前のコラムでも触れましたが、EITの野外授業で訪れたワイナリーで、今回のブースでは当時私がはまっていたヴィオニエを飲みながら、ワイナリーの方と楽しくお話しできました。輸入元募集中でしたが、どこかインポーターがついたでしょうか?

トリニティ・ヒルもギムレット・グラヴェルスのパイオニアのワイナリーのひとつで、留学中によく飲んでいたワイナリーのひとつです。特に同ワイナリーのシラーが好きだったので、今回もレンジの異なるシラーをいただきました。そのとき思い出したのが、初めてワイヘキ島で飲んだシラーの味。カベルネなどのボルドータイプの赤ワインとは違ったスパイシーさを持つシラーは、私が収穫の仕事をしたワイヘキ島でも良質なワインが次々と生まれていて、当時は収穫仲間たちとよく飲んでいました。ちょうど今から4年前、本当に月日が経つのは早いです。

振り返ってみると、私が初めてニュージーランドに行き、ワインの魅力にとりつかれたのが、10年前の2003年でした。それから再度旅し、ワイン留学し、帰国してワイン業界に転職。長いようであっという間の10年でしたが、ニュージーランドへの熱い気持ちが、まさに私の原動力となっていたのだなぁっと感じます。そして、これからの10年間も自分の原点を忘れずに頑張っていきたいなぁっと思います。

ニュージーランドを通じて出会えた人たちやワイン、食べ物、土地、etc. 本当に全ての出会いに感謝です。Thanks for all, ニュージーランド!

2013年3月掲載
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