NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
第137回コラム(Dec/2013)
ワイングラスに魅せられて
Text: 藤山恵水/Megumi Fujiwara
藤山恵水

著者紹介

藤山恵水
Megumi Fujiwara

神奈川県出身。2003年5月にニュージーランドに初めて旅行で訪れた際にワインのおいしさに目覚め、以来特にニュージーランドワインのファンとなる。大学卒業後、東京で会社員として数年勤務したのち、2008年にワーキングホリデービザを取得してニュージーランドに渡航。語学学校を卒業後、憧れだったワイヘキ島のワイナリーで収穫作業を経験。将来の夢はニュージーランドの学校でワインについて学び、ニュージーランドのワイン業界で働くこと。趣味は映画鑑賞、読書、旅行、書道、写真。

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皆さま、今年も宜しくお願い致します。

早いものでニュージーランドを離れて、丸3年が経ってしまいました。3年前の今頃は、ニュージーランドで夏のクリスマスを楽しみ、日本で寒い正月を迎え、「これから日本で再スタートを切るぞ!」と志を新たにしていました。そして昨年はまた転換期を迎え、ワイン・インポーターからワイングラスのメーカー、リーデル社に転職したのです。

今年、2014年の目標として、ワインアドバイザーの資格取得にチャレンジしたいと思います。やっと晴れて今年受験資格に到達しました。ワイン留学をしても、ワイン関連の仕事をしても、まだまだワインのことがわかっていない、知識不足なだぁ、と痛感することが折々ですので、今年は一つ本腰を入れてワインに向き合ってみたいと思います。

ところで、前回のコラムでも触れましたが、今回はワインとワイングラスの関係性について、ワイングラスのメーカーの立場から書いてみたいと思います。

皆さま、まずリーデル(RIEDEL)についてご存じでしょうか?創業から250年以上もの歴史を誇るワイングラスの老舗メーカーで、現在はオーストリアのクフシュタインに本社を構え、リーデル家10代目当主ゲオルグ・リーデルと、その息子である11代目マキシミリアン・リーデルが指揮を執り、経営を担っています。「飲み物の個性がグラス形状を決定する」という基本理念のもと、1950年代後半に9代目当主クラウス・リーデルが史上初めてブドウ品種に合ったグラス形状というコンセプトをワイングラスの世界に導入し、1973年にハンドメイドのクリスタル製グラスの<※ソムリエ シリーズ>(※詳細はリンクへ。別サイトへジャンプします。以下同)を発表しました。世界中のワイン愛好家から絶大な信頼を集め、今日のワイングラス形状のスタンダードになり、その後ゲオルグ・リーデルが<ソムリエ シリーズ>の機能性を受け継いだマシンメイドのワイングラス<※ヴィノム シリーズ>を開発し、世界中に普及し、ベストセラーとなりました・・・少々長々と書いてしましましたが、要はワイングラスにこだわりを持っている会社です!

さて、ここからは個人的な話になりますが、私が今に至るワイン好きとなったきっかけの一つはリーデルのワイングラスとの出会いにあります。今から10年近くも前、当時六本木にあったニュージーランドカフェで、ニュージーランドワインのセミナーが開催され、そのときに登場したのがリーデルのワイングラスでした。ニュージーランドワインについての講義の後、リーデルのワイングラスを使って、ニュージーランドワイン(たしかソーヴィニヨン・ブランとピノ・ノワールでした)を味わったのですが、“ブドウ品種の個性に合うグラスでワインを飲む”ことが、いかに意味があるか、つまり「ワインがさらに美味しく飲める!」かが分かったのでした。では、グラスの形が味わいに影響するとは一体どういうことなのでしょうか?言葉だけでの説明だと不十分なのですが、香りの動きがまず変わります。そして空気に触れる面積の差によって酸化の度合いも変わり、口への流れ込み方や飲む口の形も変わります。未体験の方には是非一度試していただきたいのですが、本当に「えっ!?」思うほどに、ワインに合った正しいグラスで飲むのと飲まないのでは違ってきてしまいます。せっかく美味しいワインがあっても、間違ったグラス形状のもので飲むと損した気持ちになります。正直、この衝撃的な体験により、ワインへの関心がさらに深まり、ニュージーランドでのワイン留学に飛躍したといっても過言ではありません!

このセミナー以後、受講時に持ち帰ったワイングラスと、さらにその後買い足したグラスで、ワインを自宅で楽しむようになり、外食の際にレストランでリーデルのグラスが使っていると、「さすが!」と思うようになっていましたが、まさか自分が入社してワイングラスを売る立場になるとは思ってもいませんでした。ですので、今年の秋に10代目当主のゲオルグ・リーデルが来日したときは、少なからず興奮してしまいました。事前に同僚等から色々な情報を聞いていましたが、実際に対面してみて、やはり世界で活躍するオーナーの“カリスマ性”を感じました。来日中に一般消費者の方と業界関係者向けにそれぞれワイングラスセミナーを行いましたが、講師としてのゲオルグ・リーデルはその場を圧倒するような“大物オーラ”がありました。人によって印象は異なると思いますが、今回私は“厳しさと優しさと情熱を併せ持つ人”、と感じました。とにかく、セミナーの準備ひとつでも細かい指示とチェックが入るので、中途半端な仕事は許されませんでした。そのため、スタッフはかなり苦労もしますが、“完璧に仕事をしたい”という気持ちは私も同じ(つもりです)なので、共感できました。ちょっとした内輪話ですが、ゲオルグ・リーデルにとってディナーは自分へのご褒美のようで(並ではない思い入れがあるようで)、ディナーを美味しく食べるために日中の仕事をがんばっているそうです。働く女子にとってのご褒美スイーツとほぼ同じ感覚ですね、きっと。

さて、そのゲオルグ・リーデルですが、このニュージーランドワイン総合サイトのワインニュースでも以前に紹介されていましたが、セントラル・オタゴで地元のワイン生産者たちとワークショップを行い、セントラル・オタゴ用のピノ・ノワールのワイングラスが2014年にリリースされるそうです(残念ながら日本では未発売?)。その際の映像は来日時のセミナーの前にスクリーンで繰り返し流し、このワークショップについて直接感想を聞いてみたいと思ったのですが、一緒に取引先を訪問した際も、仕事以外の話をすることができず、それ以外は直接話をするチャンスもありませんでした…残念。次回の来日時にはぜひもう少しお話できるように成長したいと思います。

最後になりますが、青山にあるリーデル・ワイン・ブティックで毎月開催している※グラステイスティングの2014年第一弾は、<ヴィノム・エクストララージ シリーズ>のピノ・ノワールグラスでの「ニュージーランド マールボロのピノ・ノワール」です。1テイスティングが525円(税込)とお手頃な値段ですので、試しにリーデルのグラスでワインを味わってみたい、と思われる方に特におススメです。リーデルのスタッフが、丁寧にグラスとワインについて解説いたしますので、是非いらしてください!(※各種セミナー詳細はこちら)

ちょっと宣伝っぽくなってしまいましたが、私自身、リーデルのワイングラスを通じて、ワインへの関心、思いが高まっていったので、是非この仕事を通じて、日本にワインファンをもっと増やし、日本のワイン業界を活性化する一助となりたいと思います!

2014年1月掲載
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