NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
ワールド・オブ・ワイン オークランドでの初イベント参加レポート
第190回コラム(May/2018)
ワールド・オブ・ワイン オークランドでの初イベント参加レポート
Text: 和田咲子/Sakiko Wada
和田咲子

著者紹介

和田咲子
Sakiko Wada

日本に住んでいた頃からヨーロッパワインは飲んでいたものの、1994年の渡航以来、先ずはニュージーランドワインの安くて美味しい事に魅せられ、その後再度オールドワールドやニューワールドワインに拡大してワインをappreciateしている。ただ消費するだけに終わらない様に必死にwine drinking culture の質を高めようと努力する毎日である。

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普段から私は手帳と言うアナログ手段を活用していて、そこにしっかり自分の予定を書き込むタイプです。きっちりしているのかそうでないのかはともかくとして、色々な事に首を突っ込んでいると仕事のアポも含めて覚えてなどいられないからです。かと言ってタブレットなどの電子手帳は『もしも消えたらどうするの~?』という恐怖から一度も使用を考えた事はありませんでした。

その結果、予定が変更になると手帳がどんどん真っ黒になってゆくので普通なら予定変更はあまり歓迎していないのですが今回は全く逆に出ました。

タヒッシャンダンスのフラッシュモブメンバーに入り込んでしまっていてその日と重なっていた為に行く予定ではなかったこのワイン・イベント。何と私のこのコラムを読んで、オークランドにワーキングホリデーで来ようと決めて来てくれた女性がいて、その彼女からのお誘いがあったのです。彼女とは第177回『毎週予約無しで行ける超お買い得なテイスティング』の舞台となったワインショップに現れてくれたのでオフラインでも知り合えました。これもワイン・マジックですね~

そこで暫く迷っていた所、昨年クライストチャーチ近郊ワイナリーでの結婚式に行ったワイン友達からも『World of Wineのある週末、オークランドに行くよ~』と連絡があり、気が付くとフラッシュモブが1週間あと倒しになっていてめでたく参加が可能になりました。思いは通じ、願いは叶うものですね~。ホントにこれもワイン・マジックです。

さて、そんなわけでこのオークランドでの初めてのイベントの内容をWEBサイトで色々と確認してみました。今はオークランドやニュージーランド各地でワインやフード系のイベントが沢山行われていて毎年恒例になってきているものも多いのですが、やはりニュージーランドワインに焦点を絞ったものが多かったと思います。そりゃそうですよね、現地のブドウで現地のワインメーカー達が作ったワインやチーズや色々なものを紹介出来ますものね。

でも今回のこの『The World Of Wine』というワイン・フェスティバルはオールドワールド・ワイン(昔からワインを作っていたフランスやイタリア、スペインなどのワインを指す)もニューワールド・ワイン(南北アメリカや南アフリカ、オーストラリアやニュージーランドなどのワイン)も含めてニュージーランド以外の各国から集まったワインが一堂に試飲できるというイベントでした。やはり他を知ってこそ我がニュージーランドワインの向上も図れますし、最近はどんどんニュージーランド人もいろいろと味の冒険をする様になってきていますので、飲み手の興味も広がって来ていて丁度良い時期だったのでしょう。2日間のイベントでしたが両日とも参加した(!)友人たちの話によると2日ともとても混んでいたようです。

場所はAUT大学シティキャンパスのメインフォイヤー(1階ロビー)で、集まったワインは14か国140種類以上です。入り口で入場券の確認をして小冊子や情報を入れる袋などを貰い、その小冊子に全てのワインが書かれておりその頁の順番通りに左側からブースが並んでいました。オーストラリア、アメリカのカリフォルニア、アメリカのニューヨーク州、チリ、アルゼンチン、レバノン、南アフリカ、スペイン、ポルトガル、イタリア、オーストリー、ハンガリー、ドイツ、フランス等々からのワインがずらっと。同じワインサークルのメンバーや知った顔のワイン輸入業者も居てそれぞれのブースでワインを注いで沢山の説明をしてくれました。

また、無料の水ボトルとパンやディップが真ん中に置かれていましたが、レストランが出しているフードも買う事が出来、12時から夕方6時までの6時間もの間をもたせてくれました。

他のワイン・フェスティバルと同じ様にマスタークラスと言って、1時間ほどのセミナーも2日合わせて10種類開催されていました。私達はクライストチャーチから来た友人達とも決めていた日曜日の第1弾『Mas De Daumas Gassac Vertical Tasting』というセミナーを申込んでありましたので、お昼過ぎに会場に入って少し様子を見てからすぐにセミナー会場へ移りました。

このワイナリーは私も知らなかったのですが、調べるとフランスの南西部、ラングドック地方に在り、何と“ラングドックのシャトー・ラフィット”あるいは“ラングドックのグランクリュ”とも呼ばれているツワモノです。オーナーでもありワインメーカーでもあるSamuel Guibertさんが講師としてとても印象的な話をしてくださいました。

曰く、『料理だって色々な材料を合わせて煮詰めてそのハーモニーが生み出す旨味が魅力だろ?ワインも同じさ。』確かに~!!!言い得て妙とはこの事かもっと思いました。テイスティングしたワインは8種類(ロゼ1種類、白2種類、赤5種類)でしたが白でさえ何と15種類のブドウを混醸しているそうで赤に至ってもボルドーブレンドかと思いきやローヌ地方のブドウであるシラーやイタリアのブドウ品種も入っていたりして驚きましたが、彼のフィロソフィーを聞いて納得できました。何だかイタリアのスーパータスカンの様で、規定に縛られない状態でのびのびと作り手の方が模索しながら開拓した所にその真の良さが生まれたワインなのだなあと感動しました。

もう一つ印象的な発言が有ります。スクリーンに順次映し出されるワイナリーの風景を説明してくれている時、アップになったバッタ(の種類)を見ながら彼が言ったのは『あ、これもワインに少し蛋白質と旨味を与えるんだよね。』そうか~そりゃ虫もブドウと一緒に少しは入る筈でしょうが今迄あまり考えた事が無かっただけにちょっと吃驚。一瞬よぎる『衛生面でどうなのかしら?』との思いも日本で食べた事のあるイナゴのつくだ煮を思い出し、またワインの発酵過程ではアルコールで消毒する事になるわけだから何のことはないや、と安堵しなおしました。

テイスティングに出たワインのお味は? 勿論私の大好きなUmamiを感じられる白に赤の数々ですっかりこのワイナリーのファンになってしまいました。今迄はワインの旨味は主に土壌から来ると思っていましたが、これからは小さな虫さん達の事も考えながら飲む事になるでしょう。

ニュージーランド人はワインをお店で買ってからほとんどの人が24時間以内に飲んでしまうそうですが、それはフレッシュでフルーティーな状態で楽しめるワインが多く出回っているからでもあると思います。また、一方では赤ワインであっても作り方によってセラーリングの必要がなく、買ってすぐにでも楽しめる様にタンニンを少なく作る事も多くなってきています。そして、ワインメーカーもどんどん自社内で飲み頃になるまで寝かせてから出荷する事が出来る様になってきていますので家庭でセラーリングをする必要が無いと考える方のいらっしゃるかもしれません。

けれど、ワインは生きているものなので1本のボトルでもいつ開けるかによって味が変わってくることもとても興味深いと思うのです。自分の気に入ったワインを見つけてそれを少しまとめて購入し、1年に1本、或いは2~3年から5年に1本開けて友達と一緒に試してゆく、そんな楽しみ方をする為にもこの様なワインテイスティングの出来るイベントは重宝ですね。プロの意見を聞きながら試飲して自分のタイプを見つけてゆけますものね。ニュージーランドの都市部やワイナリーのある地方などで数々行われているワイン・イベント、増々盛んになって更に良い企画やワイン試飲の機会が出て来ることを願っています。

さて、今回の週末の最後のワイン・マジック、何だったと思います?

実は翌日の月曜日にあるワイングループの仲間達とバローロとバルバレスコを持ち寄ってディナーをする事になっていたのですが、折角だからとクライストチャーチから来ていた友人達も同席する事になり、更なるキャッチアップとワイントークが出来ました。

ワインがつなげる人の輪、良いですね!

2018年6月掲載
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