NZ Wine Column
ニュージーランドワインコラム
NEW! 第245回コラム(May/2026)
審査席から見えた、ニュージーランドワインの今 ― SAKURA AWARD 2026で感じたこと ―
Text: 堀内亜矢子/Ayako Horiuchi






























ワイン業界にいると、毎年2月のSAKURA AWARD(サクラアワード)の結果発表を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。今年もご縁をいただき、私自身も審査員として参加させていただきました。
会場に並ぶのはワインボトルではなく、目の前のグラスだけ。各テーブルにはソムリエの方がついてくださり、一杯ずつ注いでいただきながら、先入観なくワインそのものと向き合っていきます。ワイン名や生産者情報が開示されていない状態で、外観・香り・味わいを丁寧に確認し、一つひとつ点数を付けながら評価していく時間は、緊張感とワクワク感が同居するとても濃密な時間です。
そもそもSAKURA AWARDとは、日本の女性ワインプロフェッショナルのみで審査が行われる国際ワインコンペティションです。ソムリエ、インポーター、ワイン講師、醸造家、ワインジャーナリストなど、日々ワインと向き合う方々が審査員を務め、現在ではアジア最大級のワインアワードの一つとして世界中から数多くのワインが集まっています。
その魅力は、単に「美味しいワイン」を選ぶ場ではないところ。審査はブラインドテイスティング形式で行われ、開示される情報は品種やヴィンテージなど最低限のみ。ラベルや生産者名に左右されることなく、純粋にワインそのものの品質や魅力を評価していきます。今年は全国から430名ものワインプロフェッショナルが参加し、100点満点で採点されたワインの中から、ダブルゴールド、ゴールド、シルバー、さらにはペアリング賞や特別賞が選ばれました。
実際に参加して印象的だったのは、「専門的な評価」と「飲む人の視点」がうまく共存していること。単純に点数を付けるだけではなく、「どんな食卓で楽しめるか」「誰に勧めたいか」という視点も自然と交わるとても興味深い審査会でした。
私のチームメンバーは、今年もワイン業界でご活躍されている方々ばかりでした。審査の時間は真剣そのものですが、合間にはランチをしながらワインや食のお話をさせていただく機会もあり、改めてワインが人と人をつないでくれるものだな、と感じた時間でもありました。ちなみに、ご一緒したシンガーソングライターの方が審査会の様子をブログに綴られており(別リンク・別サイト)、会場の空気感も伝わる内容になっています。
そして個人的に毎年楽しみにしているのが、ニュージーランドワイン勢の存在感です。
「ニュージーランド=ソーヴィニヨン・ブラン」という印象を持たれる方も多いと思いますが、実際にはピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・グリなど、多様なスタイルが年々高く評価されている印象があります。以前はソーヴィニヨン・ブランのイメージが強かったニュージーランドワインですが、近年の受賞結果を見ていても、その魅力の広がりを感じる機会が増えているように思います。
その中でも今年特に目を引いたのがWhitehavenの受賞です。NZ wineloverでもお取り扱いのあるワイナリーですが、Diamond Trophyを受賞しました。Diamond TrophyはDouble Gold受賞ワインの中からさらに選出される特別な賞で、まさにその年を代表するワインのひとつとして選ばれる賞です。
Whitehavenは個人的にも思い入れのあるワイナリーで、実は私自身が「ニュージーランドワインの専門店をやりたい」と思うきっかけをくれたワインのひとつでもあります。初めて飲んだ時の、果実の素直な表現や食事に自然と寄り添う心地よさは今でもよく覚えています。華やかさはありながら飲み疲れせず、ニュージーランドワインの魅力がとても素直に表現されている造り手だと感じています。今回こうして高い評価を受けているのを見ると、なんだか少し嬉しい気持ちになりました。
また、今年もニュージーランド勢はソーヴィニヨン・ブランだけでなく、シャルドネやピノ系品種でもさまざまな賞を受賞していました。以前は「NZと言えばソーヴィニヨン・ブラン」という印象が強かったかもしれませんが、今は「今日はNZのシャルドネにしようかな」「ピノも飲んでみたいな」と選ぶ楽しさが広がっているように感じます。
受賞歴がワイン選びのすべてではありません。でも、「今日は何を飲もうかな」と迷った時の小さなきっかけにはなると思っています。今年の受賞ワインをきっかけに、ニュージーランドワインの「今」をグラスの中で感じてみるのも、なかなか楽しいかもしれません。